【星幽塔】第一階層　冒険は自給自足で｜リアクション

【星幽塔】第一階層　冒険は自給自足で

「とりあえず、これで問題はなさそうだが･･････」
　フォルカが台座の宝石を外し、魔力流出をストップさせた。

　遺跡の最奥部である。
　食事を済まし、気力を充実した一行、ついでに遺跡の探索を完了させてしまうことになった。
　すでにドラゴンまで倒しているので、残りのモンスター退治は、腹ごなし程度にもならない。
　ほどなく遺跡の最下層にたどり着いた。

「最奥部が異界とつながっていて、魔物を呼び寄せているみたいね･･････その魔力が暴走して、どんどん出てくる状態になっていたみたい」
　ルイセが構造を解析する。
「とりあえずこれを外しておけば、ドラゴンみたいな危険すぎるモンスターは出てこないわね」
「まあまあ歯ごたえのある遺跡でしたね」
　志桜里が笑みを漏らす。
「――ひょっとしたらこの遺跡、モンスターや野草を自生させて、食用にするための農場……ファームだったのかもしれないわね」
　ルイセの推察に、一同が納得する。
　程よく多様な種類のモンスターが存在している。
　都合よく、モンスターを調理できる空間もあった。
　古代の魔導士たちの研究ラボ、兼、モンスターを狩って食べる場所と考えれば、つじつまは合う。
『食べ物の持ち込み禁止』というけったいな制約も、農場の環境を一定に保つというのなら納得が言った。
「そう考えると、この遺跡を封印してしまうのはもったいないのかもしれませんね」
「まあでも、ドラゴンがほいほい出られても困るからな」
　ティオレの言葉に一同がうなずいた。

「さて、そろそろ脱出しないと」
「……食材は、持って出ることはできるのかな？」
　夏朝の疑問に、皆がうなずく。
　確かに、ドラゴンの肉をはじめ、食べきれないほどの食材が余ってしまった。
　これを遺跡の中に残しておくのは、もったいない。
「とくに制約はなさそうだけど……」
「だめなら砂になるだけだ。気にしなくていい」
　皆のアドバイスに、夏朝はうなずく。
　放置して置いたら、そこに魔物が集まってくるかもしれない。
　いや、それよりも……。
「調味料を使って普通に料理したい！」
　その言葉に、一同がうなずいた。
「うん、いろいろ調理しよう……調味料、あるといいけど」
　夏夜が賛同する。
「Ｂａｒアストラルのキッチンなら、もっといろんなものが作れちゃいそうです！」
　リリエルが笑うと、メリィが快哉を叫んだ。
「ケチャップとか使うー！」
　夏朝の決意の声に、一同が笑った。

「では、そろそろ戻るか……」
「なかなか面白かった！　ドラゴンも食べられたし！　また冒険しよう」
　ポーラが満足げに言った。
「まあ、自給自足なんて、冒険者にとってはいつものことじゃあないですか！」
　ルイセの言葉に、皆がうなずいて笑う。

「含蓄のある言葉！　ルイセさん、ほんとは何歳なんですか？」
「ハハハハ、こやつめ！」
　和やかな笑いが響き渡っていった。

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あとがき

担当マスター：ぱーすぺ
ファンレターはマスターページから！

ありがとうございました！
戦闘、調理ともに気合いの入ったアクションありがとうございました！
思い切ってダンジョンでキャンプという、ありえないロケーションを設定して、皆様に楽しんでいただこうと思いました。
食材や調理の方法などバリエーションに富んで、とても楽しく制作しておりました。
また機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。

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