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ンモ~っ♪ 新春☆初夢フェア2021! ~富士編~
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【クロノドールの見る夢は】
浮き沈む街<エレベーターシティ>は今日も曇天に鳴く。時計仕掛けの家々もビルの並びも軋みを上げて上下移動を繰り返し、僅かな日の光を巡って不毛な争いに飽くことなく興ずるばかり。
工業特区のおびただしく突き出た煙突たちはピストンし、止め処なく煤煙吐き出すこと甚だし。スモッグにて天を一面覆い隠し人類を太陽と断絶すべく虚ろな業務に邁進す。
おかげで楽園は暗く潤った。都市の上下が生み出すエネルギーはいつしかエントロピーの不可逆性を駆逐せしめ、煌々灯るネオンに羽虫もかくやと人は集い、永劫の生を謳歌し思うさま欲を満たした。
住民たちは忘却の彼方。全ては時計技術<クロノロジー>の賜物なれど、時を数える者は最早無し。
その男に名はいらぬ。物語において主役たるのは常に渇望する貧者であり、男はエレベーターシティが生み出す熱の恩恵に与るのみの高級無産市民であるからだ。
その夜、男はバーへ足を向けた。男は酒と性、そしてほんの少しばかりの歌を欲していた。この街ではどこへ歩めどそれらに餓えることはない。
目も眩む強い明かりに辟易しつつも入店する。男が腰かけた時計椅子がぐるりと旋回した。ちょうどの頃合であったらしい。スピーカーがステージへ現れた女の声を通り良く伝えた。
ツクヨミがたたえる凄絶な美に心動かされたわけではない。男にとって時計人形<クロノドール>の作り物の顔などどれも似たり寄ったりであったはずだが、壇上にて水晶が鳴るように歌うツクヨミの佇まいは識らずのうち、男の浅ましさを突いたらしい。
たちまちワインレッドのドレスの下に包み隠された肢体を暴きたい欲求を抑えられなくなった男は、こいつにしようと心に決めるなりボーイを呼びつけ、カードを提示し、併設されたホテルの部屋を押さえツクヨミを待機させておくよう命じた。
その後はしばし椅子の提供するバネの絶妙な沈み加減に身を任せ、クロノドールの精巧な歌唱器官が奏でる美声に酔いしれた。
クロノドールは心を刻まぬ。人を酔わせる美貌も、琴線震わす歌の才も全てはクロノロジーの産物であり、ロジックと計算が形を成したものだ。人の欲するように動き、人の欲するままに自らを擲って然るべき存在だ。
(だというのに何故、私は物思うのかしら)
沈鬱する自らの胸心地が、ツクヨミには不思議でたまらない。クロノドールは所有される備品だ。思考はおろか感情の機微など備えるはずもなし、ならば何故?
何故自分はこれから行われる一方的な搾取におぞけを感ずるのだろう? そも、搾取とは? せいぜい器物の損壊だ、それに支払いが成立している以上正当な業務の一環だろう。何故自分は……自分の奥底に在る何らかのロジックは、そこに忌避感を与えるのだろう?
己の胸が心を刻むことは、ツクヨミにとって不幸でしかない。いずれにせよ拒む権利をクロノドールは持たされていないのだから。
(忘れなければ。感情なんて)
枷をはめられたように重く抵抗する足を引きずり、ツクヨミはどうにか部屋へとたどり着くとドアフォンをコールし、男へ来訪を告げた。
かち。こち。かち。針は絶えず音を刻む。
男は憮然とした顔でニュースフィードに踊る文字列を追いやった。クロノドール殺人事件。くだらない。つまらん。なんと生産性のない記事だ。
確かに男は今日のような遊びを通じて、数体のクロノドールを廃棄させるに至ったことはあった。しかしすぐさま所持者と金銭の折り合いは後腐れないよう付けてあるし、後ろ指を差されるような覚えはまるでない。ジャーナリストごときが嗅ぎつけたとて、丸め込む手管は十全に心得ていた。
かち。こち。かち。男は不機嫌に顔をしかめる。
「あの。なさらないのですか」
ツクヨミの声には鎮静作用があるかのようだ。あるいはそういった新技術でも組み込まれているのかもしれない。一介のクロノドールと明確な違いを見分けることは難しいが、男は確かにツクヨミを好ましく思った。
だというのに、かち。こち。かち。頭のどこかで、何かが喚いている。この不快感は何だ。かち。こち。かち。
こっちへ来い、と呼べばツクヨミは躊躇いがちに男へ身を預けた。たおやかで柔らかく、男の指は程よく肌へ沈み込む。計算され尽くした造形美を余すことなく貪るべくベッドへ押し倒す。銀色の髪が扇のように広がり赤い瞳が男を見上げる。
「あッ……」
この恥じらいはどうだ。まるで生娘のように男の情欲をくすぐる。ツクヨミを創った者は相当な変態らしい、しかし享受する自分もまた他人を誹れまいが。
かち。こち。かち。とりとめのない思考を阻害され、男はツクヨミの絶対美を抱きすくめながらに苛立った。かち。こち。かち。
この音はどこから鳴っている?
「あの。あまり激しいのは、ご遠慮いただけたら……あ。あ」
かち。こち。かち。こち。かち。こち。
うるさい。この音は一体どこから。
いいや。そうだ。永遠なるエレベーターシティに、時を刻む者など最早なし。
「やめてください。やめて……」
ならば、どこから? 誰が?
かち。こち。かち。こち。
かちん。
音の出処が目の前のクロノドールだと思い至った瞬間、男は首元へ生じた予期せぬ衝撃に跳ね飛ばされベッドの脇へ転げ落ち、わけもわからず青ざめながら、『彼女』を見上げた。
「微塵の警戒もなしとは、君はニュースを読まないのかね? 『クロノドール殺人事件』」
旅鴉 月詠
はつつがない覚醒に心地良くあくびをひとつ漏らすと、ベッドに身を起こす。
懐中時計を取り出せば、針はちょうど0時を回ったところだ。
お前は何者だ、と息も絶え絶えな震えた声に、月詠は感情を表さぬまま蒼白な男を見下ろした。突き立てたのはちっぽけな銀のテーブルナイフだが、彼の命はゆっくりと時間をかけて流れ出るだろう。
「さて、何者だと思う? クロノドールは感情を持たない。抵抗しない。ましてや人を傷つけることなどありはしない。かな?」
くつくつと笑う。笑みは浮かべぬままに。
誰だ? 何者だ?
人間、なのか?
「シンデレラさ。ガラスの靴は履いていないがね」
もはや男へ興味を失ったとばかり、月詠は窓の向こうを平坦なまなこで眺める。
「やれやれ。思いついた時には、もっと美しいものを想像していたのだけどね……」
エレベーターシティに満ち満ちる暗がりを、月詠は大層気に入らぬとばかり鼻を鳴らした。
短針が一巡りするまでじっくりと、男の喉から漏れる吐息は弱弱しく風を吹かせ続けた。
ツクヨミの肩へジャケットをかけてやりながら、ボーイは言った。
心配はいらない。明日からはまた元どおりになるから。
「……? 私は、何を。どうして?」
ボーイは忙しく立ち回り現場を取り繕う同僚へ一言二言指示を飛ばすと、ツクヨミへ語って聞かせた。
エレベーターシティをかつて構想した資産家であり芸術家でもあった女性が、ひと言言い残した言葉がある。
「……『時計を止めるな』? どういう意味かしら?」
ボーイは肩をすくめた。彼もまたその真意を理解してはいなかったが、少なくとも分かることが一つあるという。
資産家の意思は今もって生きている。人がある種の係数において一定の上げ止まり、下げ止まりの限界を記録した時、停滞を打破すべくその意思は執行されるのだと。
それを聞いたとて、ツクヨミに理解できることは何もない。その必要もないと考える。しかし止め処なく思いはあふれ出た。
不意にごくんとビルが鳴り、浮上の時を告げる。まだ日照時間には早いはずだが。ツクヨミは首を傾げた。
「あ……」
立ち込めるスモッグへにわかに走った切れ間から差し込む月影を、その美しさを、自分はきっと忘れないだろう。ツクヨミの頬を伝う雫は青く輝いた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月01日
参加申し込みの期限
2021年01月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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