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夏への伝言
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ふと気が付いて手元を見下ろせば、じゃがいもひとつふたつ分ではきかないほどの千切りの山が出来ていた。
「あ、」
十年以上も前に『やらかしたこと』を思い出そう思い出そうとしているうちにも動き続けていた手は、また大量の刻み野菜を作り出してしまった。
「さて、」
まな板の上のじゃがいもを見下ろし、満月は腕組みをして考える。やってしまったものは仕方がない。問題はこのじゃがいもの山をどう料理するかだ。
慣れた手つきで千切りじゃがいもをひと切れ残らずボウルに放り込みながらも、頭はまた過去を堂々巡りに巡る。
(うーん、……)
冷蔵庫から取り出したとろけるチーズを千切りじゃがいもと混ぜ、作業台に据え付けられた業務用の大きな鉄板に火を入れる。
(思い出せないったら思い出せないねぇ)
『やらかしたこと』は多々あれど、太一絡みの、しかも十何年も前の『やらかしたこと』には、皆目見当もつかない。
(コレじゃあそろそろポンコツなのがバレちまいそうだよ)
鉄板に油を敷き、チーズ入りの大量のじゃがいもを投入する。両手に持った鉄コテでいくつかの塊に分け、薄く延ばしてガレット風にしつつも、
(しかしアレだ、)
考えるのはやっぱり、太一の言葉。『あの時から』の『あの時』はいつだろう。自分は幼馴染の彼に対して何をやらかしたのだろう。
(十ウン年前は太一っつぁんももうちょっとシュッとした顔だったように思うんだがねぇ……)
ふらりと思考が飛ぶ。太一が今のような筋肉達磨になってしまったのはいつからだっただろう。
ガレットの表面をこんがりカリカリに焼きあげる合間に、店の入り口近くの棚にしまい込んでいた暖簾を手に取る。
(……達磨?)
店の軒先に暖簾を掛けようとして、ふとナニカが頭の端に引っかかった、気がした。
(あれ?)
確か、と眉を寄せる。
(高校初出展の作品も達磨の……)
ムムムと眉が寄る。
(何だったかねぇ?)
確か、確か、と唸る背後に近づく軽やかな足音を耳に留め、満月はひょいと振り返った。途端、栗色の大きな瞳が明るく笑う。
「あらま泉先生?!」
「やあ」
口元と目元に柔らかな笑い皺を刻み、満月の恩師である
泉 竜次
は被っていた中折れ帽を片手に取って会釈した。
「邪魔してもいいか?」
「嫌だよこんな夕飯を作ってる時に」
冗談めかして言いながらも、満月は入口の戸を大きく開いて泉を招き入れる。焼き上がりつつあるじゃがいものガレット風がじゅわじゅわとチーズの香ばしい匂いを立てている鉄板前のカウンター席に恩師を通して、
「あ、」
ひとつ、思い出した。
「『無所求行』」
思わず口にすると、泉は小さく笑んだ。
「俺が君に勧めた一文だ」
「……達磨さんの『二入四行論』からの一文ですよね」
焼き上がったガレットを適当に切り分けて皿に移す。鉄板の掃除をする手を休めることもなく、満月はちらりと唇を尖らせた。
「求める事をするなって文字」
泉に反発しながらも、文字を書くのは楽しくて、だから勧められるままに筆を執って文字を記した。
「先生あたしに喧嘩売ってんのかって思った程ですよ」
あの頃のようにむくれた顔をして見せてから、思わず吹き出す。そう思いながら書いた文字が書道展に出展されるとは思ってもいなかった。
「軽く食べていきます? 我が家のおかずですけど」
切り分けたガレットを小皿に盛り、冷たい麦茶と一緒に差し出す。いただきます、と手を合わせて箸を取る泉先生の所作は、とても洗練されている。
焼き立てのガレットをひとくち齧って箸を一旦置き、泉は静かに笑んだ。
「『無所求行』──とらわれず、もとめず。生きている限り辛いことはある。しかし、それらにも、……須らく何事にも囚われず縛られず、自由な心の境地に至れ」
恩師が滔々と語るのは、己がずっと思っていたのとは違う『無所求行』の意味。
泉が投げてきたまなざしを真っ向から受け止め、満月は悟る。
「それ、阿呆な挑戦者竹刀で叩き伏せてたあたしに対しての励ましだったんですね」
「あの時書いた他の言葉の意味は調べているか」
ええ、と満月は頷く。
「『報怨行』、『随縁行』、『称法行』、」
意味の分からぬ文字を書かされる苛立ちから、ともかくも辞書を開いて言葉を追った。あの頃の己に泉に示された言葉の真を追い切れていたとは思えぬが、今ならば。
「……確かにそうですねぇ、あの時のあたしゃ『報怨行』の真っ最中だったと思いますねぇ」
ふむ、と面白そうな顔をする泉に、満月はちょっと難しい顔をしてみせる。なんだか、十何年越しの授業を受けている気分だった。
「他を恨むな自分のやった事を反省しろ、でしたっけ?」
先生は莞爾と笑う。
ごちそうさま、と空の皿とコップを前に手を合わせ、先生は立ち上がった。
「なら、もうそろそろ『随縁行』だ」
ついて来なさい、と至極楽し気な先生の背を茫然と眺めやって、満月は慌てる。
「って、泉先生どういう意味?!」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
3人
参加キャラクター数
3人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年07月05日
参加申し込みの期限
2021年07月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年07月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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