中学生、最後の試練！学年末テスト！＜物語編＞｜リアクション

中学生、最後の試練！学年末テスト！＜物語編＞

☆記念写真

　なぜかお腹がすいたり眠かったりといろいろあったものの、テストは無事終わり、返却日となりました。
　珍しくスラスラと解けた気がした仙藤蒼の、中学最後のテストの結果は良好でした。
（ついこの前まで高校入試に向けた受験勉強をしていたから、その時の知識がまだ残っていたみたいね）
　帰宅の足取りも羽が生えたように軽くなります。

「おかえりなさい。中学最後のテストはどうだった？」
　家にいた大学生の姉、仙藤紫から訊かれ、蒼は笑顔で親指を立てサムズアップしてみせたのでした。
「成績は良かったのね」
　その様子に紫は妹の成績を察し、安心して微笑むのでした。
（普段はゲーム三昧だけど、高校受験の1ヵ月前からはゲームは封印し勉強に集中していたものね）
　その甲斐あって合格できたし、と思ったところで紫は思い出しました。
「そういえば、頼んでいた寝子高の制服ができたって、さっき店から電話があったわよ」
「本当！？　さっそく引き取りに行こうよ」
　蒼は目を輝かせて紫にせがみました。
「そんなに急がなくても」
　苦笑する紫ですが、蒼は階段を駆け上がっていきました。
　服を着替えてから行くのかな、と紫は思ったのですが、蒼はカバンを部屋におくとすぐ戻ってきました。
「制服ができるのを楽しみに待っていたから早く引き取りたいの」
「わかったわ」
　紫は、中学の制服を着たままの蒼と一緒に店へ向かいました。
「着替えないの？」
　道々聞くと蒼は、
「だって、この制服を着るのもあとわずかだし」
「そうねえ」
　蒼でもそんなふうに感傷的になるのね、と思っていると。
「それにさっきまで中学の制服を着てたのが、次の瞬間には寝子高の制服に着替えて、それを写真に撮ってもらおっかなー、なんて思ったり」
　といたずらっぽい表情で蒼は言うのでした。

　まもなく店に着き、入ってみると、店の主人が電話を切ったところでした。
　同じように制服を買った他の生徒の家に連絡していたのかもしれません。
「先ほど連絡いただいた仙藤です」
　と紫は主人に声をかけます。
「はい、ちょっと待ってくださいね」
　店主はにこやかに応じ奥へ引っ込んでいくと、蒼が言いました。
「ね、まず中学の制服姿を撮って」
「ああ、そうだったわね」
　ポーズを決めた蒼をスマホで撮影したところで、店主が寝子高の制服を手に戻ってきました。
「上着、ブラウス、スカートは二種類……」
　紫が制服を確認し引き取りの手続きをとっている間に、蒼は聞きました。
「今ここで着てみてもいいですか？」
「はい、どうぞ」
　店主に案内されて試着室に消える妹を見送りながら、
（私のときもあんなふうだったかしら？）
　紫はしばし感慨にふけるのでした。
「どうかな？　今回はチェック柄のをはいてみたわ」
　やがて試着室のカーテンが開き、寝子高の制服に身を包んだ蒼が姿を見せました。
　女子の制服は黒とチェック柄のスカートのどちらを選んでもいいのですが、たいていの生徒は二つとも注文しています。
　蒼も気分に合わせて変えるつもりです。
「すっかり女子高生ね。似合ってるわよ」
「我ながらよく似合うと思う。かわいい」
「サイズは大丈夫？　太ったりしてない？」
「大丈夫だよー、急に背が伸びたりもしてないし。それより、写真とって」
「そうね」
　店主にお礼を言った後、紫はさっきと同じ場所でポーズを取る蒼の高校制服姿をスマホに収めたのでした。

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