ループ１３｜リアクション

ループ１３

　日曜日の朝方、寝子島シーサイドタウン駅前のコンコースは多くの人で賑わっていた。複数のキッチンカーには人が並び、爽快な青空に相応しい笑顔を見せていた。
「良い天気ね」
　尾鎌蛇那伊は青い空に向かって目を細める。背は高く、白い長袖シャツを着ていた。発達した筋肉で所々が盛り上がっている。
　目は仲睦まじい二人に流れた。微笑みを浮かべたまま、まずは、の一言で目付きが鋭くなった。
　――時間が巻き戻ったみたいね。五感を研ぎ澄ましても敵意は感じられないわ。自然現象と見るべきかしら。
　蛇那伊は笑いながら下唇を舐めた。両肩の幅に足を広げて立ち、警戒の領域を広げていく。
　――この違和感、ズレは小さな異物のようね。見えるどこかにひっそりと挟まっている感じがするわ。
　あるべきものが無いのか。無いはずのものがあるのか。単純な二択で考えればいいわね。
　軽く息を吐いた。半眼になって全ての事象と向き合う。
　一瞬で目を見開き、顔を横手に向けようとした時、十三分が経過した。
「本当、良い天気ね」
　過去に戻された蛇那伊は凄みのある笑みを浮かべた。
　――ズレが無くなったわ。でも、念の為に電柱の辺りで待機した方が良さそうね。
　音を立てずに歩き、電信柱に背を預けた。その姿で腕を組み、その時を静かに待った。

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