【最終決戦！！】

　滝原 レオンは目が覚めると、自分の姿に目眩を覚えた。
「なんでまた俺、性転換してるんだよ……！！」
　しかしすぐにやるべきことを理解した。
「あのでっかい化物を倒さねぇとやばいんだよな。頭の中がうるさいけど、やってやる！」
　自身に強化魔法を掛け、異形の大剣を召喚。空中に魔力を結晶させれば空中を飛び跳ねる兎のように駆け回りだした！
「助っ人に来たぜ！　これでも喰らえ！」
　魔力を籠めた大剣が蜘蛛の脚の１本を刎ね飛ばした！
「何をするのです！？」
　怒り狂った魔女は残りの足で滝原を串刺しにしようと暴れ始める。
　そこへ２つの飛来物が滝原の目の前を通り過ぎたかと思えば、更に脚が１本吹き飛んだ！
「自由の翼をもがれた哀れな魂に安息を。アーメン」
　レディー・アメリカのマジカルフリスビーだ！
「大技行くわよ！」
　レディー・アメリカが跳び上がると、荒ぶる鷲のポーズを決めて空中で静止！
　そこから分裂させた二枚のマジカルフリスビーを腕を交差するように振りぬきながら投げつける！
「マジカルツインスラッシャー！！」
　高速回転したフリスビーが腐乱した肉を削ぎ落としていく！
　これに続けと他の魔法少女も攻勢に出た。
「我が魔力に魅了されろ！」
　ルシ様がろっこんと魔力で煙幕を展開。魔女の視界を塞いだ！
「早く元に戻しなさいよ！」
　逆ギレしたバンビエッタの鞭が蜘蛛の脚を薙ぎ払う！
「クラッシュ！　クラッシュなのよー！！」
　のぶちゃんががむしゃらにベルで魔女を殴りまくれば、フジカも負けじと肉弾戦を敢行！
「フジカハイパーキーック！」
　魔女の腕の一本を飛び蹴りで粉砕！
「よし！　俺たちの力を今こそ見せ付ける時だにゃん！！」
　褌姿のかたながハーレム員に号令を飛ばす！
「魔王のハーレムはろっこんの影響やけど、褌はんのは天然モノなんだね……」
　ゆーりんが真顔で漏らしながら、ブーケからレーザービームを魔女へ向けて発射！
「いや、ハーレムとか偶然にゃん！」
　思わずかたなは突っ込むが、周囲は「えっ？」と首を傾げていた。
「最終決戦らしく盛り上がってきたな！　『ククク、混沌の魔女よ、灰燼に帰すがいい！』『ええい、愚鈍な！しっかりと避けるのだ痴れ者め！』　うむ、マリアンヌも迫真の演技だ、その調子で頼むぞ！　フハハ、ハーッハッハッハ！！」
　相変わらず鈴木は戦力にならなかった。
　身を刻まれ、貫かれ、魔女は魔法少女たちの猛攻を一斉に被っていた。
「私の邪魔をしないで！！」
　魔女は咆哮を上げると、７つの掌から暗黒の炎を召喚！
　それを次々に周囲へ投げ付け、炸裂させた！
「燃え尽きなさい、裸武裸武負愛殺（ラブラブファイヤー）！！」
　黒炎があらゆる物体を飲み込み、焼壊させていく！
「しまったにゃん！！」
　ろっこん『加速』で避けようとしたかたなだが、四方八方が既に暗黒の火の海に包まれ、逃げ場がなくなっていた！
「みんな！　あとは頼むにゃあァァァァん！！」
　かたな、無念の消滅！！

　御剣 刀→褌姿で脱落！

『刀くん！！』
　爆炎に飲まれた片思いの相手が消滅するのを目の当たりにしてしまった小山内。
　その小さな体が震える。
　様々な感情が小山内の胸中を埋め尽くしていく。
『もう……、許さないよ！』
　小山内はろっこんで軌道を描くと、自分自身がそれに乗っかって空中へ射出！
　それを立て続けに行い、飛行状態をキープする。
「単騎で向かって何ができるのですか！？」
　魔女は蚊を叩くように両手で小山内を潰そうとするが、軌道を描いて飛び続ける小山内のスピードは徐々に加速していき、なかなかうまく捕まらない！
『ぼたん先輩、大好きな人と一緒にいたい気持ち、私もよく分かるよ』
『でも、他人を無理矢理巻き込むのは駄目！』
　小山内は魔女の単眼の前まで到達すると、ニコリと微笑む。
　その会話ウインドが真っ赤に染まった。
『私、久々に頭にきた。刀くんの仇！』

　最大軌道本数のゼロ距離まじかる★ぶりゅなーく♪

　真紅の爆槍は魔女の単眼に深々と突き刺さり、そのまま爆裂！
『恋が盲目というのなら、その眼は真っ赤にキレイにしちゃっていいよね！』
　魔女は視界が潰れたことにより、手当たり次第に黒炎を撒き散らし始めた！
　だが、もはやデタラメに放り込んでいる状態、もはやノーコン過ぎて魔法少女たちの脅威ではない！
　そこへ真上からダメ押しの攻撃が！

「とぉ～！　えっと、名前なんて思い浮かびませんが！　こんなのはいかがでしょうか？　げーと・おぶ・いおり～ん（図書館の蔵書）でございます！」

　撲殺天使いおりんが、空間転移魔法で召喚した図書館の大量の蔵書をすごい勢いと量をもって頭上から落としていく！
　勿論、視界を失った魔女にとって痛烈な不意打ちとなる。
　魔女は状況が掴めずボコスカ重い本の角で殴られていく！
「あれはきっと『オズの魔法使い』に出てくる悪い魔女さんでございますね！　このまま魔法の蔵書で押し潰してしまいましょう！」
　可愛い顔してエグことを口走る撲殺天使いおりん！
　この攻撃で魔女の動きが止まった！
「イェア！　ステッキライダーよ！」
　追撃に乗じるフジカは、両手を叩いてステッキを召喚、それに飛び乗り空を翔る！
　これがフジカのろっこん『○○ライダー』だ！
「いくわよ！　伸びろ、ステッキ！」
　ぐ～んとステッキが伸びると、そのまま上段から一気に振り下ろした！
「フジカギガントファイナルインパクト（FGFI）！！」
　左側の腕４本を一気に粉砕！
　魔女は満身創痍、最大のチャンスが訪れた！
「私も負けてられない！！」
　クーが空中を駆け、魔力を漲らせる！
　握っている杖を分離させると、9つの雫型兵器に変え空中に射出する！
「ゆけ、『トレーネ』！」
　クーは力の限り叫ぶと、そのまま右側の腕３本を裂帛の気合とともに次々と自慢の蹴りで粉砕していった！
「そこはその飛んでる兵器でオールレンジ攻撃じゃないのか！？」
　滝原のツッコミにクーは真顔で答えた。
「これは特に意味はない！！」
　魔女の腕がもぎ取られてひと安心かと思ったその時である。
　なんと、腐乱した身体から白い腕が生え変わった！
　脳味噌からは牡丹の上半身も生えだした！
「私たちの愛を、邪魔しないでええぇぇぇ！！」
　魔女が召喚した白銀のメスの雨が、クーの死角を襲う！
「久雨ちゃん危ない！」
　ストライクチェリーが飛び出すが、間に合わない！
　魔法少女たちが目を覆う！

「まだ諦めちゃダメよ！！」

　ガインッとメスの雨を弾く音が響く。
　クーの背後に、全身オイル塗れのＺＥＮＲＡな尾鎌 蛇那伊がバトルオーラを顕在化させて宙を舞っていた！
「魔法少女の衣装がなかったら死んでいたわ……」
　とにかく、そういうことらしい！！
「添木先輩、愛に迷った貴女を救ってみせるわ！」

　オカマ・フラッシュ！

　尾鎌のある一部分が輝くと、オイル塗れの肉体美が強制的に披露された！
　魔法少女たちは別の意味で目を覆いたくなるが、魔法によって瞬きが出来ない！
　なんていう拷問！

「今よ、２人とも！」
　尾鎌はクーとストライクチェリーに目配せ。
「ボクのラックは既に臨界点オーバー！　決めるよ、必殺技！」
　ストライクチェリーは周囲に漂う残留魔力を吸収！
　ろっこんと魔力を用いて、魔女の運命を操作・確変！
「自分に都合の良い愛も、本物の１つの想いには敵わない！　魔王、心では解ってるよね？　そして先輩も！」
　ストライクチェリーの背中に虹色の翼が具現化！
「だからキミと先輩を開放するよ、この世界からね！」
　ブースター最大出力！　神速の足運びで魔女に接近！
「勇気がボクに力を与える！　未来を変えろと拳が燃える！」
　ガントレットが彼女の想いに応え、巨大な機甲魔装具へ進化を果たす！
　パイルバンカーをセットし、ストライクチェリーは魔女の腹へ右拳を真っ直ぐ突き出した！！

「究極奥義！　フォーチューン・ブレイカァーッ！！」

　魔力衝撃波と共に打ち出されたパイルバンカーが、魔女の腹を貫通、爆散させた！
「ぎゃあああああああああああああああああああああ！！！！」
　絶叫する魔女！
「ラスト一撃！　久雨ちゃんよろしく！！」
「任せろ！」
　魔力を高めたクーは、空中で車輪のように回転しながら魔女の頭上目掛けて急降下！
「大魔王、お前はこの世界で友達が欲しかったのではないか！？」
　魔女に取り込まれた大魔王を案じるクー。
「これが終わったら、私が友達になってやる。だから、今、助けるぞ！」
　黄金の魔力を発しながら、クーは技を繰り出した！
「この一撃に賭けるッ！！」


「断罪の斧（アクス・アス・ウバツァウゴン）！！」


　縦回転の遠心力を利用した踵落としが、魔女の身体を頭上から足元まで一直線に切り裂いた！
　魔女の身体は亀裂が入ったかと思った瞬間、粉々に爆発！
　空から葉っぱ１枚で隠した牡丹とギリギリで局部が隠れている戌井が降ってきた。
「ま、負けました……、あぅあぅあぅ……」
　牡丹は戌井を抱き上げながら消滅。
　そして、放心状態になっている魔王が地面に寝転がっていた。
　光の魔法少女は一斉に歓喜の声を上げた！

　添木 牡丹→脱落！
　戌井 創→脱落！
　大魔王ルシフェル666世→戦意喪失！