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雨の中のワルツ - a waltz in the rain
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通話を終えるとネクタイの結び目に手をかけ、ぐいと下に引いて緩めた。
大きく息を吐きだす。
やっと一段落。
星山 真遠
は首をかたむけ、ぴきっと骨がきしむような痛みを感じた。
参った。
多忙だった。年度末から今日までの数週間、真遠はプロレスでいうところのバトルロイヤルのただなかにあったのだ。飛んでくるもの組みついてくるもの、はたまた足元を狙うもの、つぎからつぎへと無差別に業務が襲いかかってきたのである。大型案件の合間には、ひとつひとつは小さいけれど、塊になったとたんドスンと強烈になる雑務もあった。
プライベートの時間など取れなかった。必定『久慈たから』としてのPBWマスター業務も開店休業となった。広くはなくとも興亡いちじるしい業界だ。PBWの世界から忘れられたのではないかと不安になった。
だが、それもこれまで。
さきほどの報告電話をもってようやく、長い業務ラッシュはついに終わった。来年度はもっと仕事のペースを考えたほうがいいなと思う。毎年、そう思っているような気がするけれど。
ざんざん降りの雨だが今夜は飲みたい気分だ。
真遠は法人顧問先であり、昨年オーナーが倒れたときは色々と手伝ったクラブ『プロムナード』に足を向けた。
一般的にキャバクラというのは、寂しい男が擬似恋愛を楽しむ場だと思われがちだが、実際はそうとばかりも言い切れない。個人事業主の哀しさで、打ち上げしようにも愚痴を聞いてもらおうにも同僚のいない真遠のような者を、たとえ一時的とはいえ友達のように迎えてくれる場所でもあるのだ。恋愛に興味のない層や、単身の女性客が訪れる理由もそのあたりにあるのかもしれない。実際、文系サークルの部室のようにとらえている常連客も『プロムナード』には多いのだった。
天気が最悪だから空いているだろう、という真遠の予想は当たった。
歓迎してもらえるかな、という真遠の期待は、実現したもののかなり異なるベクトルで実現した。
「若先生、いいところに来てくれました!」
真遠の顔を見るなり、オーナー
アーナンド・ハイイド
が声を上げたのである。
続けて飛び出してきたのは、鮮やかな赤いチャイナドレスの
恋々
(レンレン)だ。
「若センセ、こっち入って! こっちよ!」
恋々は両手で真遠の腕を引っ張る。そのまま真遠は客席を通りすぎてバックヤードに連れ込まれてしまった。
中では
あんな
と夕顔が険しい顔をして立っている。まみ子もいてイライラと、噛むようにくわえた煙草に火をつけようとやっきになっていた。そろって華やかな衣装だけにギャップがすごい。黒服店員の
ゴンザレス
と
ロドリゲス
も、暗い表情で顔を見合わせているではないか。
「俺は……飲みにきただけなんだが」
「それどころじゃないヨ! これ見るね!」
恋々が真遠の顔に紙をつきつけてくる。
「スーパーマーケットのチラシ……?」
「違う! 裏見るよ、裏! さっき忘れ物とりに部屋戻ったらこれが置かれてたね! 大変! 九鬼姫! 行方不明!」
恋々は早口でまくしたてるも、待て待て落ち着けと言って真遠はチラシを裏返した。
書き置きだった。
縦書き、筆ペンで書いてある。
差出人は九鬼姫である。なかなかの達筆だ。
九鬼姫は恋々の部屋に同居していた。ルームシェアとは言っていたが、事実上は居候に近い状態だった。そこまでは真遠も知っている。
本日非番の九鬼姫が、この紙束(チラシやルーズリーフなど数枚つづりになっていた)を残して姿を消したのだという。
草書に近い行書、候(そうろう)体の文語調だ。かなが多いから大意は理解できる。
いままで恋々やアーナンド、『プロムナード』の面々に世話になったことに対する礼が切々としたためられていた。
今日をもって店を辞め、寝子島を出て行くことについての謝罪の言葉もあった。
これからは自立して生きていくということ、少ない私物は処分しておいてほしいということ、再度の礼と詫びをもって文はしめくくられている。
「若センセ、私どうしたらいいよ!? 私が不甲斐ないから、あの子思いつめて……」
涙目になる恋々に、自分を責めるなと言い聞かせて真遠は顔を上げた。
「今夜寝子島を出て行く、と九鬼姫の書き置きにあるな。でも妙じゃないか? こんな記録的豪雨の日にだぞ。たしか今夜、ねこ電は終業を早めてる。島を出る便は早々に止まったはずだ」
無理があると思うのだ。
「決行日を延期するのが普通だ。どうしても今夜寝子島を出て行くとしたらタクシーという手もある。だが、誰かが自動車で迎えに来ていた可能性が高いな」
「どういうこと?」
「前から約束していたから、今夜出発するしかなかったってことだ。九鬼姫が自分で計画した話じゃないな、これは」
「さすが若先生ね」
と言ったのは夕顔だった。
「みんな、まずは店を通常通り回しましょう? 私も出るわ」
夕顔がカーテンの隙間から顔を出すと、ほどなくして
泰葉
(やすは)がバックヤードに入ってきた。美しさという意味ならば夕顔のほうがずっと上だろう。けれど泰葉には、姿を見せたとたん注目を集めるカリスマ性がある。
「泰葉、先生にはあなたから説明してもらっていい?」
「はい、夕顔さん」
任せたから、と言い残して夕顔はバックヤードから出て行く。さすがプロ、さいぜんまで青ざめていたというのに、たちまち夕顔は完璧なまでの笑みを浮かべていた。
「それにみんなも、店をお願いします」
奇跡的に団体客が訪れたという。
泰葉の言葉にまみ子は黙ってうなずき、指先で煙草をつまんでじゅっともみ消した。
「え? あの、どういうことっすか? ひょっとして紗央莉さんのことも……」
あんなはなにか聞きたそうにしていたが、「いいから」とまみ子に背を押されて出ていく。まもなく「まみ子さん、3番テーブルご指名です」というアーナンドの呼び声と、アニメ声で「は~い♪」と応じるまみ子の声が響いた。
「お願いね、若センセ……」
名残惜しそうに恋々も去る。
黒服たちも出て行ったので、バックヤードは泰葉と真遠のふたりだけとなった。
その間、念のた真遠は九鬼姫に電話を入れ、NYAINEにメッセージを送ってみた。
「……やはり反応がない」
それに、と真遠は言う。さきほどのあんなの言葉尻からある程度予想はできていたが、あえて訊いた。
「紗央莉の姿も見ないな。今日は休みなのか?」
「先生ならわかりますよね? 紗央莉さんも姿を消しました。昨日から」
「『飛んだ』、とか?」
業界用語でいう『無断退職して行方をくらませた』という意味である。この世界で働く者にはままあることだ。
「最初はそうかもと思いました。でも、プライドの高い紗央莉さんには似合わない。あの人なら、たとえ電話一本でも入れてから辞めるはずです」
「信頼しているんだな」
「もちろん」
「ということは――」
「ふたりの失踪は無関係とは思えません。もしかしたら、事件に巻き込まれたのかも」
実は、と前置きして泰葉は
松木 長
(まつき・たける)という男のことを話した。松木が、紗央莉や九鬼姫に引き抜きをかけようとしていたということも含めて。
「紗央莉たちへの引き抜き工作が不調に終わり、強硬手段に出たとも考えられるが、だとしてもあまりにもリスクが大きすぎるな。第一その松木ってやつ、本当にキャバクラのオーナーなのか?」
真遠は左手でネクタイを直しながら、右手でスマートフォンを操作する。
「電話? 誰にかけてるんです?」
「文梨(ふみなし)だ。ご存じの通りあいつ、かつて六本木の高級キャバクラでナンバーワン張ってたこともあるからな。松木とかいう男に心当たりがあるかもしれない」
文梨 みちる
は真遠の旧友で泰葉の顧問弁護士でもある。元キャバ嬢という異例の経歴で顔も広い。とりわけ水商売の世界には。
実際には、紗央莉も九鬼姫も仲良く松木に引き抜かれただけかもしれない。現在は高級車のシートに収まって、大阪のキャバクラのことでも考えているのかもしれない。
しかしどうしても真遠はそうは思えないのだ。泰葉も、恋々も、夕顔もあんなも、まみ子だって同じだろう。
真遠がすがっているのは、蜘蛛の糸より細い線だった。
それでもこの線から真実をたぐり寄せたかった。
ネクタイの結び目をいじる左手に力がこもる。
コール音が十二回目に達したとき、文梨みちるが電話に出た。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
推理・サスペンス
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年03月18日
参加申し込みの期限
2021年03月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年03月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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