ある暗闇の日｜リアクション

ある暗闇の日

●星ヶ丘寮緊急対応

　星ヶ丘寮のスタッフ、八咫鏡が勤務中にその事態は起きました。
「おっとー停電か」携帯
　警衛所の電気が落ちました。
　外を見て、どこも電気をついていないのを確認してから、設置されている携帯ライトを点灯しました。
　小柄な少女にしか見えませんが成人男性である鏡は、慌てることなく、毅然と他のスタッフに指示します。
「原因わからないのでコンセントは抜いておいてー。私が非常電源の確認に行く。警備スタッフは警備を継続」
　プロのスタッフがそろっている星ヶ丘寮、これくらいで慌てたりはしません。
「監視カメラ使えないから動哨を強化。数チームで示された経路を回る事」
　そう言ってライトを持ち、鏡は警衛所を出ました。

「どうなってるのよ！」
　途中、ヒステリックな声を上げる寮生に出会いました。
　隣にいる従者は、点灯したライトを持っているものの、何をしたらいいかわかっていない様子です。
「この程度で星ヶ丘寮はどうにかなりませんよ。何かわかりましたら放送しますから」
　にこやかに寮生に伝え。それから従者に耳打ちします。
「まずは己の御主人の安全確保。落ち着かせるのは貴方の仕事です。それと不急の電気は消しといて。発電所のトラブルかもだし長引く可能性大」
　従者はコクコクと頷き、表情を引き締めたのでした。

「発電施設の稼働確認。異状無し」
　星ヶ丘寮には非常用の電源が完備されており、専用の分電盤での切り替えにより問題なく電気を使うことができます。
　不要な照明を落とした鏡は放送室に向かい、館内放送のスイッチを入れました。
「現在停電が発生したため、寮は非常電源で動作中です。停電がどれだけ長引くか不明である為、医療設備や冷却設備等の電源確保の為節電を推奨します。
具体的には廊下の照明等を落としてます。移動の際は足元の非常灯を確認又は従者の同伴を願います」
　冷静でおだやかな口調の放送は、不安になった星ヶ丘の寮生たちを落ち着かせました。
「どうしてもという方は発電機を確保どうぞ。機材と燃料に限りありますので独占為されない様。各寮室の御主人方々御理解御了承の程宜しく御願い致します。
復旧の際再度御連絡致します、今暫く御待ちください」

（まあ星ケ丘寮は独立した町なのでこれくらいでは問題ないですが）
　できる処置を終えた鏡は、情報収集しながら動哨に回りました。
（こういう時が泥棒やテロリストの襲撃に繋がるのです。実戦を想定して警備しましょう）
　ブルジョアにはブルジョアの苦労やリスクがあるのです。
　その安全を支えるのがスタッフの仕事なのでした。

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