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プールびらきはサニーデイ
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この日、最後に着替えを終えて更衣室から出てきたのは
松谷 洋志
でした。
――あんまり混み合っているときに行くのは……ちょっと……。
という気持ちもありましたがそれよりも、たくさんの生徒でごった返す時間帯に入るのはその勢いに呑み込まれそうで、圧倒されそうで引け目を感じていたというのが正確なところでしょうか。
そっとシャワーを浴びてそっとプールに歩み寄ります。
「うん。軽く泳いで帰ろう」
おそるおそるメガネに手をかけて……ここで、彼は第8コースに目をやりました。
メガネを外す前に彼は見ました。一瞬ですが、エカテリーナ・クロキの姿を。
メガネを顔に戻し、洋志はそのコースに足を向けました。
彼が到着したのとほぼ同時でしょうか、エカテリーナが長い泳ぎを終え、水から上がったは。
「はぁー……」
さしもの彼女も疲労困憊なのでしょう、ハシゴを握る手もぐったりしています。
それもそうでしょう。なにせ彼女は、ずっと、ここまでずっと泳ぎ続けていたのです。スピードを競う泳者がいれば追いぬけるように脇に避け、場合によっては潜水するなどして、ここまで一度も、彼女は水底に足をつきませんでした。
大抵の遠泳を上回る超遠泳です。体力的にはほとんど限界まで泳ぎ切りました。最後のほうはもう、水ではなくタールの海を進んでいるようにエカテリーナは感じていました。
「エカテリーナさん……」
なので洋志の、控えめな呼びかけが聞こえなかったのも無理はありません。
そしてエカテリーナの様子から、洋志も彼女が、休みなく泳ぎ続けていたことを悟ったのでした。
――プール開きから何時間も経ってる。すぐに来たんじゃなくてもエカテリーナさんはフルマラソン以上の時間、泳ぎ続けていたはずだ。水泳部の人でも、あそこまで泳ぎ続けられるのって、そうないんじゃ?
このとき、エカテリーナがよろめきました。
転ぶまいとして彼女が手を伸ばしたその先に、立っていたのは洋志です。彼に抱きとめられる格好になります。
「……あれ? 洋志じゃない? まだ帰らないでいたの?」
「いえ、実は今来たところです」
ふぅん、とエカテリーナは言いたかったのですが言葉にならず、ただ、つかまった手に力を込めるだけに終わりました。
――洋志の体……華奢だけど、それなりにしっかりした身体つき……やっぱり男子なんだなあ。
「……いや、その、ごめん」
ぼんやりと思うも、すぐに事態を理解して体を引きました。
エカテリーナが身を引いたことに、彼はほっとする反面、なにかもやもやとしたものを感じていました。
――なんだろう、こういうアクシデントとか聞くと羨ましいって思ったりしたけど自分がそうなると……ものすごく照れくさくていたたまれない。
「ええと……大丈夫ですか」
「ま、大丈夫だと思う」
とはいえ彼女は、そのままぺたっと座り込んでしいまします。
その膝や脚、あるいは胸を見ないよう気をつけて……つまり完全に目をそらして、洋志も彼女の正面に座りました。
「なんで、そんなに泳ぎ続けてたんです?」
我ながら間抜けな質問だ――という気もしましたが、やはり訊いてみずにはいられません。
「部活じゃなかなかできないから。ね。大会に出るならそのくらいのスタミナは必要だし、オリンピック目指すならなおさら……ってところかしら」
でも流石にちょっと疲れたわね、とエカテリーナは力なく笑いました。
「あ、そ、そうですか……すごいですね……」
言葉を交わしながら、頬が熱くなるのを洋志は自覚しています。
――同級生以外では話す機会の多い人だけど、やっぱりドキドキするなあ……。
「あの……休憩するならあっちのベンチにしません……?」
「ごめん、実は、移動するのもちょっと無理かな。……まああと数分くらいは」
「あ、そ、そうですね。申し訳ないです……、じゃあ、また……」
深く頭を下げて、洋志は立ち去ってしまいます。
――えっ?
エカテリーナは追おうとしましたが、本当に体力が限界で、声すら上げられませんでした。
――正直に言えば良かったかな……「肩貸して」って。それでなければせめて、「だからもう少しここにいて」でも……。
彼女の目は、洋志の背を追います。なんとなく、うなだれているような背中を。
――あの子の場合、引きずりそうだからちゃんと話をした方がいいんだけど場所もあればあの状態でもあるし……。
でもせめて、これだけは言うべきだったかもしれません。
「洋志が謝ることじゃないよ」と。
――だめだなあ、私……。
エカテリーナは手を、自分の前髪にくしゃっと突っ込みました。
――だめだなあ、僕……。
洋志の背中は丸まります。
「移動するのもちょっと無理」
と言った彼女に、どうして「僕が運びますよ!」と言えなかったのか。言って横抱き、いわゆる『お姫様だっこ』を……。
――それは無理だよな……。
いくらなんでも、そこまで自分が大胆になりきれないことくらい洋志は知っていました。
でも、せめて、
――「肩をお貸しします」、くらい言えたよな……。
もう洋志に泳ぐ気はなくなりました。更衣室に向かう階段を降りていきます。
フランス語のことわざで、レスプリ・デスカリエ(l'esprit d'escalier)というものがあるそうです。日本語にすれば『階段の機知』とでもなるでしょうか。人と別れてから階段で、「ああ言えば良かった」「こう言えば良かった」と思い悩む状況という意味です。
今の彼が、まさにその状況でした。レスプリ・デスカリエ。
でも、覚えておいてほしいものです。
誰にでもしばしば起こる状況だからこそ、それはことわざになっているのですよ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
学校生活
恋愛
スポーツ
定員
1000人
参加キャラクター数
108人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年09月26日
参加申し込みの期限
2013年10月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年10月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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