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春の行き先
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「たっだいまー」
店員の背に担がれた満月の姿を見とめた途端、いいなは慌てて立ち上がった。窓を開け、今行きます、と声を掛ける。廊下をぱたぱたと駆け、店舗部分の引き戸の鍵を開けて、
「おーおー、お迎えごーくろーさーん! ヒャッハァ!」
「げぇ! 見事な酔っ払い!」
ベロベロに酔っぱらってご機嫌な叔母の姿に絶句する。
「ごめんなさいね、酔わせすぎちゃった」
「なーんで女将さんがあやまるのさー」
太一の背中で満月がじたばたする。
「みーちゃん、危ない、暴れると危ないから」
ついうっかり幼かった頃の呼び名を口にする太一に、いいなは頭を下げた。
「いつも以上にすみませんでした太一さん」
「ああ、いえいえ、なんてことはないんです」
叔母の身体を軽々背負う太一に、店の座敷席を示す。酔いが醒めるまでここで寝ていてもらうしかなさそうだ。
せめてもと座布団を敷き詰めたのに、
「……あー、畳気持ちいい……」
満月はむにゃむにゃ言いながら畳の上に大の字になってしまった。
自室の叔父と同じ格好で眠ってしまう叔母のお腹にお客さん用の膝掛けを被せ、いいなは女将と太一に向き合う。
「あのぅ……」
「はいはい、なあに?」
先に外に出ようとする太一も押しとどめ、いいなは重い口を開く。
「太一さんと、おかみさんにもお願いしたいのですが」
叔母は、と瞼を閉じて寝息を立てている満月に目を向ける。あれだけ気持ちよさそうに眠っていれば、これから言う自分の言葉なんて聞こえてはいまい。
「……いろいろ我慢してると思うんです」
口を開いた途端、叔母への想いが溢れた。
「書道だって、作品いっぱい作りたいんだろうなって思うんです」
時々、ぼんやりと煙草をふかしている姿を見る。そんなときの叔母は、何かを探すように、見つけようとしているように、どこか遠いまなざしをしている。
こちらに気付いて振り返る叔母はいつだっていつも通りに明るい笑顔を見せてくれるけれど。どこか寂し気な背中を見る度に、叔母が捨てようとしているものの大きさを思ってしまう。
「だからわたし、奨学生狙ってマタ大行こうと思ってます」
だから、決めた。
「そしてここを出ようと思うんです、少しでも叔母の負担にならないように」
叔父もまた、同じように考えている。だからこその今日の大掃除だ。部屋を片付けて、この家を出る。下宿生になることを画策している。
だから、といいなは近所のふたりに深く頭を下げる。
「お二人に、無茶する叔母の支えになっていただきたいんです」
「はぁ?!」
素っ頓狂な声をあげたのは、太一でも女将でもなく、座敷席で寝こけていたはずの満月。
「満月ちゃん」
「いいなよ、」
どこから聞いていたのかと目を白黒させるいいなに、満月は目を三角にして怒る。
「お前言うに事欠いてあたしのことを支えろってそれ、」
怒る顔が段々と真っ赤になる。
「あたしと結婚しろって意味なんじゃ!」
「え?」
「ふざけんじゃ無いよ冗談も休み休み言いな!」
「満月ちゃん違う、結婚相手になんてわたし言ってない!」
言葉が行き違ってしまうふたりの間にまあまあと割って入ったのは女将だった。
「満月ちゃんにお水持って来てあげましょう、ね?」
ぱたぱたといいなの背を叩き、座敷席から少し離れた厨房へと向かう。
「儂だって考える時は考えるのじゃ……」
「そうね」
「考えるんだってば、いろいろ」
頷く代わりに背中を擦ってくれる女将に、いいなは怒っているような泣き出してしまいたいようなまなざしを向ける。
「この先のこととか、叔母上の事とか」
「大丈夫」
だいじょうぶ、と女将は繰り返した。
「ぜんぶ、上手く行きます。だってね、みんな頑張ってるじゃない」
「第一たいっつぁん……じゃない、太一くんの気持ちを大切にしなきゃ!」
女将に連れられて厨房に向かういいなの背に向けて言って、満月は不意に黙り込んだ。ひっくり返ろうとして思いとどまり、座敷席のテーブルに寄りかかる。真っ赤な顔を両手で覆う。
「ええと、みーちゃ……いやあの、満月さん」
「ごめんねぇ、いいなの言葉は忘れて忘れて」
送らせて悪かったさね、と手を振る満月をしばらく見つめ、太一は満月と向かい合うかたちでテーブルの向かいに正座した。
「この際だから言っておきます」
「お、なんだいなんだい、小言かい」
「僕は、ずっと昔から満月さんに憧れています。満月さんも、満月さんの書く字も、桜のように綺麗で、龍みたいに格好がいい。でも、満月さんが好きなのは男前なひとなのも知っています。……十年以上前のいつだったか、つまらない喧嘩に巻き込まれたときに助けてくれたことを、覚えていますか」
あの時から、と言いかけて、太一は髭面をごしごし擦った。ひょいと立ち上がる。
「まあ、みーちゃんのことだから明日には忘れてると思うけど」
言うだけ言って、それじゃあ、と立ち上がる太一を呼び止めることも出来ず、満月はその場にひっくり返る。片腕をあげて瞼を覆い、小さく呟く。
「……バカ」
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせしました。
春の夜の『ハナ』でのひととき、お届けにあがりました。
お久しぶりの『ハナ』のお話、お楽しみ頂けましたら幸いです。
……『ハナ』のお話を書くと、お酒が飲みたくなっていけません。
うっかりと芋焼酎のお湯割りや熱燗に手を出してしまって困りました。
何と言いますか、……飯テロや酒テロになっておりましたらと思います。
ご参加くださいまして、お読みくださいましてありがとうございました!
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年03月23日
参加申し込みの期限
2021年03月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年03月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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