【創立記念】マスカレード☆トリエンナーレ！｜リアクション

【創立記念】マスカレード☆トリエンナーレ！

●理由は違えど出場します

「高校ってすっごーい！」
　寝子高に通っている兄と一緒に来た光村千恵は、楽しそうな雰囲気にワクワクしながら辺りを見渡す。
　どこに行こうかと考えていると、実行委員からパンフレットを受け取った。
　わーい！　と受け取るなりパンフレットを開くと、妙に金ぴかに輝くカードが挟まれていた。
　いいものもらっちゃったと喜んでいたが、千恵がカードを手にした途端、実行委員が「出場おめでとう！」と拍手。
「出場？　これって、当選カードじゃないの？」
　突然の出場おめでとう宣言に、千恵は少し驚いた。
　兄から、そのカードを受け取った人はトリエンナーレに出場することになるんだよと聞き、更に驚く。
「トリエンナーレって、何かの仮装をして出場するんだよね。私、衣装持ってないよ」
　出場辞退を申し出たが、貸衣装一式を用意しているので大丈夫と言われたので出場してみることにした。

　橙布製猫パペットの付喪神、えみなハルくんは『おさんぽいってきますにゃー！』というメモを書き残し、こっそり桜花寮を出た。
　おさんぽ……と見せかけて、こっそり寝子高へ。
　恵御納夏朝と恵御納夏夜と一緒にいられるが、ひとに見つかったら、布製猫パペットの姿に戻ってしまう。
　そうなったら、きっと誰かが落し物として届けてくれたら……と思いつつ、感謝祭の様子を楽しむ。
　楽しんでいる時、何かが落ちているのに気づいたので拾った。
「にゃ？　金ぴかのカード……？　綺麗だにゃー！　マスカ……なんとか……マスカットカード？」
　名前が長いので、ハルくんは覚えきれない。
「かーさやかやにも、後で見せたいのにゃ」
　二人はどこかにゃーと探そうとしたら、同じカードを持っている人がコンテストに出場なんて……と呆然としている様子を見かけた。
「………コンテスト？　出場？　えっ何々、うにゃー！？」
　出場者を楽屋に案内する実行委員に紛れ込んでしまったハルくんは、半ば強引にトリエンナーレ参加することになったのだった。

（夏朝と一緒の……僕自身にとって、初めてのトリエンナーレだね）
　分離以前は夏朝の別人格だった夏夜は、現在は夏朝の双子の姉として寝子高に通っている。
　今までは夏朝の意識内で外の様子を窺うだけだったので、直に楽しむことができてどこか嬉しそうだ。
　夏夜と一緒にのんびり楽しもうと思っていた夏朝に、実行委員が出場おめでとうカードを差し出した。
　夏朝と屋台でも巡ろうかと考えていた夏夜にも、同じカードが差し出された。
「「…って、金ぴかのカード！？」」
　同時に驚いたので、声がハモった。
「これもらったら、トリエンナーレに出場するんだったよね……」
　出場おめでとうカードを見ながら、夏夜は夏朝に言う。
「今年のトリエンナーレ、仮面をつけたり仮装・コスプレをしたりするんだって。何にする？」
「何にしようか……」
　仮装を考えながら、実行委員の案内で控室に向かう。
　昨年は演劇部と図書委員のかけもち。
　一昨年は布製猫のパペットとお気に入りの猫シールを持って制服姿で出場した夏朝は、夏夜と一緒に出場できるんだと思うと嬉しくなった。
　
　連続出場するのは、八神修も同じだった。
　昨年は生徒会役員として当時の生徒会役員達と参加したが、今年は七夜あおいと出場する。
　三年で最後だし、思い切った演出にしたいと意気込む。

「楽しそうな雰囲気の場所だな」
　鏨紫が以前寝子島を訪れた時は真夜中だったこともあり、人は誰もいなかった。
　なので、大勢の人が集まる場所に興味津々。
　霊界で拾った妙に金ぴかに輝くカードに導かれるような感覚で来た寝子高で感謝祭が行われていたので、寝子島のお祭りなんだと解釈した。
　入るにはどうしたら良いのだろうかと迷ったので、校門前にいる実行委員に声をかけた。
「えぇと、出場おめでとうカード？　というもので紹介されて来たのだけれど」
　出場おめでとうカードを見せると、マスカレード☆トリエンナーレ出場の方ですねと言われた。
　楽屋はこちらです、と手を引かれ、出場者が集まる場所へ連れていかれたのだった。
「出場というけど、僕は何をすればいいんだい？」
　案内しつつ、実行委員は仮面をつけたり仮装をしたりしてほしいと説明する。

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