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雨の中のワルツ - a waltz in the rain
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意外にも支払いにはクレジットカードを使うことができた。
財布からブラックカードを出すと「えっ!?」という反応があったがもう慣れっこだ。
「ごちそうさま。また来ます」
会釈して修は店を出る。
黒い傘を軒下で開いた。
ゆるい下り坂を歩く。煉瓦道。古いためか煉瓦の継ぎ目が割れている箇所があり、そこに溜まった水がタールのような光沢をたたえている。
雨の勢いは相変わらずだが、腹がくちくなったためか気分は明るい。
春雨か。いや、この季節なら春雨ではなく、春の雨と称したほうがいいか。
香もふわり カフェのカップや 春の雨――なんてね。
小林一茶『菜の煮える 湯の湧き口や 春の雨』の本歌取りと洒落てみた。
春の雨らしく濡れていこう。濡れるのは傘だけど。
修のふわふわした気分はここでついえた。坂を下りきり大通りに出て急に、悪寒に似たものを感じたのだ。紙やすりで肌を撫でられたような感触だった。
視線を走らせる。目の前を黒塗りのワンボックスカーが横切った。窓にも黒いスクリーンが貼ってあり、写真週刊誌の取材、あるいは反社会的勢力を連想させた。
ぞわっときたのはあの車のせいか?
車に対する修の懸念はすぐに消え去った。修の視線はあらたに、見知った姿をとらえていたのだ。
ああ、このせいだったかと思い直す。
無目的に歩いていて知人に会うことが修には多い。
特に彼女には。
運命、なんだろうな。
そう考えることにする。さきほどの震えは悪寒ではなく、運命の訪れを予兆して肌が粟立ったものにちがいない。
七夜 あおい
――。
しかも珍しい取り合わせだ。
あおいと傘をならべて、
今道 芽衣子
の姿もあったのだから。
春の植物にたとえれば、あおいは黄色いハハコグサ、芽衣子は紫のレンゲソウ、いずれ劣らぬ花と映った。
「やあ、あおい。今道先生、ご無沙汰しています」
もちろんふたりにとっても意外な出会いだったろう。
「修くん」
「八神君、今夜は偶然?」
今夜は、の言い方に目に見えぬほど薄い傍点がつく感じだ。
あおいは気づかぬ様子だが修のほうは屈託なく笑む。
「ええ、偶然も偶然です。ほかならぬ俺が一番驚いています」
連れだって歩いた。
予想外の雨にあおいは百均ショップに飛び込み、そこで同じ状況の芽衣子と出会ったという。
「冬の事故以来だからね。なんだかんだで話が弾んで」
「ご飯、ご馳走になっちゃいました」
「ファミレスだけどね。私ね、ファミレス大好きなんだ」
それは良かったと修は言い、つづけて頭に浮かんだ話題を出すべきかどうかためらった。
「わかるよ、八神君の訊きたいこと」
「何かあるの?」
「私の教え子のひとりが、心を閉ざしたまま施設に入っていてね……。私、ずっと面会を求めてたんだけど拒否されっぱなしで、って話」
芽衣子はさらりと話したが、ある程度アンテナを張っている人間が耳にすれば、拾った拳銃を乱射した中学生(
脇坂 香住
)の話だとたちどころに理解しただろう。香住の副担任教諭として、入院した担任にかわって芽衣子もマスコミに追われたものだった。
けれどもあおいは想像が及ばないらしく、大真面目な顔をしただけだ。
「それは困りましたね」
銃乱射事件と結びつかないみたいだな。
あおいは鈍感だなと修は思う。けれど彼女の鈍感力に自分は安らぎを覚えるのだとも考えた。
「軽くその話を八神君にしたことがあるの。そのとき彼に、本を差し入れたらどうか、ってアドバイスされた」
「そうでしたね」
「軽いもの二冊を送ったわ。どっちも同じ作者のエッセイ。私がとても好きな本」
作家名を芽衣子は口にした。あおいは知らないらしかった。でも修は読んだことがある。そもそも、書店での本選びには修がつきあったのだ。
「彼女は海外文学の翻訳家として有名なうえに、エッセイがすこぶる面白いのよ」
「読みやすいのに深いんだよな、言葉選びが絶妙で、語り口に切れ味があってユーモアもたっぷりで……あおいにもお薦めだよ」
「興味あるなあ」
社交辞令ではなく、本当にあおいはそう思っているらしかった。
「それで、嬉しい報告」
芽衣子は顔を輝かせた。
「近いうちにね、面会できることになった。本人が許可してくれたみたい」
「よかったじゃないですか!」
「だけどいまは……不安」
芽衣子の視線が足元に落ちている。
「会うの何ヶ月ぶりだろう。何を話せばいいだろう……ってね。わかってる。素直に向き合うべきだってことは。でもそうなったら今度は、ネガティブにならないようにするのが難しい。これ、私の宿題だよ」
「宿題……ですか」
修は差し出がましいことを口にせぬよう自分を戒めた。
今道先生とその生徒のことは、当人同士にしかわからない。素直に向き合うって言ってるんだから、これ以上俺がアドバイスできることなんてないよな。
宿題といえば、と芽衣子は話題を変えることにしたらしい。
「勉強のほうはどう? 高校三年生たち」
「私は福祉専門学校志望なんで、とりたい資格のある学校の資料を集めてます」
はきはきとあおいは話した。
「AO入試と学校推薦、その両方を検討しているので、小論文の勉強をやりはじめてるんです」
なかなかうまく書けないんだけどね、と恥ずかしげにつけ加える。
「受験まで一年を切ったこともあり、俺は」
と言って、修はカバンからちらりと数学の問題集をのぞかせた。
「こうやって持ち歩いています。さっきも、食事を終えてから数題解きました。本当は部屋にこもって勉強だけするほうが効率はいいのかもしれない。だけど受験を理由に自分の時間も交友も捨ててしまう人間は、将来、仕事を理由に家庭をおろそかにする人間になるような気がするんです。もちろん、いま、この時間も楽しんでいます」
楽しんでいる、と口にして実感する。
そうだな。考えてみれば受験勉強も楽しんでいるし、選挙区でおこなわれる個展やシンポなどに、父の代理として出席するという仕事も楽しむようにしている。政治家の家に生まれた時点で顔を売るのは仕事であり責務だ。結局、日本の選挙というのは徹頭徹尾ドブ板なのだから。
結構結構、と芽衣子はうなずいた。
「ジュラ紀くらい昔の話だけど、高三のこの時期の私って、七瀬さんや八神君みたいにしっかり将来のこと考えてなかったもんなあ……皮肉とかじゃなくて本当、ふたりとも立派だと思うよ」
未来は明るいねと芽衣子はしめくくる。
そうあってほしいものだ。
修はあおいに微笑みかけた。
できることならば俺の未来はあおい、きみとともに。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
推理・サスペンス
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年03月18日
参加申し込みの期限
2021年03月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年03月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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