深草物語｜リアクション

深草物語

裕次郎が入院している病院のエントランス横。

依頼解決の為に協力を依頼した中村大翔は集まってくれた人達にお礼を述べた。

「今日は、依頼解決のために来てくれて本当にありがとう！」

今回、力を貸してくれる面々はねこったーで連絡をくれた神野美野梨と八神修。
そして、大翔の先輩である仙藤紫だ。
大翔は裕次郎から預かっていた写真のコピーを渡し、簡単な自己紹介を各々した後に四人の役割を話合う。

「闇雲に旧市街に聞き込みしても見つからないと思うわ」
「だよね」
美野梨が手掛かりである写真をスマホで撮影しながら大翔に言う。

「そういえば心春さんのお父さんって開業医だったって言ってたかしら？」
「うん。そう聞いてるよ」
「旧市街のお年寄りに話を聞いてみたら、なにかわかるんじゃない？」
「そうね！私は写真に映っている喫茶店を当たってみるわ」
美野梨の提案に紫が賛同する。

「わかった。じゃ、紫先輩はそっちをお願いします。俺は別のツテを頼るよ」
大翔と、美野梨、紫は旧市街へ聞き込み行く事になった。

「三人が聞き込みに行くなら俺は心春さんの父親の方を重点的に探してみるよ」
修は医師であった心春さんの父親を調べる為に図書館へ向かう事を提案した。

「よし！じゃ、修さん。そっちは任せました！」
「あぁ。なにかわかったら連絡するな」

まずは二組に分かれて、裕次郎の願いを叶えるべく四人は動き出した。

―――旧市街

大翔達、三人は旧市街で分かれて聞き込みを始めていた。

美野梨は、旧市街にある老舗漬物屋に訪れて聞き込みをしようと主人の梅川照喜にスマホで撮った写真を見せる。

「この女性は小野心春さんという方なのですが、お父様はお医者様だったそうです。
小野さんというお医者様に心辺りは？」

「ん？んー……小野……。―――あ！小野医院の事かな？」
梅川は暫く考え込んだ後に、はっとした表情になった。

「ご存知ですか？」
「うん。今はもう閉業してるけどね。昔、あったよ」

現在は閉まっているという病院だが、小野という苗字の病院がかつてあったらしい。
美野梨は主人から、病院の場所を教えてもらうとスマホに住所を打ち込んだ。

「でも、どうして小野医院のことを調べてるんだい？」
梅川が不思議そうな顔をした。

「実は、小野心春さん用事がありまして……」
「なるほど！小野医院は自宅も兼ねていたから、もしかしたら住んでるかもしれないよ？」
「本当ですか？」
「俺も詳しい事はわからないんだがね。兎に角、行ってみたらどうかな」
「はい。ありがとうございました」

美野梨は丁寧に頭を下げてお礼を告げて教えてもらった住所へ向かう。

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