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寝子島高校
【お花見】花の盛りの寝子島で
帰らぬ連中を胸に
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猫鳴館を九夜山に隠す森の木々がおひさまの光にさわさわと笑っている。
窓を閉めていてもどこからか聞こえてくる木々の声に、
穂現 まう
は丸くなっていたお布団の中からもそもそと顔を覗かせた。
琥珀の瞳を何度も瞬かせる。細い指先で瞼を擦る。
(今日は、)
あったかい布団を頭から被ったまま起き上がる。子猫じみた動作でぐうっと伸びをして、カーテンの向こうでひらひら揺れる眩しい太陽の光を見遣る。
(日曜……)
昨日は土曜日だったから、と小さく頷いて、布団から出てカーテンを開いてみれば、外はぴかぴかのいい天気。
(お花見日和?)
ちょっぴり寝ぐせのついたふわふわ天然パーマな髪を揺らして小首を傾げる。窓の向こうに広がる森も、ところどころに煙るような薄紅が見えている。ぽかぽかのおひさまの下で見る桜は、きっととても綺麗だろう。
寝ぼけ眼はそのままに服を着替える。黒猫耳つきフードのパーカーを羽織りながら、まうはちょっと目を伏せた。
(まう、)
思うのは、ろっこんによって召喚することのできるもうひとりの自分自身、『まうまう』。ふたりで一緒に桜を見れば、きっととても楽しい。
(でも、……)
他の人がいるところだと、まうまうはいなくなってしまうことが多い。
(どこがいいかな)
のんびりと考えながら部屋を出て、のんびりと廊下を辿る。入学式が過ぎればまた賑やかになるのかもしれないけれど、今日の猫鳴館の廊下はしんと静まっている。
(みんなまだおねむ?)
ところどころ床板が抜けそうなくらいに軋む廊下を抜け、玄関の扉を開く。ふわりと流れ込む春風に揺れる前髪を抑えて、
「……ん」
玄関脇に誰かが置いたらしい長椅子に座る熊の姿を見つけた。
「おはよ、士君」
「おう、穂現」
熊──正しくは熊の毛皮を被った元猫鳴館自治会長、
邪衣 士
は、今にも壊れそうな古びた玄関口からひょこんと顔を出したまうにちらりと笑いかけた。
「花見か」
「うん、……行ってくるね」
「ああ、行ってらっしゃい」
いつの間にか猫鳴館に居ついていた少女がのんびりした足取りで山道を下って行くのを見るともなしに眺め、士は木漏れ日に緋色の瞳を細める。
(猫鳴館もさびしくなった)
長椅子に背もたれに後頭部を預けるかたちで背後のオンボロ寮を眺める。
折に触れて寮生たちの手で修繕してはいるものの、オンボロ寮はオンボロ寮だ。塗装の剥げた壁はともすればすぐに穴が空く。草の生えた屋根瓦は強風が吹けば飛んで行ってしまう。電気のブレーカーはすぐに落ちるし、共用の冷蔵庫はいつだってぬるい。
それでも、この寮に住む学生が絶えたことはない。新年度になれば卒業生の誰かしらから噂を聞いた新入生が荷物を手にやって来る。とはいえ、今は、──三年生が卒業し寮を出て行った今の猫鳴館は、士にとって、
(静かになった)
どうしてもそう感じてしまう。
少し前まではどこにいても誰かしらの声が聞こえていたり、何かしら謎の作業をしていたり、いつだって人の気配が感じられた。大部屋に足を運べば騒がしい連中と好き勝手に談笑することが出来た。
(連中、進路とか将来のことに集中してるのか)
三年生たちが寮を去って、その傾向は強くなったようにも思う。最近は皆と大部屋で顔を合わせることも少ない。それに、
(俺自身も)
秋を過ぎたころから、大部屋に顔を出すことも減っていた。
寂しい思いを持て余して見上げた空に、ひらり、風に乗ってどこからか飛んできた桜の花びらがひとひら。ひらひらと気まぐれに舞う花を視界の端に、士はひょいと身軽に立ち上がる。
(花見に行こう)
ぼうっと黄昏ているのにも少し飽きた。適当に山道を歩いて行けば、どこかしらで桜の樹に出会えるだろう。
ふらりと歩き出す士に、極度の方向音痴の自覚はあるのかどうか。
迷子必須な花見の行方はどこへやら、帰宅はいつになるのやら。
(たとえ深夜になっても帰って来れる)
その自信だけは何故だかある。そうしてきっと、結局自分はここに帰ってくるんだなと思いつつ、高校最後の一年に思いを馳せては黄昏る。
(高校三年生、か)
受験に進路相談、引き継いだ部活動にとやるべきことは山積している。
もうすぐそこに迫っている『最終学年』と向き合おうとしつつ、士は頭から被った熊の毛皮に触れて笑ってみる。
(熊さんの明日はどっちだ)
それよりもまず、向かうべき場所はどっちだ。
「……ん」
のんびりと辿っていた山道から逸れた森の木立の向こう、熊の耳が見えた気がした。迷いのない足取りで山奥へ入って行く士をそっと見送り、まうは木の影に座りこむ。
「まうまう」
秘密の呪文を囁けば、目の前に自分と同じ姿の『まうまう』が現れる。
「まう」
「まうまう」
互いに互いを呼び合って、同じ姿の少女たちは仲良く手を繋いで歩き出した。
「一緒にお花見をしよう」
「場所を探して寝子島をのんびり巡ろう」
ふわふわと話しながら山を下りる。お花見日和のためか、少し大きな道に出た途端に人通りが多くなった。
「……あ」
てのひらに触れていたまうまうの手の感覚が消えて、まうは小さく瞬く。まうまうは、他の人がいるところだとすぐにいなくなってしまう。
空っぽのてのひらを袖の中でにぎにぎしつつ、まうはもう一度まうまうを召喚できそうな場所を探す。
(どこがいいかな)
寝子高にも桜は咲いているけれど、高校には日曜日でも誰かしらが居る。シーサイドタウン駅に続く道は今日は屋台が出て賑わっている。
(お花見電車……)
路の角に立てられた案内の看板を眺め、別の方向に行こうとしてちょっと思い直す。目についた和菓子屋の屋台で花見団子と桜餅、それからおにぎりと出汁巻き卵の入った小さなお弁当をふたつずつ買って、今度こそ人気の少なそうな場所を探す。
桜を探して見つけたのは、シーサイドタウンの端っこの公園。
(ここなら)
満開の桜に囲まれた公園は、猫が日向ぼっこをしている以外に他の人の姿はない。
春風に心地よさげに花びらを揺らす桜の下のベンチに掛け、
「まうまう、一緒にお花見しよう?」
もう一度、ろっこんでまうまうを召喚する。まるきり同じ姿の少女は互いに笑みを交わし、一緒にごはんとおやつを食べて、猫を愛でて、桜を眺めて、同じ格好で小さく欠伸をする。そうしてまた笑み交わす。
ふたりきりのお花見は、けれど公園を誰かが通りすがった途端におしまい。
(……また後で呼ぶからね、まうまう)
心にそっと呼びかけて、まうは立ち上がった。ふたりで平らげたものを片付け、次なるお花見の場所を探して歩き始める。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
65人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月23日
参加申し込みの期限
2021年01月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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