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ドキドキ! わくわく? 悪魔の身体測定☆
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足が重い。
靴先は、それでも前に進む。身体測定の会場が近づいて来る。
憂鬱な気分のままに息を吐き出せば、俯いた視界に否応なしに自分の胸が入って来る。
(憂鬱も憂鬱、)
学校行事の中でも最も憂鬱な身体測定を前に、気持ちは塞ぐばかり。
(憂鬱だ)
身体測定を前に着替えた学校ジャージに包まれた胸を見下ろす。次いで視線を投げるのは、数学の先生と並んで歩いて行く大人びた肢体の女子に、なんだかラブコメの一幕のように他校の男子に追いかけられて逃げてゆく銀髪の女子。ちらりと投げただけの視界に飛び込んで来てしまったたわわに揺れるおっきなおっぱいに、
楡宮 遠海
は眉間に深い縦皺を刻む。
(この学校は)
スタイル抜群な女子がまるで当たり前のようにそこら中に溢れている。
だからこそ残酷な事実をまざまざと思い知らされてしまう。
(この……ちっぱいめ!)
自分のささやかな胸を見下ろし反射的に罵って、その自分の罵声に余計に憂鬱になった。重い溜息が身体測定の会場に向かう廊下に零れて落ちる。
(風邪のひとつでも引いてくれればいいのに)
真剣に考えるも、悲しいかな今日も体調はすこぶる良好だ。
(嫌だな)
溜息を吐けば吐くほど、肩が落ちれば落ちるほど、俯いた視線はコンプレックスの大元である自分の胸に引っかかる。
(嫌だなあ……)
鬱々と歩いていたから、だから遠海は気づかなかった。
とぼとぼと歩いていた爪先が不意に青々とした芝生を踏んだことにも。
周囲がいつもの廊下から花園に変わっていたことにも。
こつん、と爪先が木製の椅子の足を蹴って、腰のあたりに白いテーブルクロスのテーブルがぶつかってきて、
「え?」
遠海はようやく黒い瞳をもたげた。薔薇や百合の花咲く庭園を映し、その央に用意されたテーブルと椅子に、その上に山と並べられたお菓子や茶器に、目を丸くする。さっきまで嫌々ながらも身体測定の会場に向かっていたのではなかったっけ?
(ああ、でも)
テーブルに並ぶバターの香が芳しい山盛りのクッキーも、クリームとジャムが添えられたスコーンも、純白の生クリームに真っ赤なベリーが飾られたケーキも、何もかもがとっても美味しそうだ。
(どうでもいい!)
友人の間で規格外の大食い女子と称され、食い意地が張っていることには定評のある遠海にとって、突如として現れた不思議空間に対する疑念よりも目の前の美味しそうなお菓子の方が大切だった。
目を輝かせて椅子に掛ける遠海の横、影のように音もなく立った黒燕尾服姿の執事がお茶を淹れる。声もなく現れてお茶の入ったカップを置く執事を不審に思うこともなく、遠海は小さく微笑んで礼を告げた。さっそく紅茶に口をつける。
(ああ)
ふわりと口いっぱいを満たす紅茶の香も、ふわふわのクリームをたっぷりまとったシフォンケーキも、
(美味しい)
身体測定を前に感じていた憂鬱を吹き飛ばすのに十分だった。その上、
(あれ?)
なんだか急に、ジャージの胸元が見慣れない風になっている。ぺたんこなせいで見下ろせばお腹も爪先もしっかり見えていたはずなのに、今はお腹も爪先も見えない。
(大きくなってる?)
胸部が大きく膨らんでいる。まさかと自分で自分の胸を両手で触り、感覚が本物であることを確かめる。
(大きい)
普段は自分の手の中にすっぽり収まる、どころかほぼ真っ平な胸が掌には収まらないボリュームをもつに至っている。おまけに子ども体型で細いばかりだった腰やお尻のあたりにもちょうどいいくらいにメリハリのついた感じになっている。
(や……)
自分の身体を自分の手で確かめながら、遠海は椅子から立ち上がる。
「やったー!」
突如として訪れた幸運に、遠海は思わず快哉を叫ぶ。その場でぴょんぴょん跳ねて、跳ねるたびに揺れる自分の胸におおおおと目を丸くする。お祝いだと目の前に並ぶお菓子をありったけ口にする。
──喜色満面で身体測定に臨んだ遠海が現実に失望するのは、もう少しだけ後のこと。
憂鬱そうに肩を落として身体測定の会場へと向かう女子の背中を眺めて、
(女子は大変だな……)
響 蒼留人
がそう思ったのがついさっき。
体育科二年十組の教室へ入り、自分の席に着こうと目を上げて、
「なんだここは?」
思わず素っ頓狂な声が口をついた。
色とりどりの花に囲まれた庭の真ん中には大きなテーブルがひとつに、いくつもの椅子。テーブルの上にはたくさんのお菓子に茶器。
(怪しい)
反射的に後退るも、近くの席には先程目にした黒髪の女子が心底美味しそうな顔でお菓子を口にしている。
(……いや、……あれ?)
さっきちらりと見たはずの女子の見た目がどこかしら変わっているような気がして、目に力をこめる。きちんと覚えているわけではないが、具体的にどこがと言われれば、主に胸のあたりが大きくなっているような。
女子が己の変化を不審に思ったらしく、自分の胸を自分で鷲掴みにした。蒼留人は咄嗟に大きく視線を逸らす。動揺する自分を誤魔化し、堂々とした態度で椅子に座れば、どこからか現れた執事が慣れた仕草でお茶を淹れて去った。
(……怪しい)
重ね重ね思いつつも、さっきの女子の姿に喉はカラカラに乾いている。ぐっとお茶を飲んで、
「……っ?!」
飲んだ次の瞬間にどかんと大きくなった自分の胸に目を瞠る。ついでに向こうから聞こえてきた女子の歓喜の声にもぎくりとする。
(いや待てちょっと待て?!)
黒髪の女子は小躍りで喜んでいるけれど、真っ当な男子である蒼留人は焦る。
(こんな格好で身体測定できるか!)
周囲を見回す。知り合いにでも見られたら大変だ。
(……くそっ、顔を隠すべきか胸を隠すべき?)
悩みに悩んで頭を抱える蒼留人の傍ら、陰気な執事がそっと立った。無言のまま、蒼留人の頭に長い黒髪のウィッグを装着させる。
「しばらくすれば戻るんだよな?」
「しばらくすれば」
執事の短い返答に一応の安心を得て、蒼留人は立ち上がる。ここは人目が多い。いつ知り合いに見つかるともしれない、
(こんなところでじっとしていられるか!)
(『普通』から『フツウ』へ移行しつつある……)
最初からそんな気はしていたのだ。
──『お茶会』、しましょ?
校門のところで白衣の女に誘いを掛けられたときから。
それなのに、女に手招きされるまま、女の背後に現れた黒い門を潜ってしまったのはなぜだろう。
(ものすごーく嫌な予感しかない)
魔が差した、というのはこういうことをいうのかもしれなかった。結果、普通のいつもの学校の校門の前から、いきなり薔薇と百合の花咲き乱れる謎の空間に放り出されてしまったのだから。
決死の表情で庭から出て行く胸の大きな女子の勢いにちょっと圧倒されつつ、黒髪を揺らし、
水上 桜
は周囲を見回す。庭の央に設けられた大きなテーブルの端に白衣の女の姿を見つけ、とにかく事情を聞かなければと踏み出した途端、
「お茶を」
目の前に陰気な顔をした燕尾服の執事が立った。
「え……?」
「お席にどうぞ」
執事が示す金属の椅子の前のテーブルには、見た目は普通に美味しそうなお菓子がずらりと並んでいる。
桜の戸惑いに構わず、執事は椅子を引き、カップに紅茶を注ぐ。
(本当に食べられるの?)
猜疑心に囚われ立ち尽くすも執事の陰気なまなざしに気圧され、桜はひとまず大人しく席に着いた。カップを手に取る。
(……まあ、いくら何でも毒とか入ってないよね、きっと)
見た目は普通の紅茶と変わらず、香も華やかな紅茶のそれだ。
(飲んだら帰ろう、すぐに帰ろう)
そう心に定め、ぐっとカップを傾ける。一気に飲み干す。
ほどよい温度の良い香りの紅茶が喉を滑り落ちてゆく。小さく息を吐いて立ち上がって、気づいた。身体が妙に軽い。胸が薄い、というか無い。腕も足も、どこか妙に筋張っている。
「……」
いつもの普通の自分の手より骨の太い指で顔に触れてみる。喉に触れてみる。胸に触れて、お腹に触れていくうち、
「ま……まただ……」
唇からいつもよりも低い声が漏れた。桜の疑念が確信に変わる。それと同時、
「またしてもフツウかぁぁああっっっ!」
魂の絶叫が口をついて熱く鋭く迸った。
(去年と同じだ……)
去年と状況は違えど、結果は同じ。去年と同じく身体測定の日に、去年と同じく性転換してしまった。
「このっ……油断した……」
いやでも油断どうこうよりも前触れなく襲って来るフツウが悪い、むしろ前触れがあってもフツウは悪い、と『フツウ』への呪詛を低く吐き散らかす。それでも状況は変わらない。男子になってしまった身体は、去年と同じならばしばらくは元には戻らない。
「っ……」
忸怩たる思いで、黙して佇む執事が片腕に抱えていた銀盆を奪う。磨き抜かれた丸い盆に映りこんでいるのは、かわいらしい十六歳の少女ではなく、かわいらしい十六歳の少年。
(私だ)
髪の色も目の色も変わっていない。顔の輪郭は少し鋭くなってはいるものの、雰囲気は女子の頃の自分と大きな変化はないように思う。
(……でも)
性別が違うだけでこうも印象が違うのか。
男の子になってしまった自分の姿をひとしきり確かめ、桜は長い長い溜息をついた。
(身体測定、どうしよう……)
とは言え、フツウに遭遇してしまったものは仕方がない。きちんと女子に戻るまではここで気ままに過ごしてやろうか。それとも、さっきの女子──今となっては彼女が本当に『彼女』であるのかも怪しいけれど──のように、ここを脱出してやろうか。
悩んでいるうちに身体が元に戻り、内心で『フツウ』に文句を言いながら無事に受けた身体測定の結果は、身長がプラス1センチ、体重もプラス1キロ、胸囲は84センチ。
(身長はともかく、まさか胸が大きくなるとは思わなかったなー)
さっきまではぺたんこだった胸をちらりと見下ろす。なんにせよ、きちんと女子に戻れたのは良かった。
(聴力は普通、視力は両目1.0)
『普通』とはかくも有難いもの、と思いつつ、水上桜の高校二年生における身体測定はとにもかくにもなんとか無事に終わった。
(しかしフツウは許すまじ……!)
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阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
学校生活
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
26人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年04月17日
参加申し込みの期限
2021年04月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年04月24日 11時00分
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