【修学旅行】アッツイ、タイに行きたいッ！｜リアクション

【修学旅行】アッツイ、タイに行きたいッ！

●１日目：プロローグ

　飛行機がゆっくりと降下をはじめた。
　切れ切れの雲が筋となって窓の外を通過する。
　機体が旋回して傾いた。雲の間から、夕日に照らされ黄金色に輝く首都バンコクの都会的な街並みが姿を現すと、機内のあちらこちらから弾む歓声が聞こえた。
　やがて飛行機はバンコク中心部から約30kmのところにあるスワンナプーム国際空港に着陸した。サンスクリット語で「黄金の土地」を意味する名をもつそこは、まるで宇宙港のように巨大で近代的な建築物で、アジアでもっとも繁忙な空港の一つだそうだ。
　天井の高いフロアには巨大な白い礼服の男性の写真が飾られていた。国王の写真である。タイは王国なのだ。
　理事長の野々ととおは、ほほう、と身の丈の３倍はあろうかというその写真を見上げた。