this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
Monster
<< もどる
1
…
8
9
10
11
12
…
15
つぎへ >>
けっして早い列車ではない。むしろゆったり、速度が遅いことが魅力といえる。左右の揺れは小さく、車内は静かで、心地好いリズムとともに、海沿いの光景を窓にながしてゆく。連結部が伸び縮みするときのかすかなきしみ、腰をおろした瞬間だけつたわるシートの香り、昼夜わかたず照らす青みをおびた蛍光灯、いずれもその魅力のひとつをになう。
鈍行、という短い二文字で表現するには、寝子島電鉄、通称ねこでんはあまりに豊かだった。
「窓、開けていいですか」
電車に乗ってまもなく、
五十嵐 ともか
は遠慮しながら尚輝を見上げた。
「構いませんか?」
尚輝は時子にたずねる。もちろん、と時子がうなずくと、ともかは窓の留め金に手をかけ持ち上げようとする。重い様子だったので、請われる前に尚輝が手伝った。
海の匂いを胸いっぱいにすいこむ。
「うわあ……」
涼しい潮風がともかの前髪を吹き上げた。
きれいな目――。
思っていた通り、と時子は考えたものの口には出さない。ともかは黒目がちな大きな瞳をしていた。
「この電車に乗るたび、ずっと窓を開けたいと思ってて……でも天気が悪かったり、混んでいたりで……」
ようやく夢がかないました、とともかが言えば、たいしたことのない話でも宿願の成就に聞こえて面白い。
ともかは昨日から寝子島に来ているそうだ。尚輝の下宿に泊まっているという。
「今回は姉は来ていません。ともかさんは……僕のアパートが気に入ったということでして」
あんな汚い部屋のどこがいいのだか、という尚輝にともかは言う。
「そんなことありません。おじさんの部屋、本がたくさんあって素敵です」
この叔父と姪はたがいに敬語をつかいあうのだった。そういえば尚輝はともかに限らず、たとえ相手が小さな子どもであっても原則敬語で話す。この話しかたが彼なりのフツウなのだろう。
「そういえばおふたりは、昨日の夕方映画に行かれたとか」
「ええ、『ゴアラvsゴング』ってわかります? 怪獣の。招待券をもらったもので」
「どうでした?」
「僕はまあまあ……ですね」
「私は恐かったです。音は大きいしすぐ爆発するし……半分くらい下を向いてました」
「そうでしたか」
私ならもっと、小さな子が好きそうなものにするのにと時子は思った。怪獣は小さな子が好きなものと言えそうだが。少なくともともかには、明らかに不向きな作品であろう。
午前中は、ともかのリクエストで寝子島水族館に行った。一通りめぐって楽しんで、今度は「ともかさん、展望台に行ってみませんか?」という時子の提案で、ねこでんに乗り旧市街に向かっている。行程にあわせて尚輝はポロシャツにチノパンという軽装、ともかもワンピースではなく、ちょっと少年ぽい赤いTシャツと半ズボンという組み合わせだ。
ともかは尚輝とおなじく科学全般が好きなのだという。しかし興味の対象がずっと化学よりの尚輝とちがって、興味の中心は自然、とりわけ生物分野に近いらしい。たしかにともかは、水族館ではずっと楽しそうにしていた。イルカショーではイルカの名前をすぐに覚えたし、海中を疑似体験できるトンネル型の水槽では、魚の名前を色々と教えてくれたものだ。
水槽のあいだをめぐっている最中、好きな海洋生物は? と時子が尋ねるとともかはよどみなく答えた。
「ペンギンさんが好きです。とくにアデリーさんが」
前に会ったときより慣れてきたのだろう。ともかの口調はずっと屈託がなくなっていた。
「それは嬉しい、私もペンギンさんたちと友達なんですよ」
時子が言い、屋外のペンギン水槽に向かって手を振ると、まるでその言葉を証明するかのようにアデリーペンギンが集まってきてともかを驚かせた。時子は、人のいない時間に水族館を訪れては、ろっこんを使って彼らと会話し親しくなっていたのだ。
水族館の記憶を楽しく反芻しているうちに、電車は駅に停車した。
旧市街から少し歩けば、登山道入り口にたどりつく。小さな寝子島だが観光名所には事欠かない。ここ九夜山、わけても展望台はそのひとつだ。
「ここから出発です。ロープウェイに乗るんですよ」
「私、ロープウェイ乗ったことないんです」
楽しみです、とともかは言うのだが、「実はですね」と尚輝が注釈を加えた。
「本当はともかさん、乗ったことがあるはずですよ。それも九夜山のロープウェイに。……まあ、ともかさんがまだよちよち歩きのころの話ですから、覚えていなくても仕方ないですが」
「そうでしたか。ぜんぜん覚えていません。尚輝おじさんも一緒でしたか?」
「ええ、僕と聡(さと)姉と、ともかさんのお父さんもいらっしゃいましたよ」
「お父さんまで!」
「はい。めずらしいことだったのでよく覚えています」
聡姉? たぶんそれは、ともかさんのお母さん、尚輝先生からすればひとつ上のお姉さんのことですね。
それにしても、と時子は思わないでもない。
お父さんの話がでたとき、ともかさんの声のトーンが一段ちがっていました。
何か事情があるのだろうか。
けれども、立ち入った話を尋ねることはどうしてもためらわれた。
ただひとつ言えるのは、「お父さん」と口にしたときのともかが、とても嬉しそうにしていたということだ。
「僕の部屋には、そのときの写真があったと思います。帰ったら探してみますね」
と言いきかせて尚輝はチケット売り場に並んだ。
<< もどる
1
…
8
9
10
11
12
…
15
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
Monster
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年09月04日
参加申し込みの期限
2021年09月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年09月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!