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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
白い本は誰が為に
【RUN！ RUN!! RUN!!!】
「な、なんだ？ どこだ、ここ？」
干車 止が辺りを見渡した時、そこは図書館でも寝子島でもなかった。
何やら緑の少ない近代的な街並み。
そして何よりおかしかったのは。
「獣、人……？」
自分以外回りにいるのは体に獣の特徴を持ついわゆる獣人、半獣と言われ存在達。
看板に描かれている文字も日本語や英語など人間の使っている文字と異なるもの。
しかし不思議なことに獣人達はただ一人普通の人間である止を奇異の目で見ることはないし、止自身も何故か今まで見たこともないはずの不可思議な文字を自然に解読できる。
「変なとこにきちゃったなぁ。さっきまで図書館にいて、そう、白い本があって。あー、もうわけわかんな……あ！」
考えることを放棄しかけた止の目に入ったのはインラインスケートレースの文字。
「インラインスケートレース！？」
止の目が輝いた。
「参加費は無料ですよ、参加されますか？」
「勿論！」
受付の獣人に止は即答して参加登録を済ませる。
（難しいことはあとあと！ レースを楽しんでから色々考えようっと）
スタートラインに立った獣人達は総じて体格がよく、みんなとても足が速そうだった。
（それでもやるからには狙うのは絶対優勝だ！）
止は臆することなく気合いを入れて準備運動を始める。
そして屈伸をしながらふと、最近自分に起きたちょっと不思議な事を思い出す。
「……YES」
一言そう呟けばどことなく体が軽くなったように感じる。
気付いたのはつい最近、というか春先ごろからだ。
（ちょっと不気味だから極力YESって言わないようにしてたんだけど、折角こんな世界だし……試してみよっかな）
そんなことを考えている内にスタートの時間が差し迫ってきた。
「位置について！！」
スタッフの声でランナー全員の緊張が高まる。
勿論止も例外ではない。
パァン。
乾いた音がスタートを告げ、皆が一斉に滑り出した。
速い。
止は決して足が遅い方ではない。
しかし獣人達の身体能力は人間を凌ぐようで、止は最前線どころか中間層についていくのが精いっぱいだ。
中間層は一番ランナーが密集していてせせこましい。
止にとっては思うように走れない最悪の場所だった。
（もっと、もっと早く、もっと前に行けたら……）
止の中に生まれる苛立ちと焦り。
それがインラインスケートと足の運びに微妙なズレを生み出して、止の位置はさらに下がる。
ゴールまでまだ距離はあるが、これ以上トップ群と話されると追い上げるのは厳しい。
（私の限界はここ？ 私はこれでおしまい？ ……そんなわけがない！）
止の表情がきりっと引き締まる。
体力はまだある。
ならば、もっと早く早く、風のように滑って走れ抜ければいい。
しかし果たしてそんなことが今後ろを走っている自分に出来るのか。
その為にはもう一度気合いを入れ直さなければならない。
Are you Ready ?
その問いに対する止の答えは一つ。
「YES！ YES！！ YES!!!」
YESを唱えるほど止は自分の体に羽根が生えたような感覚を覚える。
自分の体はこんなに軽かったのだろうかと。
（これならいけるっ……！）
前を走る獣人達の間をすり抜けるように止は駆け抜ける。
今までの走りが嘘の様な、インラインスケートと足が一体化したような滑らかな走りは獣人達にも引けを取らない。
身につけいるパーカーのウサ耳をたなびかせ、本当のウサギより速く止は走り続けた。
そしてゴールまであと1キロ強というところでトップ集団を捉える。
一人、二人、三人。
順調にトップ集団を下していく止だったが、あと一人、最後の一人がどうしても抜けない。
もうゴールまで300メートルもない。
（ここまで諦めるわけにはいかない。いかないよね！？）
その答えもまた一つ。
「YES!!!!」
残り少ない体力を振り絞って止が吠える。
そして止の想いに応えるように、『力』は発揮された。
ゴールまであと数メートル。
そんな距離から止は一気に加速して。
ゴールの白いテープを切ったのは紛れもなく止だった。
「ぃやったぁぁぁぁぁ！ ……って、あれ？」
優勝した達成感と喜びで腕を高く掲げて喜ぶ止だったが、先ほどまで聞こえた観衆の声援は消えていて。
かわりに聞こえたのはお静かにという司書の声。
そこは見慣れた図書館だった。
「夢、だったのか？」
それにしてもやけにリアルだったようなと首を傾げながら止は図書館を出た。
これは少女が己の力を自覚した物語。
「な、なんだ？ どこだ、ここ？」
干車 止が辺りを見渡した時、そこは図書館でも寝子島でもなかった。
何やら緑の少ない近代的な街並み。
そして何よりおかしかったのは。
「獣、人……？」
自分以外回りにいるのは体に獣の特徴を持ついわゆる獣人、半獣と言われ存在達。
看板に描かれている文字も日本語や英語など人間の使っている文字と異なるもの。
しかし不思議なことに獣人達はただ一人普通の人間である止を奇異の目で見ることはないし、止自身も何故か今まで見たこともないはずの不可思議な文字を自然に解読できる。
「変なとこにきちゃったなぁ。さっきまで図書館にいて、そう、白い本があって。あー、もうわけわかんな……あ！」
考えることを放棄しかけた止の目に入ったのはインラインスケートレースの文字。
「インラインスケートレース！？」
止の目が輝いた。
「参加費は無料ですよ、参加されますか？」
「勿論！」
受付の獣人に止は即答して参加登録を済ませる。
（難しいことはあとあと！ レースを楽しんでから色々考えようっと）
スタートラインに立った獣人達は総じて体格がよく、みんなとても足が速そうだった。
（それでもやるからには狙うのは絶対優勝だ！）
止は臆することなく気合いを入れて準備運動を始める。
そして屈伸をしながらふと、最近自分に起きたちょっと不思議な事を思い出す。
「……YES」
一言そう呟けばどことなく体が軽くなったように感じる。
気付いたのはつい最近、というか春先ごろからだ。
（ちょっと不気味だから極力YESって言わないようにしてたんだけど、折角こんな世界だし……試してみよっかな）
そんなことを考えている内にスタートの時間が差し迫ってきた。
「位置について！！」
スタッフの声でランナー全員の緊張が高まる。
勿論止も例外ではない。
パァン。
乾いた音がスタートを告げ、皆が一斉に滑り出した。
速い。
止は決して足が遅い方ではない。
しかし獣人達の身体能力は人間を凌ぐようで、止は最前線どころか中間層についていくのが精いっぱいだ。
中間層は一番ランナーが密集していてせせこましい。
止にとっては思うように走れない最悪の場所だった。
（もっと、もっと早く、もっと前に行けたら……）
止の中に生まれる苛立ちと焦り。
それがインラインスケートと足の運びに微妙なズレを生み出して、止の位置はさらに下がる。
ゴールまでまだ距離はあるが、これ以上トップ群と話されると追い上げるのは厳しい。
（私の限界はここ？ 私はこれでおしまい？ ……そんなわけがない！）
止の表情がきりっと引き締まる。
体力はまだある。
ならば、もっと早く早く、風のように滑って走れ抜ければいい。
しかし果たしてそんなことが今後ろを走っている自分に出来るのか。
その為にはもう一度気合いを入れ直さなければならない。
Are you Ready ?
その問いに対する止の答えは一つ。
「YES！ YES！！ YES!!!」
YESを唱えるほど止は自分の体に羽根が生えたような感覚を覚える。
自分の体はこんなに軽かったのだろうかと。
（これならいけるっ……！）
前を走る獣人達の間をすり抜けるように止は駆け抜ける。
今までの走りが嘘の様な、インラインスケートと足が一体化したような滑らかな走りは獣人達にも引けを取らない。
身につけいるパーカーのウサ耳をたなびかせ、本当のウサギより速く止は走り続けた。
そしてゴールまであと1キロ強というところでトップ集団を捉える。
一人、二人、三人。
順調にトップ集団を下していく止だったが、あと一人、最後の一人がどうしても抜けない。
もうゴールまで300メートルもない。
（ここまで諦めるわけにはいかない。いかないよね！？）
その答えもまた一つ。
「YES!!!!」
残り少ない体力を振り絞って止が吠える。
そして止の想いに応えるように、『力』は発揮された。
ゴールまであと数メートル。
そんな距離から止は一気に加速して。
ゴールの白いテープを切ったのは紛れもなく止だった。
「ぃやったぁぁぁぁぁ！ ……って、あれ？」
優勝した達成感と喜びで腕を高く掲げて喜ぶ止だったが、先ほどまで聞こえた観衆の声援は消えていて。
かわりに聞こえたのはお静かにという司書の声。
そこは見慣れた図書館だった。
「夢、だったのか？」
それにしてもやけにリアルだったようなと首を傾げながら止は図書館を出た。
これは少女が己の力を自覚した物語。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2013年10月11日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年10月18日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2013年10月18日 11時00分
