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夏への伝言
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思いがけず、思いがけない方向から飛んできた否定の声に満月はぱちりと瞬く。望月の隣のいいなを見遣る。
「其れは泉殿が言うた言葉ではなかったのじゃ」
揃えた膝に袖を負ったコートの両手を置き、いいなは背筋を正した。泉やキンゾーたちに確かめた、満月の高校時代。仲間の大切なものを守ろうとした叔母の話。
「確かに、喧嘩を仲裁したのは泉殿じゃ」
「だろ?」
思い出したさね、と得意げな顔をする満月に、いいなは首を横に振る。叔母は肝心なところを違えて記憶してしまっている。
「その後に、『その綺麗な手を、喧嘩で壊さないでください。美しい作品のために使い続けてください』──」
「……あん?」
恩師との記憶を否定されて難しい顔になっていた満月の表情がますます険しくなる。野犬が唸るような声が喉から漏れて、途端キンゾーと花屋と肉屋が椅子の引っ繰り返りそうな勢いで立ち上がって壁際まで後退った。
固まって怯えるいい年した男たちをジロリと見遣って更に怯えさせ、満月はいいなに詰め寄る。
「ちょいと待ちないいな!」
「うむ」
「殴り合いを止めたのは、泉先生?」
「うむ」
いいなが泉を見る。泉が無言で頷く。
「でも言ったのは、太一っつあん?」
「たーしかそうだったんじゃろ、太一さん?」
いいなが満月の背後へと視線を投げる。振り返った満月の視界に、困ったような顔で太一が立っていた。
「……そんな流暢に言えていないですが」
頭を掻いた太一は泉と満月の手から空になったジョッキを取り、またなみなみとビールを注いだジョッキを手渡した。渡された端からビールをあおり、満月は混乱気味に呻く。
「あっ、あれっ、だ、あたし、」
あの言葉は泉先生が言ったんだと思っていた。
「すごくその言葉頼りにしてたし」
好きだった、と呟いてから、自分が思わず口にした言葉の意味に頭を殴られる思いがした。
「わわわわ」
どうすればいいのか分からなくなって、とにかくビールをあおる。知らない間に熱を帯びていた頬をビールで冷やそうとする。
「泉先生!」
すぐ後ろに立つ太一に声を掛けることが出来ず、横の泉に向けて喚く。
「『随縁行』ってこれの事ですかっ!」
「……さて」
くすくすと笑いながらふらりと立ち上がった泉は、ジョッキを片手に少し離れた席で将棋を打つ爺連中のもとへと向かった。親し気に声を掛け、酒を酌み交わしながらの将棋談義に花を咲かせ始める。
「ありゃー、ねーちゃんの取り乱した姿初めて見たよーな気がする」
壁際から戻ってきたキンゾーにヴィネットを恭しく返しつつ、望月は真っ赤な顔で狼狽えるばかりの姉を見遣り、隣のいいなを見遣る。
「それにしても、よく見つけ出したなそんな記録」
叔父の尊敬のまなざしを受けて、いいなはぬひひひと悪人面で笑った。
「そこは花屋の三代目が記録しておったぞな」
コートのポケットから取り出したスマートフォンの画面に映し出すのは、叔母の過去を探る中で花屋に見せてもらった十年以上前に流行っていた日記型SNS。
「ねっと黎明期のSNSじゃ!」
そーしーてー、といいなは得意満面でスマホを操作し、次の画面を望月に示すも、
「ゲゲッ、ニャクシのマイページ!」
先に反応したのは満月だった。いいなの手の中のスマホを覗き込み、頭を抱える。
「あたしゃ削除して無かったのかい!」
見なくなっただけですね、と言う花屋の言葉に満月はまた頭を抱えた。ニャクシを始めた花屋に招待されるかたちで始めたSNSで、していたことと言えば花屋に頼まれた詩の添削くらいなものだったが、
「しかも書き込んでたのかいその言葉」
マイページと呼ばれる自己紹介ページの『好きな言葉』の欄に先程いいなが口にした言葉がそのまま記されていて、満月はがくりとくずおれた。
「花屋の詩の添削なんかすんじゃ無かった……」
「えーでも、ありがたかったですよー」
「僕は満月さんに褒めてもらったから作品をネットにアップ出来ましたし」
「流石姐さん!」
高校生の頃の追っかけ連中から慰めとも何とも判別つかぬ言葉を掛けられ、満月はよろよろと椅子に掛け直す。片胡坐に頬杖ついて、やさぐれた仕草でビールをあおろうとしたところでジョッキが空になっていることに気が付いた。
「どうぞ」
「ああ、ありがとね」
折よく差し出されたお代わりを受け取って、差し出してくれた太一を横目に見る。唸ってジョッキに口を付けて、覚悟を決めて立ち上がる。きょとんとする太一と真正面から向き合う。
「嗚呼もうコンニャロ!」
「……みーちゃん?」
あの夜、覚えていますかと問うてきた太一にきちんと答えなくてはならないと思った。
憧れています、と言ってくれた真摯さに向き合わなくてはならないと思った。
「あの言葉覚えてましたっ! そこからあんたが達磨になったんですね!」
睨むように見上げた視線の先、太一は熊のような髭面を赤くした。
「満月さん」
「なんだい」
「僕は、満月さんの手を守れていますか」
照れたまま口説くように言われ、満月は言葉に詰まる。
「僕は今でも満月さんに憧れています。満月さん好みの男にはなれないですが……今からでも、守らせてくれますか」
「……って言うなーっ!!」
同じように赤くなった満月の渾身の拳を腹に食らって、けれど太一は一歩よろめいただけで受け止めた。得意顔をする太一の腹にもう一発くれてやって、満月はドカリと椅子に座り直す。今日はもう『うさぎ屋』は臨時休業と決め込んで、高校時代の仲間と飲み明かしてしまおう。
キンゾーたちと乾杯を始める姉の背を眺めて、望月は小さな笑い声を零した。
「初期のネットの海バンザーイ」
「じゃな」
コートのポケットにスマホを仕舞ういいなと共に店の前の七輪の番をしている『ハナ』の女将に礼を伝え、ふたりは家路を辿る。いつも頑張り過ぎるほどに頑張って店を切り盛りしている満月にとって、突発的とは言え今日がいい休暇と転機になればいいと願いながら。
「夕飯何にすっかなー?」
「あー肉屋の唐揚げなら有る。それと味噌汁?」
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
『満月ちゃん昔何やった編』、お届けにあがりました!
満月さんの過去を探る弟&姪コンビの聞き込みの旅と満月さんの過去のあれこれ、とても楽しく書かせて頂きました。ありがとうございました!
少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
このたびはご依頼いただきましてありがとうございます。
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
3人
参加キャラクター数
3人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年07月05日
参加申し込みの期限
2021年07月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年07月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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