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Monster
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ハローニャックのバックヤード、従業員休憩室に智依子は入った。
静かだ。
あえてそうしたのかというほど人の姿はない。
いや実際、店長が意図的に人払いしたのだろう。がらんとした室内は、テレビの消音ボタンを押したときに似た不自然な静けさがあった。
数日前、ここで脇坂香住と話したときのことを智依子は思い出す。あのとき部屋の壁は静謐なブルーで、水族館にあるような、大きな水槽を前にしているような気がしたものだ。
ところが今は何だ。
ハエトリグサの内側みたいだ。想像上の腐臭すら感じる。
「なあ梓、梓さんよ」
腐臭の主がむっくりと席から立った。
「近ごろたるんどるぞぉ。わかるかぁ?」
気味の悪い口調だった。圧倒的に優位に立っていると信じているからこそ出せる声。恫喝や脅迫ではない。猛獣が餌食をいたぶるかのような。
「でもなあ、僕は梓さんをクビにしたくないんだよなぁ」
急に一人称が『僕』になった。平然と『クビ』などと言っているところも気になる。店長ごときにそんな権限はないはずだ。仮にあったとしても、解雇するに十分な理由を説明できるのだろうか。
逃げ出したくなる衝動をこらえ、智依子は動かなかった。
「なあお前、梓さん。小さい娘がいるんだってな。その歳で」
じりじりと我妻は近づいてくる。これ以上ないほどのニタニタ顔だ。
「それでクビになったら困るよなあ。うちみたいに条件のいいバイト、ほかにないだろうし」
我妻はとうとう、智依子の両肩に手を置いたのである。フゼア系だろうか、つんと鼻にくるくらいオーデコロンの香りがした。
だから、と我妻は言った。
「俺のものになれよ。悪くしないぞ。時給も上げるし、なんなら社員登用を上に推薦したっていい」
情欲ではちきれそうな目をしている。口元も同様だ。
智依子は顔をそむけた。臭い鼻息がかかりそうな気がしたからだ。
「んー? なんだその顔は? イエスってことかぁ」
我妻は、何もかも自分の都合にあわせて解釈できる性格らしい。多少強引なほうがありっしょ? などと言いながら智依子に覆いかぶさろうとしたところで、
「そこまでだ、店長」
鞭打つような声が立ち、獣じみた吾妻店長は身をすくめたのである。
「あきれたものだ」
力強く扉をひらき、大股でクリス高松……ナターシャが踏み込んできた。
「お、お前何の用だよ!」
あきらかに無理筋の言葉を我妻は口走ったがナターシャは無視する。同時に智依子は大きく後退して我妻から離れた。
「これが何かわかるか?」
ナターシャはにこりともせず手に握った黒いスティックを示す。
「隠しカメラのリモコンだ。お前がくる前に設置しておいた。ICレコーダーでいまの発言も録音してある」
「ハァ!?」
何言ってんのお前、と店長はわめくのである。
「俺を脅そうってのかコラ!」
すごめば少しは状況がよくなると思ったのだろうか、しかし、ナターシャにとっては虚勢でしかない。
「脅す必要が?」
ナターシャは静かに告げる。
「私が脅す相手がいるとしたら、それは利用価値がある相手だけだ。お前はそうじゃない」
「んだとコラァ!」
とびかかろうとした我妻の眼前を、鋭く一閃したものがあった。
ナターシャの爪先だ。風圧だけで吹き飛びそうな蹴りを放ったのである。
といっても、我妻の鼻先をかすめるにとどまった。
「私は、やろうと思えばここでお前の首をへし折ることもできる。正直、いますぐそうしてやりたいくらいだ。お前があの女……クリスに嫌がらせをつづけてきたのも、あの女に同様の圧力をかけて拒否されたからだろう? じっくりと拷問して詳細を聞いてもよかった」
ナターシャは智依子に一瞬だけ視線をむけた。
「梓さんが止めなければとうに開始していたはずだ。運が良かったな」
ナターシャは智依子にコメントを求めるべくふりむいたが、黙って智依子は首をふった。
「出ていけ。それと、これまでの記録も録っているいうことを覚えておくのだな」
すでに戦意を喪失していたらしく、我妻は言葉にならぬ言葉を発しながら休憩室を飛び出していった。
我妻が消えてなお、獣臭はいくらか残った。
「あの……カンディンスキーさん……」
智依子はナターシャにおそるおそる声をかけた。
「ナターシャでいい。私も智依子と呼ばせてもらう」
「ではナターシャさん、拷問どうこうというのは脅し、ですよね?」
「そう思うか?」
氷のような笑みをナターシャは見せた。
-+-+-+-+-+-+-+-+-
その後の話をしておきたい。
吾妻店長は懲戒解雇となった。退職金も出ない最も重い処分だ。
だがこれにとどまらない。ハローニャックのイギリス本社はことのほか本件を重要視しており、近く本社選出メンバーによる調査がはじまることになっている。調査チームは現従業員はもちろん、我妻のパワハラやセクハラが原因で退職した元従業員からもひろく証言を集める考えだという。
店の名誉をおとしめたという理由で、いずれ我妻は、ハローニャックから民事訴訟を起こされるかもしれない。
この一件で心身ともに疲労した智依子は、しばらく休職をとることになった。
やがて復帰した智依子を迎えたのは、
「おかえりなさい……梓さん」
ナターシャではなく、クリス高松だったということだ。
――『Monster』 了
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
桂木京介です。
リアクションは「ほぼ」時間軸にそって展開しており、途中何度かか日付を改めています。
とはいえ細かいところでは前後していたり齟齬があったりするかと思います。ややこしくて申し訳ありません……!
元シナリオ『怪物』で描けなかった内容、その後の話など、いろいろ描写できて楽しいひとときとなりました。お読みになった皆さんにも、楽しんでいただければこれ以上の喜びはありません。いつも書いていますがご意見ご感想も是非、です。
それではまた、次回シナリオでお目にかかるのを楽しみにしています。
桂木京介でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年09月04日
参加申し込みの期限
2021年09月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年09月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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