銀色は自由への導き｜リアクション

銀色は自由への導き

「うりゃあ～！」
　廊下の奥から勉計がこちらへ向かって走って来た。
　各々が身構える。
　逆巻は冷静に維都月の両肩に手を添えて勉計の前へと差し出した。
「維都月さん、よろしく」
「おい、逆巻。維都月に何をさせるつもりだ？」
　止めに入ろうとした八神を制止する。
「この腐ったパンツめ……」
　維都月の鋭い拳が走って来た勉計めがけて繰り出される。
「せいぃ！」
　ところが勉計は奇妙な声と共にそれをかわすと、皆の合間を縫うように人とは思えない動きで駆け抜けて行った。
「どいてくださ～～い！」
　そこへこれまたすごい勢いで突進してくる女子生徒が一人。
「ぐう」
　不幸にも彼女は維都月の拳に自ら体当たりしてしまい、唸り声をあげてその場に倒れてしまった。
「おいおい……大丈夫かよ」
　介抱しようとクロウディアが近づくが、
「この女、あの雅里のスピードについて行っていたのか？」
　八神の言葉に後ずさりする。
「まさかシルバースターの影響を受けた雅里の仲間？」
　皆が警戒する中、
「いや、それはない。こいつはこういう女なんだ」
　御剣が女子に歩み寄る
「知りあいか？」
「東雲人里。クラスメイトさ」
　そう言って彼女に手をやる。
「おい東雲。しっかりしろ」
「う～ん」
　意識を取り戻した東雲がゆっくりと立ちあがる。
「あれ……刀くん？」
　女子生徒は自分を囲む面々を見ると、
「勉計君はどこへ行きました？」
　動揺した様子もなく尋ねてきた。

「どうしてあの変態を追いかけていたんだ？」
「この制服を返してあげようと思って」
　東雲は胸元に抱えていた勉計の制服をみんなに見せた。
「あんな格好じゃ風邪引いちゃいますから」
「そりゃ制服もきっと喜んでるだろうよ」
　東雲の大きな胸を横目で見ながら呟くクロウディア。
「だったら一緒に来なさいよ。あの勉計についていけるほどなんでしょ」
　北原が言う。
「たしかに東雲のあのスピードは戦力になる」
「私は勉計くんに制服を返せればなんでも」
　とんとん拍子で話は進み、
　新たなメンバーを迎えることとなる。