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希望＜ネガイ＞が現実＜ホント＞になるところ。それがらっかみ！
天宵川の河川敷にショッキングピンクの神社が出現した。境内は大勢の人に対応するかのように広々とした作りになっていた。縁日を思わせる屋台では筋骨隆々の男性達がイブニングドレス姿で調理を担当。手酌で日本酒を呷っていた大柄の女性は胡坐を掻いた姿で笑い声を上げる。
その中心にいたミッシェル・ナイスゲイは的確に指示を与えた。
「もう少しおつまみが欲しいですわーん。新鮮な魚介類をじゃんじゃん焼いてちょうだいねーん。今回はクローネちゃんの他に特別ゲストをお呼びするのですわーん」
情熱的な赤いワンピースに身を包み、少し乱れた金髪を手で整える。青く染まった顎を摩って、完璧ですわーん、と甚く気に入ったらしく青い瞳で周囲にウインクをして見せた。
ミッシェルがママを務める、ゲイバー『ジオフロント』の店員のおかげで今回の舞台は完成した。
「今年もクローネ祭の始まりですわーん♪」
ミッシェルの高らかな宣言に周囲から歓声が沸き起こる。いつの間にか一般人も加わって祭りの雰囲気を盛り上げた。
「寝子島の祭と言えば、もちろんクローネ祭よねーん！
そして今回は特別ゲスト、クローネちゃんの上司の絶神（たちがみ）降臨よ～ん！」
高らかな声に導かれるように四十九院 鸞が現れた。鍔広の黒い帽子を斜めに被り、漆黒のドレスを身に纏う。
人々は妖艶な姿に見惚れ、隣に目を向けた瞬間、恐怖で後退った。
黒い狼、絶神が鋭い牙を剥いて低い唸り声を漏らす。
ミッシェルは気にすることなく前に出た。
「お待ちしていたのですわ～ん。アタシの思った通り、鸞先生がクローネちゃんなのよぉ～ん」
「あたしはあたしです。なんで今年も呼び出されたのかはわからないけれど。それと組み合わせ的にどうかと思いますね」
視線を斜め下に向ける。絶神は喉の奥から絞り出すような声を出した。
「我を呼び出したのは」
「アタシよ～ん♪ 立ち話なんて無粋な真似はしたくないわ～ん。こちらに席を用意してあるからお越しになってね～ん」
「不思議な力が我を現世に押しとどめている」
「ここはそういうところですよ。諦めて今を楽しめばいいと思いますわ～」
慣れた様子で鸞がミッシェルの後を追う。絶神は威嚇の唸り声を上げながら歩を進めた。
神社に設えた階段に通された。鸞が座った横に絶神は威厳を見せ付けるように鎮座した。
「用意した料理を運んできてね～ん。あと飲み物もお願いするわ～ん」
階段の手前には程よい高さのテーブルが置かれた。そこに次々と料理が持ち込まれる。
「気に入らん島だが、心からの歓待は受け入れよう」
絶神は置かれたグラスの端を噛み、逆さまにして中身を一気に飲み干した。
「あらーん、絶神ちゃん、いい飲みっぷりね～ん。飲み物の追加をお願いね～ん」
「折角なので、あたしも付き合いますわ」
鸞はワイングラスを摘まむように持ち、艶やかな赤い唇を縁に押し当てて軽く傾けた。
「今日は一年の不満をぶち撒けて、すっきりする日でもあるのよ～ん。クローネちゃんの話はとっても楽しみなんだけどぉ～、今回の特別ゲストの絶神ちゃんに語って頂こうかしら～ん♪」
「我に不満等は」
大皿に載った分厚いステーキ肉の端を噛み、首の力で真上に投げた。落ちてくるところを獰猛な牙で一噛みにして僅か二回の咀嚼で呑み込んだ。
横目で見ていた鸞は大げさな溜息を吐いた。
「いいではないですか。ここで本音を語っても。あたしもよくわからない理由で呼び出されているのですが、たまの息抜きに利用させて貰っています」
言い終わるとグラスを大きく傾けて飲み干した。濡れた唇を舌で舐め取ると周囲から熱い溜息が漏れた。
「……ふん、ここの連中は普通を好む。我には理解できん。永遠の幸福の尊さがまるでわかっておらん」
「永遠の幸福ですか～」
鸞は新しいグラスを回すように揺らして飲んだ。
「喜びは最初だけで、すぐに飽きがきそうですね。人生には多少の波乱がないと。苦しい時期を乗り越えた先に無上の喜びがあると思うのですよね～」
「我は半身を取り戻し、永遠の幸福を望んだが、拒絶された。我が否定されたのだ」
「そうかしら～。強引な方法に問題があっただけで、誰かを頭から否定したわけではないと思うのですよ～。このサワラは鮮度が良さそう」
ナイフとフォークを手に取った。
絶神は鼻息を吐いた。手前に置かれたグラスを咥えて一呑みにした。
「皆の力によって、我の半身は独立した。勝手に道を歩めばよい。次があれば、方法を変えることもあるやも知れぬ」
聞き役に回っていたミッシェルが口を開いた。
「ののこちゃんは自力で解決したかったのかもねぇ～ん」
「あれが？」
何かを思い出したのか。絶神は喉に引っ掛かるような笑い声を漏らした。
川のせせらぎを耳にしつつ、宴は長々と続いた。
その中心にいたミッシェル・ナイスゲイは的確に指示を与えた。
「もう少しおつまみが欲しいですわーん。新鮮な魚介類をじゃんじゃん焼いてちょうだいねーん。今回はクローネちゃんの他に特別ゲストをお呼びするのですわーん」
情熱的な赤いワンピースに身を包み、少し乱れた金髪を手で整える。青く染まった顎を摩って、完璧ですわーん、と甚く気に入ったらしく青い瞳で周囲にウインクをして見せた。
ミッシェルがママを務める、ゲイバー『ジオフロント』の店員のおかげで今回の舞台は完成した。
「今年もクローネ祭の始まりですわーん♪」
ミッシェルの高らかな宣言に周囲から歓声が沸き起こる。いつの間にか一般人も加わって祭りの雰囲気を盛り上げた。
「寝子島の祭と言えば、もちろんクローネ祭よねーん！
そして今回は特別ゲスト、クローネちゃんの上司の絶神（たちがみ）降臨よ～ん！」
高らかな声に導かれるように四十九院 鸞が現れた。鍔広の黒い帽子を斜めに被り、漆黒のドレスを身に纏う。
人々は妖艶な姿に見惚れ、隣に目を向けた瞬間、恐怖で後退った。
黒い狼、絶神が鋭い牙を剥いて低い唸り声を漏らす。
ミッシェルは気にすることなく前に出た。
「お待ちしていたのですわ～ん。アタシの思った通り、鸞先生がクローネちゃんなのよぉ～ん」
「あたしはあたしです。なんで今年も呼び出されたのかはわからないけれど。それと組み合わせ的にどうかと思いますね」
視線を斜め下に向ける。絶神は喉の奥から絞り出すような声を出した。
「我を呼び出したのは」
「アタシよ～ん♪ 立ち話なんて無粋な真似はしたくないわ～ん。こちらに席を用意してあるからお越しになってね～ん」
「不思議な力が我を現世に押しとどめている」
「ここはそういうところですよ。諦めて今を楽しめばいいと思いますわ～」
慣れた様子で鸞がミッシェルの後を追う。絶神は威嚇の唸り声を上げながら歩を進めた。
神社に設えた階段に通された。鸞が座った横に絶神は威厳を見せ付けるように鎮座した。
「用意した料理を運んできてね～ん。あと飲み物もお願いするわ～ん」
階段の手前には程よい高さのテーブルが置かれた。そこに次々と料理が持ち込まれる。
「気に入らん島だが、心からの歓待は受け入れよう」
絶神は置かれたグラスの端を噛み、逆さまにして中身を一気に飲み干した。
「あらーん、絶神ちゃん、いい飲みっぷりね～ん。飲み物の追加をお願いね～ん」
「折角なので、あたしも付き合いますわ」
鸞はワイングラスを摘まむように持ち、艶やかな赤い唇を縁に押し当てて軽く傾けた。
「今日は一年の不満をぶち撒けて、すっきりする日でもあるのよ～ん。クローネちゃんの話はとっても楽しみなんだけどぉ～、今回の特別ゲストの絶神ちゃんに語って頂こうかしら～ん♪」
「我に不満等は」
大皿に載った分厚いステーキ肉の端を噛み、首の力で真上に投げた。落ちてくるところを獰猛な牙で一噛みにして僅か二回の咀嚼で呑み込んだ。
横目で見ていた鸞は大げさな溜息を吐いた。
「いいではないですか。ここで本音を語っても。あたしもよくわからない理由で呼び出されているのですが、たまの息抜きに利用させて貰っています」
言い終わるとグラスを大きく傾けて飲み干した。濡れた唇を舌で舐め取ると周囲から熱い溜息が漏れた。
「……ふん、ここの連中は普通を好む。我には理解できん。永遠の幸福の尊さがまるでわかっておらん」
「永遠の幸福ですか～」
鸞は新しいグラスを回すように揺らして飲んだ。
「喜びは最初だけで、すぐに飽きがきそうですね。人生には多少の波乱がないと。苦しい時期を乗り越えた先に無上の喜びがあると思うのですよね～」
「我は半身を取り戻し、永遠の幸福を望んだが、拒絶された。我が否定されたのだ」
「そうかしら～。強引な方法に問題があっただけで、誰かを頭から否定したわけではないと思うのですよ～。このサワラは鮮度が良さそう」
ナイフとフォークを手に取った。
絶神は鼻息を吐いた。手前に置かれたグラスを咥えて一呑みにした。
「皆の力によって、我の半身は独立した。勝手に道を歩めばよい。次があれば、方法を変えることもあるやも知れぬ」
聞き役に回っていたミッシェルが口を開いた。
「ののこちゃんは自力で解決したかったのかもねぇ～ん」
「あれが？」
何かを思い出したのか。絶神は喉に引っ掛かるような笑い声を漏らした。
川のせせらぎを耳にしつつ、宴は長々と続いた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2021年01月31日
- 参加申し込みの期限
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- 2021年02月07日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2021年02月07日 11時00分
