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ンモ~っ♪ 新春☆初夢フェア2021! ~茄子編~
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狐面は視界が狭い。
細く切り取られた世界に見えるのは、己が手にした鬼灯色の提灯の火の揺らめき。
かろん、と足元で音がする。踏み出した足に履いているのは、ならば下駄か。
(……ふぅん)
面の中、
加瀬 礼二
は双眸を細める。
見下ろした視野に、黒地に金銀で花をあしらった袴が見えた。動く度に裾の揺れる花葉色の羽織が、首元に巻いた猩々緋の襟巻が見えた。
提灯の火が揺れる。面を掛けた耳元をポツポツと雨音が叩く。
提灯を持たぬ手を伸べれば、指先に冷たい雨が触れた。てのひらを濡らし、指先を伝う氷雨の滴を払う。如何ほど雨に打たれようが構わなかった。どうせ傘のひとつも持たぬ。何が肌に触れようと、瞳に映すほどの価値もない。
耳朶を打つ雨音にも己が卒として置かれた状況にも、なにひとつ頓着せずに歩く。冷たい石の路を、爪先の向く方向のみに向けて進む。
(まあ、何を見たところで)
動揺はしない。心は微塵も震えない。怖じてしまうわけにはいかない。だってそれでは、
(楽しくない、でしょう?)
目だけを覆う狐面の下、唇が酷薄なまでの笑みを刻んで歪んだ。
羽織の裾をなびかせ、薄い水たまりに冷静な足音を刻む。向かう場所が何処であろうと構わなかった。辿り着く場所がたとえ無くても構わなかった。とにかくも、歩く。気の向くままに歩を進める。その先に何が待とうと、それはそのときに考えてみせよう。出会うままに出会って、別れるがままに別れてみせよう。
(来るもの拒まず、去るもの追わず)
どんな邂逅も、どんな別離も、然程に意味はない。心を動かす価値など見出さない。そう信じるからこそ進んで行ける。どんな状況でも笑うことが出来る。
周囲を薄墨の色に滲ませ、雨が降る。
手にした灯りひとつを、それすらも頼りにせず、ただ己の眼が向く方向へとひとりきりで進む。
ざらざらと地面を叩いていた雨音に、別の音が混ざった。
──まあ、綺麗なお顔
──美しいお召しもの
華やかで姦しい声をしきりと上げて、薄墨に烟る視界の向こうから、狐狸の面を掛けた女たちが近づいてくる。
──さぞや名のあるお方でしょう
──お国は何処?
緋に金に、目にも綾な衣装を艶めかしい肢体に纏い、甘やかな声を掛けては肩や腕に触れてくる女たちに、礼二は穏やかな笑みを向ける。穏やかに優しい笑みに唇を彩らせる。
「急いでいますので」
柔らかく、有無を言わせぬ冷たい嘘でまとわりついてきた女たちを切り捨てる。大股に物理的に女たちと距離を取り、肩越しに振り返る。
「またいつか、……ね」
突き放した女たちを、どこまでも甘い笑みで翻弄することも忘れない。
(別に、仕事でもないし)
相手をしてやる意味もない。前を向くと同時、浮かべていた優しい笑みは霧散する。女たちを一顧だにせず先へと進む。己がどこへ進んでいるのかも分からぬまま、それでも歩く。
進めば進むほど、誰かが誘惑の声を掛けてきた。蕩けるような声で手を引こうとしてきた。時に憎悪を向けて突進してきた。そのすべてを振り払い、払いのけ、躱し、歩く。路の先を目指す。
(……先へ)
追いつきたかった。追い抜きたかった。負けたくなかった。そのためには何であろうと利用しよう。相手が利用されたことにも気づけぬほどにスマートに紳士的に、その手を取ってみせよう。
(っと)
足が止まる。面に覆われた頭を軽く横に振る。
(何時如何なる時も紳士的かつスマートに、だよねぇ)
今の感情はスマートではなかったかなぁ、と小さく笑えば、耳元でちりん、と微かに鈴の音がした。雨音と下駄の音に紛れて聞こえていなかったのか、狐面には鈴が飾りつけられているらしい。
雨に濡れた髪を片手にかき上げる。狭い視界に前を向く。野望も打算も隠してこそ。
(ああ、……そうかぁ、そうですよねぇ)
普段の己よりも感情的になり易いことに思い至って、だから知る。
(これは、夢)
目を覚ませばきっと、自宅のリビングのソファかベッドの上だ。
妙に現実感のない周囲も、手を引く曖昧なナニカの感覚も、夢まぼろしだからこそなのだろう。
勘付いてしまえば、急激に路を進むことへの興味が失せた。夢の中で追いついたところで、それこそ何の意味も価値もない。
「あーあ」
大仰に溜息を吐いてみる。
「つまらない、……」
夢だねぇ、と呟きかけた声が消えた。
面に覆われていても、視界を細く削られていても、
(金木犀の香)
それははっきりと感じた。感じ取れてしまった。
何もかもを薄墨に溶かしてしまうような雨の中にあっても、その花は香でその存在を示す。馥郁と、香る。
上げた瞳の先、光が見えた。降る雨を消し去ってしまうほどに清浄な、それでいてひどく静かな光。
ころん、軽やかな下駄の音が淑やかに響く。露草の着物に白菫の羽織を纏い、氷雨を朱色の和傘で避けて、
(夢で、逢うつもりはなかったんですがねぇ)
弥逢 遊琳
がこちらへと歩いてくる。雨に咲く花の風情で傘を差しかけ、ひどく静かに微笑む。
なにもかもを優しく包み込んでしまうような蜜色の瞳がまっすぐに見上げてくる。その瞳に映りこむのは、狐の面を掛けたままの己。
それがお前であるのなら、と彼は言ってまた慈母の如く微笑むのだろうか。それを望むのならば僕はそれでいいよ、と。
琥珀の瞳に『己』が映りこんでいる。
その瞳で他人を惑わせるろっこんを発動させてしまいかねないため、彼は普段から他人と目を合わせない。ひとと常に一線を引く彼が、自分の意志で目を合わせるのは、極く一部の人間に対してのみ。
耳元をうつ雨音は傘に遮られて聞こえない。
ちりん、と鈴が鳴る。後頭部に結わえていた紐を解いて狐面を外せば、存外に涼やかな空気が目元に触れた。
和傘の結界の中、遊琳が安堵したかのように微笑んだ。
僅かに桜色を宿す白い頬に触れようとして、やめる。
(これは夢で、)
だから触れたところで現実には何の影響もないと信じて、だからこそ、触れなかった。ただ、肩を並べて雨の中を歩く。
「この道の先に何があるのか、俺には分かりませんが」
「うん」
不安がるでもなく、正解を求めるでもなく、ひたすらに今の状況を受け止め受け入れるだけの応えが返って来る。
「それでも、遊琳センパイは」
その言葉から先を口にするのはずるい気がした。言ってしまえば、遊琳は遊琳であるがために己の道連れとなる。彼は、そのことにきっと躊躇しない。
(だから、逢いたくなかった)
言葉を殺して黙するこちらを蜜色の瞳に映し、遊琳は傘の柄をくるりと回した。銀色の雨粒が周囲に散る。
「とうりゃんせ──」
くるりくるりと傘を回しながら、遊琳が唄い始めたのは古い童歌。
通りなさい通りなさい、と呪文のように口にする遊琳を見つめ、礼二は一歩を踏み出す。一歩踏み出せば、隣の遊琳も一歩を踏み出す。
「ここはどこの細道じゃ──」
彼の歌に護りを得たかの如く、先程までうるさいほどにまとわりついてきた雨の中からのどんな誘いの声も聞こえない。
「天神さまの細道、……ですか」
「ちっと通してくだしゃんせ」
礼二が呟けば、遊琳はくすくすと笑った。
雨の帳の向こう、朱い鳥居が見えた。
それが夢の終わりなのだろうと気取り、礼二の足が鈍る。
(来る者拒まず去る者追わず、ねぇ)
ならば、この夢の果てで遊琳はどうするのだろう。共にゆくか、ひとり去るか。
──彼に去られたとき、己はどうするのだろう。
僅かに遅れた礼二に合わせ、遊琳がさりげなく歩を緩めた。何かしら問うでもなく、歩調を合わせてくれる。
「御用のないもの通しゃせぬ」
「怖いですか」
囁く声で歌う遊琳の細い肩を、からかうように軽く叩いてみる。
「怖くないよ」
「ここにふたりでずっといるのも悪くないですが」
強がるように返ってきた言葉に、礼二はまた笑った。『夢』の中で出会ってしまった、『夢』の登場人物であるはずの『センパイ』の手を取る。
(今日のところは、ね)
びくりと遊琳の手が震えて、けれど振り払うことはしない。ただ、
「……僕、は……」
揺らがぬ蜜色が揺らいだ。細い指が小さく震える。
「僕は、お前の手を」
「取って良いに決まってるでしょう」
掴んだ手を胸元に引き寄せる。そのまま、『夢』の出口であるのだろう鳥居に向けて歩き始める。
「助けが欲しいときは言ってくださいよ、センパイ」
ここに、ふたりでなら居ても良いとも思う。誰にも邪魔されず、ふたりきりで曖昧模糊とした世界に漂ってみるのもそれはそれで、きっと一時はとても楽しい。
(でも、俺はそのうち)
飽きる。
ふたりきりでいることに、ではない。この『夢』に。
「ほら、タスケテーって」
「……意地悪」
むくれたように俯いてから、遊琳は決死の表情で顔を上げた。白い頬に朱を昇らせ、蜜色の瞳を潤ませ、掠れた声で呟く。
「たす、けて」
乞われるままにどうにか絞り出したような遊琳の言葉に、礼二は笑う。
ここが夢ではなくて、目の前の彼が夢の中の登場人物ではないとして。それでも彼がそう口にするのは、もしかしたら彼もこれを夢だと思っているからなのかもしれないと、そう思った。これは夢で、目の前の『礼二』は自分の夢の登場人物なのだと。
(うーん、どうでしょー?)
夢の登場人物に対してさえも、遊琳はこちらを『変える』ことは口にしない気もする。そうまでも、『センパイ』の心は強い。ずっとずっと、強くあろうとしている。懐に入れたものを、そのかたちのままに護ろうとする。たとえ、いつか自分が壊れても。
遊琳の手を引き、鳥居を潜る。
潜り抜けた鳥居を仰ぎ、遊琳が小さく歌った。
「……行きはよいよい」
「帰りはこわい?」
繋いだ手を離さぬまま、目覚めを待つ。蜜色の瞳を覗き込み、笑ってみせる。
(行きも帰りも分かりませんが、俺はここに居ますから)
そっと唄ってみる。手は離さぬまま。
「こわいながらも とおりゃんせ とおりゃんせ」
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10人
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10人
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2021年01月03日
参加申し込みの期限
2021年01月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月10日 11時00分
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