～紫色の輪舞曲～　燃え盛るは学び舎、荒ぶる炎の魔神｜リアクション

～紫色の輪舞曲～　燃え盛るは学び舎、荒ぶる炎の魔神

　そこは八神よって用意された寝子島のアパートの一室。そこそこの広さのある部屋にちーあ達の私物が置かれている。
　彼女達のことを考え、彼が用意したその部屋のツクヨに割り当てられた個室のベッドで休む彼女の傍らには御剣の姿があった。
「すまない……俺がもう少し、強ければ、こんな怪我はさせずに済んだ……」
「いいんですよぉ、カタナはしっかりとみんなを連れて助けに来てくれたじゃないですかぁ。それだけでツクヨは嬉しいんですよぉ？」
　いつも通り悪戯そうな笑みを浮かべるツクヨの身体は所々包帯が巻かれており、いまだその傷は癒えていないようだ。再生力が高い彼女であってもフレイジアから受けた傷は容易く治るものではないらしい。
　ツクヨの言葉を受けてもなお、何か言おうとする御剣の口をツクヨは自らの唇で塞ぐ。
「んむっ！？」
「自分を責めすぎる悪い子には“お仕置き”が必要ですよねぇ……それじゃ観念してくださいねぇ？」
「待てって、ツクヨ！？　お前、怪我してるはずじゃ……！？」
「怪我なんてカタナの“協力”があれば治っちゃいますよぉ、人間の生気って回復にはいいんですからぁ、声は出しちゃダメですよぉちーあ達に聞こえますからねぇ」
　御剣を押し倒すとツクヨは金色の長い髪に二つだけある黒い髪の房、髪に混じった触角であるそれを巧みに使って……御剣にお仕置きという名の“協力”をしてもらうのであった。

　一方、八神はちーあと共に彼女の部屋で寝子島の発電所の地図を眺めている。いくつかのポイントには印が付けられ細かく何か書き込まれているようだった。
「狙いはやはり……発電所か。となるとゲートとかいう物を開く電力にでも使うんだろうか」
「それだけでは異世界のゲートを開くこと不可能なのです、世界を超えるにはそれこそ神か神に連なる者の生命エネルギーでもないと」
「神か……そんな者、そう簡単に奴らが使えるとは思わないが……できる限り、妨害できるように手は打っておこう」
「はいなのですっ！　ちーあにお任せあれですよ！」

◆

　そこは暗い場所、どことも知れない地下。
　魔法陣の真ん中にローブの男、ディガードが手をかざすと地から這い出すように全裸のフレイジアが現れる。
「手酷くやられたな、フレイジア。まさかパワーを誇るお前が押し負けるとは。流石は寝子島の民、というべきか」
「……すまねぇ、俺が不甲斐ないばっかりに、主様に迷惑を……！」
「構わん、目的は達した。時間稼ぎにしかならんというのは目に見えていたのだからな。再復活させねばならんといった所は誤算だがな」
　そういうとディガードは手の中から色を失った菱形の水晶を捨てる。それは人間から生気を奪い、彼らの扱う力【マナディル】に変換する物であった。
「それにしても、あのナディス……まさかマナディルのないこの世界あそこまでの魔法を扱うとはな。勇者とは侮れん生き物だ。さて、それはそうと資材はそろった、後はゲートを開くだけだ。くくく、このような利用できる者がこの島に紛れているとはな。天は我を見放さなかった、ということか」
　腕を組むディガードが薄笑いを浮かべながら眺めるのは寝子島の発電所の見取り図とそこにピンで止められた寝子島高校の制服を着た少女“ののこ”の写真であった。

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あとがき

担当マスター：ウケッキ
ファンレターはマスターページから！

お初の人もそうでない方もこんにちわ、ウケッキです。
お時間いただいてしまい、誠に申し訳ありませんでした！

皆様のおかげで無事学校の炎は消し止められ、フレイジアは撃退されました、ありがとうございます！

企むディガード、異世界マシナリアヘのゲートは開くのか否か。
その為の犠牲とは……次回に乞うご期待！

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