ガラスの中の小さな世界｜リアクション

ガラスの中の小さな世界

●ワークショップへ

　アクセサリー作りが趣味の水上桜は、シーサイドタウンのいつも行っている素材屋に出かけた。
　そこの店員に「店の近くのレンタルスペースでバーバリウム作り体験のワークショップが行われているけど、興味ない？」と聞かれた。
「ハーバリウム？　それってドライフラワーやプリザーブドフラワーをデザイン性の高い瓶に入れ、特殊なオイルで浸したフラワーインテリアよね」
「そう、それ」
　店員と話をしているうちに、桜は面白そうなので行ってみることにした。
　ワークショップの場所を教えてもらい、さっそく、そこへと向かう。

（ハーバリウム……なんだか面白そう）
　綺麗だし私も作ってみたいな、面白そうだし。
　ワークショップに参加してみようと小山内海はシーサイドタウンへ足を運ぶ。

　光村千恵は、ねこったーでワークショップでハーバリウム作りをする人を募集していることを知った。
「え！？　ワークショップって体験教室だよね。近くにあるんだ！」
　やってみたい、と思い立ったのでシーサイドタウンへ向かう。

　光村日向は日課のジョギング中、妹の千恵の姿を見かけたので足を止める。
（今のって……千恵じゃ？）
　紺色と白のフリルがワンポイントのシックなワンピースにヘアピンというお洒落な格好だったのでもしや……と考え込む。
（お洒落をしてたみたい……だけどデート？　……いやマセてるけど、ありえないよね……）
　もし千恵だったら方向音痴だし放置してはいけないと、走って、ろっこんで手掛かりを探す。

「何となく、来ちゃった……ハーバリウムなんて作ったことないけど大丈夫かなぁ」
　万条幸次は、神魂の風に吹かれてワークショップが行われるレンタルスペースの前に来ていた。
　
　レンタルスペースの前に辿り着いたのはいいが、入っていいのかどうか迷い、千恵は入り口前でウロウロしている。
（私みたいな小学生でもできるかな）
　不安だったが、思い切って1人で入っていった。
　ワークショップには千恵と同じ年齢くらいの子がいたので、小学生は私だけじゃないんだと安心した。
「こんにちは。あなたもハーバリウム作りに来たの？」
　30代半ばという主婦の女性の講師が千恵に近づき、挨拶をした。
「は、はい。私みたいな小学生でもできるかな？」
「大丈夫ですよ。わからないことがあったら、私に何でも聞いてくださいね」
　初めて作るという人もいることもわかったので、千恵は一安心。
「よろしくおねがいします！」

　参加者がある程度揃ったところで、講師は挨拶とハーバリウムの作り方の説明を。
　使うのは数多くの種類があるプリザーブドフラワーやドライフラワー。
　それらをガラスの小瓶に入れ、保存用の専用オイルに浸して作るので花本来の瑞々しさを長期間保つことができる。
　なので、面倒な世話や手入れは一切不要。
　瓶の中に花材とハーバリウムオイルを入れるだけで作品が完成するという手軽さ。
　生花にはない、オイルによってもたらされる透明感や浮遊感はハーバリウム独特の魅力。
　短時間で作品が完成するので、気分転換になる、ということも教えてくれた。
（ふむふむ、瓶の中にオイルを入れて作っていくと）
　海は熱心に講師の説明を聞きながら、どんなふうにしようか考える。

「説明は以上です。まずは、花とオイルを入れるガラス瓶を選んでください」
　講師が用意したのは、様々な形をした瓶。
　細長い瓶、真四角の瓶、雫型の瓶、球状の丸い瓶といったもの。
　哺乳瓶型や試験管型、ラムネ瓶などの変わり種も。
　通常のハーバリウムの他にも、ペンの柄をハーバリウムにしたハーバリウムボールペン。
　小さなハーバリウムにチェーンをつけたハーバリウムペンダントなども制作することができる。
　
　いろいろなガラス瓶があるので、皆、どれにしようか悩んでいる。

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