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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
寝子高七不思議シリーズ：北校舎の魔鏡
【策謀】
たやすく溺れてしまう自分も弱さもいかがなものかと思わないではないものの。
「てれ離。いしおとっう」
「よのいないてけ抜だまがれ痺の夜昨……ようょしまいて寝、えね。ねわいなれつ」
絡みつく葉利沢 倫理子、いいえMaliceの腕を無造作に振りほどき、朝鳥 さゆるは乱れたベッドの上で身を起こします。
暗闇にぼんやり浮かび上がる時計で時間を確認しようとするも、そこに提示されているはずの情報をうまく認識できず、二度、軽く頭を振りました。
「？……」
まだ朦朧としたままなのかと自分を疑い、昨夜の半ば暴力的な絡み合いの残滓にひとつ身を震わせてから、もう一度はっきりと時計を確かめます。
見慣れた部屋に起きた異変は、さゆるを覚醒させるに十分でした。
「のなたま。うそ……ああ」
「ぃにぁな」
けだるそうに起き出したMaliceは無視して、さゆるは手早く身支度を整え、部屋を出ます。身体にも異変はあったものの、さして戸惑いもせず、すぐに適応してしまいました。
「ねンヘが体身かだんな、らあ…… ？るゆさ、のたしうど、とっょち」
「でいなこていつ。いさるう」
夜風に吹かれながら街並みの変貌を見据えて、Maliceも察したようです。
「いなゃじい白面。ねどほるな ？えへ」
確かに異変は一目瞭然です。なにしろネオンが灯る看板も、道路標識も、電信柱に張り付けられたいかがわしいチラシも、その全てが鏡に映したように反転しています。
そう、ここは鏡の中。鏡の世界。どうやらふたりが暮らす寝子島とは似て非なる場所であるようです。
（似て……非なる）
その考えが脳裏へ湧いて出たのは、もはや自然なそぶりで絡みついてくるMaliceにうんざりとして振り払おうとした時でした。
例えば。そう、例えば……この世界で死んだら、どうなるのだろう？ 私やMaliceが死んだなら、現実の寝子島にはどんな影響がもたらされるのだろう？
単純に考えて、消えてしまうのでは？ 寝子島からさゆるやMaliceといった存在は消え失せ、やがて忘れ去られてしまうのでは？
（それなら……）
この世界で、鏡の中で。Maliceを排除してしまえば。そうして、さゆる自身も死んでしまえば。
全てが驚くほど、スムーズに、何もかもうまくいくのでは？
「らしかのもなんこばえましてれ慣見、ま」
さゆるのみならず、Maliceもまたどこかが壊れていると言って間違いないことでしょう。
心躍る異変、違和感に満ちた鏡の世界の光景もすぐに見慣れてしまい、Maliceの心にはなんの刺激ももたらさなくなってしまいました。脳から身体へ飛ばす指令の左右が逆転しているのを、最初はちょっとしたゲームのつもりで楽しんでいたものの、すぐに飽きて当たり前のこととなりました。
「……的激刺どぽっよがうほの夜のあ、らなれこ。けだるいてし転反だた。ねわいなはとこのんな」
言いかけて、Maliceは口をつぐみます。さゆるがそれを気にする様子はありませんでしたけれど。
（……姫木 じゅん！！ あの女……）
その記憶は止め処ない怒りと、底抜けの快楽に染め上げられています。
自分があの女を貪ってやるはずが、さゆるの目の前であの女を壊してやるつもりが、結果はその真逆。まったくもって、失態でした。
そうしてMaliceの思考が行きつく先は結局のところ、さゆると同じ。本質的にはどこかで、彼女らは似ているのでしょう。
（ふふん？）
もとより躊躇はありません。やるべき時には滞りなくやるつもりです。けれどそれだけでは、Maliceは満たされません。
姫木 じゅんは路傍の石に過ぎず、本当に欲しいのはさゆる、その全て。
（だったら、案外都合がいいじゃない？ この世界って）
左右の反転はあれど、そこらの家並みなどは変わらない様子。となれば、Maliceも知るあの女の家だって、あの少女趣味でピンク色のくそったれな部屋だって、きっと同じ場所にあるはず。
どうやらこの世界の人間は、性格までも反転していることがあるようです。
では、姫木 じゅんの変わりようをさゆるが目にしたなら？ あるいはさゆるの眼前で、弱弱しくなったあいつを壊してやったなら？
「♪たえ考とこいい。っふふ」
「ね遇奇。うそ、えへ……」
さゆるのことだから、自分と似た思考に至ることは想像に難くありません。彼女の考えることなどお見通しなのだから。
「るゆさ、ようょしまみし楽、ふふふ ？ろことてっ争競たしとっょち。たきてっなくし楽」
「る出がドヘ」
夜闇を照らすネオンにさゆるの瞳が照り返し、Maliceはその美しさに、芯の奥へ疼きを覚えずにいられません。
たやすく溺れてしまう自分も弱さもいかがなものかと思わないではないものの。
「てれ離。いしおとっう」
「よのいないてけ抜だまがれ痺の夜昨……ようょしまいて寝、えね。ねわいなれつ」
絡みつく葉利沢 倫理子、いいえMaliceの腕を無造作に振りほどき、朝鳥 さゆるは乱れたベッドの上で身を起こします。
暗闇にぼんやり浮かび上がる時計で時間を確認しようとするも、そこに提示されているはずの情報をうまく認識できず、二度、軽く頭を振りました。
「？……」
まだ朦朧としたままなのかと自分を疑い、昨夜の半ば暴力的な絡み合いの残滓にひとつ身を震わせてから、もう一度はっきりと時計を確かめます。
見慣れた部屋に起きた異変は、さゆるを覚醒させるに十分でした。
「のなたま。うそ……ああ」
「ぃにぁな」
けだるそうに起き出したMaliceは無視して、さゆるは手早く身支度を整え、部屋を出ます。身体にも異変はあったものの、さして戸惑いもせず、すぐに適応してしまいました。
「ねンヘが体身かだんな、らあ…… ？るゆさ、のたしうど、とっょち」
「でいなこていつ。いさるう」
夜風に吹かれながら街並みの変貌を見据えて、Maliceも察したようです。
「いなゃじい白面。ねどほるな ？えへ」
確かに異変は一目瞭然です。なにしろネオンが灯る看板も、道路標識も、電信柱に張り付けられたいかがわしいチラシも、その全てが鏡に映したように反転しています。
そう、ここは鏡の中。鏡の世界。どうやらふたりが暮らす寝子島とは似て非なる場所であるようです。
（似て……非なる）
その考えが脳裏へ湧いて出たのは、もはや自然なそぶりで絡みついてくるMaliceにうんざりとして振り払おうとした時でした。
例えば。そう、例えば……この世界で死んだら、どうなるのだろう？ 私やMaliceが死んだなら、現実の寝子島にはどんな影響がもたらされるのだろう？
単純に考えて、消えてしまうのでは？ 寝子島からさゆるやMaliceといった存在は消え失せ、やがて忘れ去られてしまうのでは？
（それなら……）
この世界で、鏡の中で。Maliceを排除してしまえば。そうして、さゆる自身も死んでしまえば。
全てが驚くほど、スムーズに、何もかもうまくいくのでは？
「らしかのもなんこばえましてれ慣見、ま」
さゆるのみならず、Maliceもまたどこかが壊れていると言って間違いないことでしょう。
心躍る異変、違和感に満ちた鏡の世界の光景もすぐに見慣れてしまい、Maliceの心にはなんの刺激ももたらさなくなってしまいました。脳から身体へ飛ばす指令の左右が逆転しているのを、最初はちょっとしたゲームのつもりで楽しんでいたものの、すぐに飽きて当たり前のこととなりました。
「……的激刺どぽっよがうほの夜のあ、らなれこ。けだるいてし転反だた。ねわいなはとこのんな」
言いかけて、Maliceは口をつぐみます。さゆるがそれを気にする様子はありませんでしたけれど。
（……姫木 じゅん！！ あの女……）
その記憶は止め処ない怒りと、底抜けの快楽に染め上げられています。
自分があの女を貪ってやるはずが、さゆるの目の前であの女を壊してやるつもりが、結果はその真逆。まったくもって、失態でした。
そうしてMaliceの思考が行きつく先は結局のところ、さゆると同じ。本質的にはどこかで、彼女らは似ているのでしょう。
（ふふん？）
もとより躊躇はありません。やるべき時には滞りなくやるつもりです。けれどそれだけでは、Maliceは満たされません。
姫木 じゅんは路傍の石に過ぎず、本当に欲しいのはさゆる、その全て。
（だったら、案外都合がいいじゃない？ この世界って）
左右の反転はあれど、そこらの家並みなどは変わらない様子。となれば、Maliceも知るあの女の家だって、あの少女趣味でピンク色のくそったれな部屋だって、きっと同じ場所にあるはず。
どうやらこの世界の人間は、性格までも反転していることがあるようです。
では、姫木 じゅんの変わりようをさゆるが目にしたなら？ あるいはさゆるの眼前で、弱弱しくなったあいつを壊してやったなら？
「♪たえ考とこいい。っふふ」
「ね遇奇。うそ、えへ……」
さゆるのことだから、自分と似た思考に至ることは想像に難くありません。彼女の考えることなどお見通しなのだから。
「るゆさ、ようょしまみし楽、ふふふ ？ろことてっ争競たしとっょち。たきてっなくし楽」
「る出がドヘ」
夜闇を照らすネオンにさゆるの瞳が照り返し、Maliceはその美しさに、芯の奥へ疼きを覚えずにいられません。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2021年07月30日
- 参加申し込みの期限
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- 2021年08月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2021年08月06日 11時00分
