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石碑みたいに整然とならんだ団地を縫い海が見えるまでぬけた先に、雑貨屋をかねた駄菓子屋があった。リンが行きがけに通りかかった場所だ。
案内図に『いこいの広場』と書かれた一角に入る。バスケットコートふたつ分くらいの面積だろうか。中央にはモニュメントを兼ねた日時計があった。足元にはひび割れたタイルが放射状に埋められ、幾何学的な模様を作っていた。
広場にはベンチもあったのだが、晴月は日時計が気に入ったらしくその縁に腰をおろした。リンとともかも晴月にならった。
アイスの袋をリンは破った。チューブ型の氷菓子だ。乳酸菌飲料味で色は白い。二個セットなのでぱきっと割ってから、
「どうぞ」
と晴月とともかに差しだす。さきほどの駄菓子屋で「ちょっと暑いし水分補給もかねて」と買ったものだ。
晴月はなんにも言わずに受け取ってチューブの口を開け、「なにこれ? ……おいしい! つめたい!」とさっそくパクついていたが、ともかのほうは手をださない。
知らない人にものをもらっちゃいけない、と教わっているのかな。
「大丈夫、晴月の友達は僕にとっても友達だよ。遠慮しないで」
するとようやく、ともかはおそるおそるアイスを受け取ったのである。
「……ありがとうございます」
消え入りそうな声なのはあいかわらずだが、言葉は小学一年生とは思えないほどしっかりしている。それを聞いて晴月は思い出したように「わたしもありがとー」とチューブをかみかみしながら言った。
「僕もおなじものを」
リンはもう一袋開けた。でもその前に、と思いだし日時計の縁から降りて、
「ひじきにも、はいにぼし。もしかしたらまた会える機会があるかも、って思って持ち歩いてたんだ」
袋からいくつか取り出してタイルに置いた。
待ってました、とでも言うようにひじきはにぼしにかぶりつく。
ようやくここに来て、通行人の姿を目にするようになった。
数は多くない。大半は年寄りで、唯一の例外は小さな子を連れた母親だった。男の子は三輪車を一生懸命、キコキコキコとこいでいる。
「晴月は空の上から何が見えた?」
「町! それと山! 海!」
晴月の回答はストレートすぎるほどに単純だ。たちまちチューブ一本を食べてしまって、リンが余らせたもう一本を獲物をねらうような目で見ている。
「食べる?」
と渡すと「うん!」と言うなりもう手にしていた。
「ともかちゃんは、空を飛んでどう思った?」
返事は期待していなかったのだが、ともかはこたえてくれた。
「面白かった……です。いやなこととか、わすれるくらい」
なお、ともかのアイスはまだ半分も減っていない。
一年生なのに立派な受け答えだね。
でも、とリンは思わずにはいられなかった。
こんな小さな子が、『いやなこと』なんて真っ先に言うのは気になる――。
ズボンの裾にひじきが爪をかけた。どうやらにぼしを求めているようだ。最初にあげたものはきれいになくなっている。不思議なところのある猫だけど、こうしていると普通の猫と大差ない。
「おかわりだね? 待ってて」
リンがトランクを開けたところで晴月が中をのぞき込む。晴月は詩集を指さした。
「これ、なに?」
「ああ、本だよ。僕が小さいときに読んでいた……というか見ていた本、星空がすごく綺麗なんだ」
見る? と開くと晴月はもちろん、ともかも興味深そうに顔を寄せてきた。
「これ、夜の空、夜の星」
「プラネタリウムみたいです」
「この明るい星をむすんで、『北の大三角』って言うんだよ」
しばし三人で夜空の写真と詩を鑑賞する。にぼしを平らげて満足したのか、やがて脇をすり抜けてひじきも、リンの膝に乗り鑑賞者にくわわった。
「晴月も星空の中飛んだことある?」
「ない。けど今度ためしてみたい」
リンとスピカの心をとらえた一冊は、あらたに二人と一匹の心もとらえたらしい。
本を閉じたところで、ともかがはっとしたように顔を上げた。
「戻らないと……!」
これまでで一番大きな声だった。
「どこに?」
「尚輝おじ……叔父のところ、です。きっと探していると思います」
「もっと遊ぼうよ」
屈託なく晴月は言うのだがともかは譲らなかった。
「ごめんなさい、晴月さん。おじさん、心配していると思うから。だまって行ってしまったし……」
「それはいけない。送っていくよ。場所はわかる?」
リンも問いかけた。でもともかは、困ったように晴月に顔を向けるだけだ。
「ぶー! 行っちゃやだ」
晴月はあからさまに嫌そうな顔をした。
「頼むよ晴月。遊ぶのはまたの機会でもいいと思う」
「今度っていつさ?」
まだ私、島にいますから、とともかが言う。
「だから近いうちに」
「……しかたないなあ」
晴月はともかに手を伸ばした。ともかも握りかえす。
「お願いします」
「僕も行こうか?」
「ううん、飛んでいかないとちょっと時間、かかる」
晴月は日時計に上がった。裸足でモニュメントを蹴る。
すうっと晴月とともかの体が浮き上がった。
「リン、またね。ばいばい」
「戻ってくれたら、晴月は家まで僕が送っていくよ」
「家? わたし、家、ない」
晴月はこともなげに言うと、「また!」と言い残し高度を上げる。
「さようなら。アイス……ごちそうさまでした」
やはり一年生とは思えない丁寧さで頭を下げ、ともかの姿も昇っていった。
たちまちふたりの姿は、空の上の点になってしまったのだった。
リンは首が痛くなるほど見上げた姿勢のまま見送るほかなかった。
気がついて見わたしたが、もうお年寄りたちも、三輪車の子もそのお母さんも姿を消していた。
リンの膝から、ひょいとひじきが飛び降りて小さなクシャミをした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年07月25日
参加申し込みの期限
2021年08月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年08月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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