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ビッグニュースというのはですね――とここで解理は声をひそめた。いきおい貴子も身を乗り出さずにはいられない。
「新しい理事長が就任したんです。寝子高で」
世間的にはコップのなかの渦かもしれないが、解理にとっては嵐の到来だ。
「その名も野々ととおと言います」
「野々……?」
貴子もピンときたらしい。
「そうです。野々氏の父親を名乗る中年男性なのです!」
新理事長の就任と同時に、寝子高周辺では妖怪事件が発生している。解理の見立てでは、ととおこそが事件の原因だ。彼はまた、天界の記憶をもった現役のらっかみでもあると解理は考えていた。
と説明しても貴子さんは半信半疑だろうから――。
「僕の知りたいことを知ってそうな人でもあります」
解理はかく表現したのだった。
「例の落神伝説ってこと?」
「もちろん! 彼こそキーパーソンだと思います」
色々な意味で常識はずれ、言いかえれば『フツウ』の枠からはみだしまくった人物であると解理は語った。
「貴子さんが在学してたら、風紀委員魂に火を付けるタイプであろう存在ですよねえ」
「えっと……」
眼前にとつぜん鏡をつきつけられたかのように、貴子はするっと視線を外した。
「あまり昔のこと、責めないでもらえる?」
怒っているわけでも悲しんでいるわけでもない。ただ、貴子は恥ずかしそうにしていた。目線が定まっていない。
「責めてるだなんてそんな」
たしかに私も、と貴子は言った。
「風紀の乱れは心の乱れっ、とかなんとか言ってビシバシと学内の綱紀粛正にはげんでいたこともある……否定しないわ、人一倍熱心だったから。でもあれ、いま思えば誰のためにやってたんだろう、って気がするの」
「それはもちろん、大きくは世のため人のため、小さくは寝子島高校のためでは」
「当時はそう信じてた。当時はね。でも結論は出てる。……それはね、自分のためだったってこと」
と言い切ってしばらく、貴子は黙って手元のプリンを見つめていた。
「悪く言えば自己満足。他人の行動に目をつりあげて、カギカッコつきの『正しさ』のワクに押しこめようと必死になってた。でもあの行動は、他人を管理したい、コントロールしたいっていう幼児じみた欲望でしかなかったように思う。小さな怪物ね」
風紀委員長の腕章を巻き、鬼もたじろぐ『いいんちょ』として学内を巡察していた過去を、現在の貴子は評価していないようだ。
「いまだって道ばたで酒盛りして騒ぐような人たち、電車内でマナーを守らないような人たちには黙っていられず注意したりするけど、これはもう性分のようなものだと思ってる。でも高校時代みたいに、多少のことでも口うるさく絡んでいったりはしない。みんなに『正しさ』を押しつけて、言いなりにしてかりそめの万能感にひたったりするのはやめたわ。窮屈なだけだからね、そういうの」
「貴子さん――」
成長したんですね、と言いそうになって解理は口をつぐんだ。なんだか自分が彼女の保護者であるかのような、上から目線的な発言のように思えたからだ。
かわりに解理はこう言った。
「素敵です」
「そ、そう?」
直球すぎる発言だったせいか、貴子は照れた様子でついっと眼鏡の位置を直した。
「なんというか、芯にあるものはそのままに一皮むけたような印象です。もちろん僕は以前の、『いいんちょ』な貴子さんも好きですけどいまの」
「いまの私も?」
「す……」
しまった!
解理は頬が急速に熱をおびていくのを感じている。
貴子が、まばたきもせずじっと見つめていたから。からかうわけでもなく冗談めかすわけでもなく、ただほんの少しだけ微笑して。
言ってご覧なさいな、解理さん。あなたのそのかわいいお口で。
私のこと、好きだって。
貴子がそう言っているように解理には聞こえた。いや、見えた!
――小悪魔っぽくなっておられる!
これが現役女子大生力(ぢから)だというのか。ついに貴子ニウムは新たな段階に達したというのか。大学入学後一年余の時間が貴子に与えた影響を、思わずにはいられない解理である。
紅潮する。額に汗がうかぶ。でも解理は貴子から目が離せない。まなざしを逃すことができない。
だが解理の舌は目とは逆の行動を取った。つまり、逃げた。急な坂道をくだる自転車ペダルみたいに空回りしながら。
「あー、だから僕は興味津々なんです。野々新理事長に!」
問いへの回答をふっとばし強引に話題を戻したのである。
「なぜならですね! 彼は伝説に近い、限りなく核心に近い人物だとみているからです。天界から落ちてきた衝撃で霊界と島をつなげたという『神のやらかし』伝説に迫ることが、僕の悩みの活路になるかもしれないのでっ!」
そうなの? と言う貴子の口調はとりたてて失望したようには聞こえない。
この話であれば解理はいくらでも話せる。加速するように身振り手振りをまじえて続けた。
「落神がきたら大規模な変化が起こるというのなら、過去の寝子島で起こったそれらしい出来事が、彼らがきた証拠になるかもしれません。その時代に起こった出来事について話を聞けば、それが過去に、野々氏以外に寝子島に来た落神によるものなのかわかるかもしれないと思うからです」
落神の元祖は野々氏だが、ここに来たのがその一回きりとは限らない――解理はそう考えている。
でもここで、しまった話しすぎたかと思い至った。
「ええと、それって、やっぱり野々さんとそのお父さんが神様だという前提で言ってる?」
貴子が指摘するのは当然だろう。興奮のあまりつい、解理は野々家のふたりを『神に近い人物』ではなく『神そのもの』であるかのように語っていたのだから。実際に解理はそうみなしているのだが、貴子にとってはやはり飛躍のしすぎな話だろう。
「ま、まあそれはともかく」
と咳払いして解理はつづけた。
「いずれ野々ととお氏にアポを取り話を聞こう、と僕は考えています。うまくいけば神様的存在の証明になるから、生涯をかけて調べる価値にもなるでしょう」
「だけど伊賀さん。否定されたらどうするの?」
「そこなんですよねえ」
解理は座り直す。
「『ちがうよ』と言われて『じゃかじゃん♪』とか効果音が鳴って終わりかもしれないし、そもそもまともに話してくれるかどうか……というのもありますね」
クローネのように、もしかしたらとんでもない怪物って可能性もあるから油断せずに行かなきゃ。
「……ところで、ここまで僕ばかり話してしまったけど貴子さんの話も聞かせてくださいよ。そろそろ」
「私の? どういうことが知りたいの?」
「何か面白い出来事があったとか、もしくは大学や日常生活での悩みとか……僕じゃ解決できる手助けはできないかもですが」
「それほど大きな話はないけど――」
しばし考えたのち、そうだと貴子は言った。
「最近、ボランティア活動をしているサークルに勧誘されて、まだ正式に加入したわけじゃないけど迷ってる」
「ボランティアですか。皮肉でもなんでもなく、貴子さんらしくていいと思います。どんな活動をしているサークルなんですか?」
「主に環境保護活動だけど、地域に暮らす障がい者の援助にも参加しているみたい。あとは大規模災害があったとき被災地に救援物資を運ぶ手伝いも行うんだって」
前の週末は手話の講習に参加したのよ、と貴子は言った。
「いいじゃないですか。教師という貴子さんの夢にもプラスになりそうですし」
と解理がうなずいたところで、
「チーッス!」
男の軽やかな声がした。貴子と解理は同時にその方向に顔を向ける。
よく日焼けした若い男だ。スパイラルパーマをかけた茶髪のロン毛、あごに砂鉄みたいなヒゲを生やしている。タレ目で細眉、シャツのボタンは胸元まで開けていた。解理の分類ではまちがいなく『チャラい』というジャンルに該当するタイプである。
「十輪田(とわだ)さん」
「今日八時からのMTG、木嶋ん家でやんだけど。北っちも来るだろ?」
「いえ、私は正式なメンバーじゃありませんし。お邪魔しては迷惑かと」
「まーたまた、他人行儀はよせってばよ。なじんじゃえばメンバーってなー」
MTGという言葉の意味をつかみかねて解理は少し考えたが、おそらくミーティングの略だろうとあたりをつけた。
ここまでしゃべったところで『十輪田』と呼ばれた男は、漫画のセリフっぽく「おろ?」と言って目を丸くした。
「隣の子誰? かわいいじゃん。北っちの友達?」
「彼女は高校の後輩です。伊賀さん」
「そーなん? とすると現役JK? まぶしーなぁ。あ、俺、ボランティアサークル『ULTRA FEEL』代表の
十輪田 黄金
(とわだ・こがね)ね。よろしく! でさあキミも、なんならいっぺん参加してみねぇ? うちら学外メンバーも歓迎だからさあ」
「十輪田さん、この子受験生だから、今年」
「そーかぁ。じゃあ大学に合格したらおいでよ。それで北っち今夜こねーの?」
虫酸が走る!
解理からすれば今すぐ全身の毛を逆立てて威嚇し、追っ払いたい種類の男だった。一般的には『イケメン』という俗な言葉が似合いそうなルックスといえよう。しかし見た目が軽薄すぎる! そこは百歩譲って目をつぶったとしても、安っぽい言葉づかい、初対面の女性に『かわいいじゃん』などといけしゃあしゃあと言える厚顔さ、そして何より、貴子にたいするなれなれしい呼び方が許せなかった。
なにが『北っち』だ! 貴子さんに対して!
ただこの十輪田とかいう男は、それなりの自信家だとは理解できた。こんなチープそのものの言葉づかいに態度でも、世間は自分を許してくれると信じて疑っていないだろう。
まあ、世間が許しても僕は許さないけどね。
というか貴子さんも嫌いでしょ? こういう輩(ヤカラ)は――。
と考えて横目で貴子を見たらあにはからんや、
「また機会があれば……」
ぼうっとした口調で彼女は応じたのである。はにかんでいるかのように。
もしかして、まんざらでもないとでもいうんですか!? 貴子さん!?
あと二言三言貴子と言葉をかわして、またチーッスだかチョリーッスだか言って十輪田という男は離れていった。
いますぐ清めの塩をまきちらしたい気持ちの解理だ。
「貴子さん、そのウルトラソウルだかフィール・グッド・メンだかいうサークル……」
「『ULTRA FEEL』よ、伊賀さん」
「そのボランティアサークル、僕の予想では女子のほうが多いでしょ?」
「八割方は女子って話ね」
「でしょう!」
だから反対なんですと解理は言った。
「ああいう女子食い放題みたいな手合いが悠々と泳ぎ回る生け簀(す)みたいなサークルだという気がします。ボランティアという志(こころざし)は評価しますが、はっきり言って参加するのは賛成できません」
これでわかってもらえるかと解理は期待したが、貴子は眉をしかめただけだった。
「解理さんそれはちがうわ。十輪田さんは大学を二年留年してるけど」
「二年も! ちょっとそれヤバいやつなんじゃ……」
「聞いて! でも留年はボランティア活動に熱心すぎたからって話よ。実際、東南アジアの貧しい国にも単身で何回も滞在して、現地で学校を作る活動なんかに従事してきたっていうし」
「それ本当なんですか? にしても薄っぺらすぎるように見えますよ。彼の言動とルックスのすべてが」
「伊賀さん、表層的なもので人を判断するなんて、まるで昔の私みたいじゃない? 十輪田さんは真面目な人よ」
言えば言うほどに貴子は意固地になりそうだった。だから解理は、
「もういいです。すみませんでした」
と話を打ち切るほかなかった。
これなら『いいんちょ』だったころの貴子さんが良かったのかなあ――。
結局その日は、微妙な雰囲気になったままお開きとなったのだった。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年07月25日
参加申し込みの期限
2021年08月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年08月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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