中学生、最後の試練！学年末テスト！＜物語編＞｜リアクション

中学生、最後の試練！学年末テスト！＜物語編＞

〇闇の叡智の勉強会

　中学二年生の折河樹は、幼馴染の観月光に勉強を教えてほしいと言われて、一瞬目を丸くしました。
「ほう、我が盟友光よ、俺の闇の叡智を求めるとは、深淵なる闇に堕ちる覚悟が決まったのか？」
　相変わらず厨二病患者の樹ですが、ツンデレ気味の光にストレートに頼まれるのが珍しかったようです。
「闇って何よ？　成績落としたくないから頼んでるの」
「まあいい、素直に叡智を求める者には我が叡智授けるのもやぶさかではない、さあ求める叡智について訊ねるがよい！」
　数学を教えてほしいと問題集を見せられ、樹は頷きます。
「ふむラプラスの叡智（数学）を求むか、どれどれ……」
　問題を眺めると樹は、意外と普通に数学の方程式について説明を始めました。　
「その式はだな……Xを移項して、分母を……わかりやすくいうと、……と、こういうわけだ」
　案外普通にわかりやすい例を使い教える樹に、光は意外そうな顔をしていました。
「ふっ……この闇の叡智があらば審判の試練（試験の事）もおそるるにたらんだろう」
　わかりやすい説明に光がお礼を言うと、樹は言いだしました。

「ところでだ、叡智を求むるには対価が必要なのはわかるか？」
「え？　……何が欲しいのよ」
「そう、貴様のもつ叡智を代わりにいただくとするぞ！」
「何それ？」
「あー、家庭科よくわからんから教えてくれ」
　教わる立場になると普通モードになる樹でした。

　最初からそう言って、と半分呆れた顔をしながら、今度は光が教える側となりました。
「助かる。全然手をつけてなくてな」
　と、ワークブックを開いた樹の目に飛び込んできたのは、△に×が書かれていたり、〇にＦが書かれたりした謎の記号でした。
「な、なんだこの謎の図は？　召喚用か？」
　樹が驚いた記号の正体は、洗濯表示でした。
「なるほど、しかし洗濯物にこんな記号が描かれていたとは……俺が洗濯を失敗するのはこのせいだったのか？　それにしても、なんでこんなものが覚えられるんだ？」
　説明を聞きながら、心底不思議そうに樹は感心するのでした。

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