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雨の中のワルツ - a waltz in the rain
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窓の外が白い。
ああそうか、と桜月は思った。
夜が明けたんだ。
寝心地が普段とちがうのは、自分の部屋ではなく冬華の部屋で目覚めたから。
桜月は静かに、長く息を吸い込む。部屋の空気を自分の細胞に取り込むように。
昨日は暴風雨のため街に出る予定をキャンセルし、かわりに冬華の部屋でデートすることにした。
冬華の手料理に舌鼓をうち、一緒に入浴してたくさん愛し合った。それこそ、時間のたつのを忘れるくらいに。
冬華はずっと優しかった。
いつ眠ってしまったのか覚えていない。
冬華といるとき月は、満たされることがない。足りない。足りない。どれだけ冬華に甘えても、愛されているのだと理解していても、足りないという気持ちが常にある。
たとえるならばピースがひとつ、割れ落ちたステンドグラスを見ているかのようだ。どうしても、欠落した部分にばかりに目がいってしまう。黒い穴に。
月は手を伸ばし冬華の存在を確かめようとした。
でもかたわらに冬華はいなかった。
すぐ隣、抱き合っていたはずなのに温もりが消えている。
どうして、と跳ね起きて安堵の息をついた。
冬華はすぐ近くにいた。
もう目覚めており、窓の前に立っていた。外を見ているらしい。だから月に向けているのは背中だ。
でも様子がおかしい。
ほんの近くにいるはずなのに。
なぜか月は、冬華がとても遠いところに立っているような気がした。
事実、おはようと遠慮がちに声をかけたのに冬華は微動だにしない。
冬華は、月が目覚めていることに気がついていなかった。
昨日ほどではないもののまだ雨はやまない。とぎれとぎれ降る雨を見上げ、透明に近い灰色の空を瞳に映している。
風はやんでいるようだ。雨は垂直に落ちている。ぽつりぽつりとしたたるように。
――雨。
思い出がよみがえる。
冬華が寝子島で過ごした記憶のいくつかは、雨と密接につながるものだ。
色々ありましたね。
この島に来たころ、雨に降られ服が透けたことがありました。しかも異性の友人に見られてしまって。
恥ずかしさで体が、かあっとなったことを覚えている。
月さんが雨の中散歩に行って、帰ってきたところをお風呂に入れた、そんな思い出もあります――。
あの夜、氷のように冷えた月の体を、冬華はいつくしむように抱きしめた。同時に感じた冷たさと熱さのアンサンブルは、肌が憶えているように思う。
ほかにも雨にまつわる思い出がつぎつぎ、冬華のなかに浮かび上がっては消えていく。小さなもの、大きなもの、きれいなものもひしゃげたものも、すべて泡のように。
「冬華」
呼ばれて振り向くと、月の顔が間近にあった。
「月さん……起こしてしまいました?」
冬華は昨夜のままの姿だ。
白いレースのネグリジェ姿、透き通る生地からはなだらかな肩のライン、腰のくびれもうかがえる。下着も編み目だって確認できるほどだった。
やはりよく似合う、と月は思った。
冬華のネグリジェを作ったのは月だ。まったくのゼロからはじめた。それこそ、スケッチブックにデザインの線を引くところから着手している。冬華の体のことなら月は誰よりも知っている。それゆえに最高に似合うものを提供できるのだ。さすがは自分だと誉めたいくらいだ。
けれど得意がるよりも先に、月はなんだか悔しいような気持ちとともに、衝動的に冬華に抱きついていた。
「……!」
あまりに勢いがよかったので、冬華は半歩だけ後退した。
「冬華、私を見て」
冬華と合わせの黒いレースのネグリジェのまま、彼女の胸に額を当て、ぐりぐりとこすりつける。
「私がいるんだよ。私のことだけ、見てよ……!」
声を荒げたくはなかった。でも月は、叫ぶような哀願を止められなかった。
月が寂しがり屋なのはわかっている。
「ふふっ、甘えん坊ですね……」
両腕で月を抱き寄せて、冬華は彼女の髪に顔をうずめた。
「恐かった」
「悪い夢でも見ましたか?」
「ちがう。起きたら冬華がそばにいなくて……私を置いて出て行ったのかも、と」
「どうして? そんなことするはずがないじゃないですか。第一ここは私の部屋ですよ」
「うん、わかってるんだ。わかっているんだけど、でも……呼んでも冬華、すぐに返事しないし……」
「それは失礼しました。でも、不安がることはありません」
きかん坊に言い聞かせているように、冬華はゆっくりと月に告げたのである。
「いつだって、私は月さんのことを考えていますから」
月は目を閉じた。
冬華の身体のやわらかさと、優しく甘い匂いが心地いい。
抱き合い、もつれあうようにしてベッドに身を横たえる。
月はむしゃぶりついた。乱暴に冬華の下着をずらして丘のいただき、尖ったところに吸いつく。
「まるで赤ちゃんですね」
冬華は拒まない。むしろ体を動かして、月のやりやすいようにさせる。
「私、私……」
「わかっています」
それ以上言わなくていいんですよ、と告げるかわりに冬華は、月のネグリジェの下に手を這わせた。
陶器のようにつるつるとした背を撫でる。
中指と人差し指をそろえて、なめすように。
たったそれだけの動きなのにたちまち月は、脊髄に電気が走ったように感じていた。
理性のたがが緩み、どろりとした液状の本能がしみだしてくる。
呼吸が荒くなる。
顔を上げて求めると、なにも言わず冬華は唇を与えてくれた。彼女の舌が自分の舌に絡まる。愛撫する。糖蜜のように甘く、水気のある舌だった。
このまま勢いに任せてしまいたい。
そうやって少しでも、寂しさがまぎらわせるなら。
でも――。
唇を離すと月は思いを吐きだした。
「……でも私、私たち」
「どうしましたか」
「私たち、もう三年生になってしまった……いつまでも高校生じゃない。卒業後の進路も、考えないといけない」
撫でる手を止め、黙って冬華は月の目を見た。
「ただ私がこの先どんな道に進んだとしても、その隣に冬華がいないという想像ができない……!」
冬華の優しい手を離したくはない。
だから、と月は言った。
「冬華……これからもずっと一緒にいてほしいの。私の人生のパートナーになってください」
冬華は即答しなかった。
イエスと答えるのは簡単だ。
でもこれは月にとって、軽々しく口にできる問いかけではなかっただろう。
だから自分も軽々しく応じるべきではない……はっきり言語化したわけではないもののそう感じた。
――月さんをこんな風にしてしまったのは私の責任。
ろっこんの影響があったとはいえ、月さんの体に手を出したのは私。私のせい。
あれ以来、月さんは変わってしまったように思う。
まばたきひとつする間に、数十もの記憶がよみがえる。
私は、望まれるがままに与えてきた。肉体的にも、精神的にも。
ずいぶんと長く付き合った。
しかし、ひとつお願いをした。私がいなくなっても、独りで生きている強さを持ってください、と。
月さんも受け入れ、約束してくれた。
なぜなら別れはいつの日か、必ず訪れるものだから。
しかも人は、たいていの場合その日を選べない。
冬華の両親が交通事故死したのは、彼女が中学生のときだった。別離は前触れもなく押しかけ、冬華の人生を決定的に変えたのである。
月さんは私に依存している。昨夜はからずも口にしたように、溺れていると言ってもいい。
私はいつだって応じてしまう。月さんの求めに。ときとして、私自身が怖くなるほどに。
月の華奢な体を、無意識のうちに冬華は抱き寄せていた。
月さん、あなたは。
私がいなくなっても生きていける強さを持てたでしょうか。
そもそもなぜなのかと冬華は考えた。
月さんが私を求めつづけるのは。
決して満たされることがないのは。
愛に飢えているから、でしょうか。
月さんは言っていました。自分は家族に恵まれていないと……。
そのためなのでしょうか。
でも別れは来るのです。いつの日か、絶対に。
本当の強さはそのときにならないと分からない……かもしれませんね。
時間にすれば短いひとときだったが、冬華は長く逡巡した。
そうしてついに、意を決したように告げたのである。
「ええ。これからも、ずっといましょうね。月さん」
死がふたりを分かつまで……という言葉は飲み込んだ。
もっと冷静に受け止めたかったのだけど、いざその回答を聞くや、月の心は無邪気なほどに跳ねた。
猫のような声を上げてキスで喜びを、じゃれつくことで幸福を表現する。
「冬華、冬華、冬華っ」
連呼した。冬華のあたたかさ、やわらかさ、優しい匂いも全部、月の心を安らかにする。
手放したくない。
手放すものか。
冬華は私のものだ、他の誰にも渡さない。
たとえ冬華自身が望んでも、私から離れることを許さない――!
冬華はほほえみで応じながらも、眉を八の字に下げていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
推理・サスペンス
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年03月18日
参加申し込みの期限
2021年03月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年03月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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