銀色は自由への導き｜リアクション

銀色は自由への導き

　雅里勉計の雄叫びと多くの悲鳴が校舎中に響き渡る。
　シルバースターを手にした彼は、仲間（犠牲者）を増やしつつ校内を走り回っていた。

「待ちやがれ！」
　そんな勉計を一人の男子生徒が追いかける。
　三年生のクロウディア・W（ホワイトウルフ）だ。
　銀髪を振り乱しながらそのチャラい外見からは想像できない速さで勉計に食らいついていくが、その差は徐々に広がっていった。
　そして、二人が向かう先には一人の女子生徒の姿が。
「え？」
　パンイチで向かってくる勉計に恐怖で動けない女子生徒。
　それをいいことに勉計はシルバースターを女子に向けてかざす。
　すると、そこから発せられたまばゆい輝きが周囲を照らした。
「キャーッ」
　クロウディアはすぐさま目の前に手をかざして難を逃れたが、女子は光を浴びてその場にうずくまった。
「なっかっま～」
　その場で腰を振って喜びを表現すると、勉計はまた新たなる仲間を求めて走り去って行った。
「チッ、おい。大丈夫か？」
　クロウディアが犠牲となった女子に駆け寄ると同時だった。
「ぐっ」
　腹部に強烈な刺激が走り、思わずその場にしゃがみ込んでしまう。
　女子生徒の右拳がクロウディアの腹部に深々と入っていた。
「気安く触ってんじゃないわよ」
　立ち上がった女子が蔑むような目でクロウディアを見下ろす。
（先輩に向かってなんて荒んだ目をしやがるんだ。これがシルバースターの威力か？）
　目の当りにしたシルバースターの威力が彼のやる気に火をつけた。
「おい、雅里はどっちへ行ったんだ？」
「……」
「聞いてんのかよ！　あの変態はどこへ行ったか聞いてんだぞ！」
　苛立つクロウディアに女子は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「手伝ってあげようか？」
「はぁ？」
「あの変態追いかけてるんでしょ。あなた一人じゃ頼りなさそうだから手伝ってあげるわ」
（なんかムカつくけど時間がもったいねぇ）
　クロウディアは彼女に協力してもらうことにした。
「俺は三年生のクロウディア。お前は？」
「一年生の維都月茉菜。名前じゃなく苗字で呼んでよね」
「そんなことどうでもいい！　さっさと行くぞ」
　勉計を追おうとするクロウディアであったが、突然制服の裾を掴まれてしまう。
「今度はなんだよ！」
　だが、振り返った先にいたのは維都月ではなく……、
「独り占めはさせません」
　大きな瞳でクロウディアをじっと見つめてくる新たな女子生徒の姿が。
「は？」
「シルバースターはこのかわいい本条小萩にこそふさわしいのです」
「あ～、わかったわかった。用が済んだらお前にやるから」
「当然です」
「えっと、維都月に本条つったか。ついて来られないなら置いていくぞ！」
「見くびらないで」
「ついていけます！」
　三人はすぐさま勉計のあとを追った。

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