深草物語｜リアクション

深草物語

大翔達と別行動をしていた修は、図書館で全国医師名簿の中か『小野』という苗字の医師を調べていた。
（旧市街近くの住所で、小野という苗字。年齢を逆算すると……）

一つ一つ丁寧に名前と住所を確認していく修の目がある箇所で止める。

「あ」
修は、思わず声を出してしまうが幸い小さな声だったので周りには聞こえていない。

（あった！多分これだ！小野医院、小野良貴先生）

名簿には旧市街に近い住所と小野の苗字が記載されている。
過去の記録だが、病院の近くには必ず心春のことを知っている人がいると修は考えていた。
（事情を知る人がいたら、それとなく彼女の事を聞き出したいな）

修は、住所をメモして図書館を出ると大翔に電話を掛ける。

『もしもし』
『もしもし、中村君？小野心春さんのお父さんがやっていた病院がわかったよ！』
『ほんと？！俺は今、例のぐるぐるチョコ抹茶ソフトの店に向かってる』
『まだあるのか？その店』
『うん。あるんだって。で、ソフトクリームがくそ不味いらしい』
大翔の残念そうな声に修が笑う。
『ははは！そうなのか』
『これは商店街のお好み焼き屋さん「うさぎ屋」店主の満月さん情報デス』
『聞き込みは順調そうだな』
『うん。手分けして聞き込み中』
『わかった。それじゃ、俺は病院の住所に向かうよ』

修はそう言って大翔との通話を終えて旧市街の方へ向かう。