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出して間もない暖簾を引っ込め、入口の戸に大慌てで書いた『臨時休業』の紙を貼り付けて恩師の後を追う。
ジャケットの背筋をぴんと伸ばし、ハイカットスニーカーの靴で軽やかに歩いて行くその後ろ姿は、もうそろそろ八十に手が届く齢とは思えなかった。
矍鑠とした背に改めて尊敬の念を抱いた満月の耳に届いてきたのは、弟と姪のはしゃぐ声。
「うわすっげえ! キンゾーさん、これ流石の造形です!」
「久方の歯応えのある肉なのじゃ!」
恩師の長身の影から覗いて見れば、路地の奥、見慣れたご近所の『やきとり ハナ』の前に数人がたむろしている。
店の前には幾つかの七輪と、ビールケースを引っ繰り返した即席椅子が幾つも。もくもくと煙を上げる七輪の上で焼かれた魚や焼き鳥を肴に、近所の爺ちゃんたちが将棋に興じている。
それはいい。季節が良くなる頃に『ハナ』でよく見る光景だ。
それはともかく、別の卓を囲んでいる近所の男共の中に弟と姪が混ざっているのはどうしたことだろう。
(煙草屋のキンゾーに、花屋に肉屋、……それと)
七輪の前で無心に団扇を扇いで焼き鳥の様子を見ている太一。
昔からよく知る近所の幼馴染たちと、彼等と一緒になって笑う弟と姪を確かめた途端に気が付いた。
「あーのーばーかーどーもー」
思わず唸る。
振り返った泉の楽しそうにキラキラ光る目と目があって、再度思い至る。先生も、この企ての一員だ。
(そうだった……!)
この先生は、昔から面白いことが大好きだった。
弟と姪は、ご近所も恩師までも巻き込んで己すら忘れている『十年以上前のあの時』のことを暴く腹積もりらしい。
足が止まる。じりりと後退る。
「愚弟共の茶番に付き合ってらんないさね、泉先生」
「まあそう言わず」
くすりと笑みを零す恩師に困ったまなざしを向け、こちらに気付いて手を振る近所の面々と弟と姪を睨みつける。
「さ、うさぎ屋に帰って臨時休業の貼り紙剥がさないと……」
自分でも分かるくらい言い訳がましく口にして踵を返そうとしたとき、
「逃げんのかよねーちゃん」
弟から鋭い声が飛んだ。
「受験勉強の時はさんざ俺に逃げんなって怒鳴ってたくせに!」
「んぐぐぎぎ……」
返す言葉もなく立ち尽くす満月の傍、いいなが駆け寄って来た。ぐいぐいと背を押され、泉に肩を叩かれ、観念して幼馴染連中の前に立つ。叱られる子どものようだと思った途端に腹が立って、手近なビールケース椅子にドカリと尻を下ろす。片胡坐の膝に頬杖も突いてやる。
「ねーちゃん」
「……んだよ」
ギロリと睨みつけても、望月は視線を逸らさなかった。代わりに望月の後ろのキンゾーと花屋と肉屋が猫に睨まれた鼠の如くぎこちなく顔を背けた。
「高校のとき、キンゾーさんたちに慕われてたよな? 剣豪だって、姐さんだって」
返事の代わり、満月は眉間に皺を刻む。それでも望月はやめない。
「ねーちゃん面倒見良いから、慕ってくる奴それなりに構ってたんだってな」
「うん、とても世話になりました」
日差しが不意に翳ったかと思えば、背後にジョッキ入りの生ビールを片手に太一が立っていた。満月と泉にジョッキを手渡し、また七輪の前に戻る。
渡されたジョッキの中、しゅわしゅわと冷たい泡が弾けている。泉にゴツリとジョッキを軽くぶつけられてしまえば、もう肚を括るしかなかった。ぐいとジョッキをあおり、一息に半分ほど喉に通す。
「確かに面倒は見てたさ!」
「キンゾーさん、あの時ねーちゃんが守ったアレ、見せてくれませんか?」
ヤケクソ気味に喚く姉に小さく頷いてから、望月はモデラー師匠と仰ぐキンゾーを振り返った。差し出した両手に大切に受け取ったのは、掌サイズの小さなジオラマ。色鮮やかなドライフラワーの花畑に囲まれ向かい風を受けて凛と立つ少女の人物模型。
「びねっと? って奴」
弟の掌に載って差し出されたヴィネットに、満月には僅かに見覚えがあった。
「これを学校で仲間に見せてたの、ねーちゃん見てたらしいのな」
「感想も言ったりしてた! それがどうなるってんだよ!」
見覚えはあったものの、記憶が繋がらない。
「そのあとバカがブン取って弄り初めて壊して、……ねーちゃんがキレで表出なってやったらしいぜ」
覚えてるか、とばかり望月やその後ろの面々の視線を受け、やっぱりさっぱり思い出せない満月は狼狽えた。ビールをあおる。
「そ、それがどうしたってんだよ愚弟! 作品がボロクソに扱われたんだ、あん時のあたしなら確かにブチ切れてるかもしれないけどさぁ」
そんなものは日常茶飯事だったはず。それがどう太一の言う『あの時』に繋がるというのか。
「言葉でけちょんけちょんにのしたら、ヤツら殴りかかって来たらしいから、いなしてたらしいな」
望月の後ろで花屋と肉屋が大きく頷く。泉に連れられてここに来るまでに、彼らのうちで記憶のすり合わせは完璧に済ませているらしい。
「そこに泉のおっちゃんが通りがかって喧嘩を止めたと」
「……ああ、」
望月の話を聞いているうちに幾許か記憶が蘇ってきた気がして、満月は睫毛を伏せる。
「まあ、確かにそんな感じだったと思う」
隣の席の恩師を見遣る。いい笑顔でジョッキを傾けていた泉は、満月のまなざしを受けてますます楽しそうに笑った。
「でもアレは校内でやらかしたから、泉先生が止めたんじゃないのかい?」
確か、と呟きながら、間違いなく覚えている。
「『書道用の手が台無しになるから喧嘩するな』って言ってくれた……」
「違うのじゃ叔母上」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
3人
参加キャラクター数
3人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年07月05日
参加申し込みの期限
2021年07月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年07月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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