銀色は自由への導き｜リアクション

銀色は自由への導き

　しかし、勉計の姿はすでにない。
「見失ったか」
「クロウディアさんはどうしてシルバースターを狙っているのですか？」
「ん？　ああ……」
　本条に尋ねられたクロウディアはバツが悪そうに頭を掻いてみせる。
「面白そうだから……ってとこかな？」
　答えたのはクロウディアではなかった。
　廊下の角から一人の生徒が姿を現す。
　ポニーテールに一見すると女子かと見間違う容姿。
「なんだお前は？」
「これは失礼。僕は一年生の逆巻天野。そして……」
　逆巻の背後からもう一人、男子生徒が現れる。
「ただの興味本位なら恥を晒しかねないと思うがね」
　逆巻の背後にいた男子生徒が言う。
「随分な物言いじゃねえか。だけどまずは名乗れ」
「……御剣刀だ。で、あんたは見たのか？　性格が変わるところを」
「ああ。ついさっきこいつのな」
　指差された維都月に御剣と逆巻の視線が向けられる。
「なにジロジロ見てるのよ」
　それが気に入らなかったのか、維都月は御剣に向かって拳を振り回す。
　それをかわしながらなおも観察を続ける御剣。
「この様子だと本来はおとなしい性格ってことか」
「知らねぇよ。出会った瞬間にこれだからな」
　クロウディアがその様子を見つめていたその時だった。
　廊下の奥から女子の悲鳴が轟く。
「あっちか！」
　クロウディアの言葉より速く、何かが彼らの横を駆け抜けた。
「あれは……八神修？」
　逆巻が呟くが早いか、御剣がそのあとを追い、
　先ほど駆け抜けた者と横並びになる。
「大したスピードじゃないか」
「ついてくるお前も大したものだ」
「だけど、校内で自転車はまずいだろ」
　八神は自転車で勉計を追いかけていた。
「細かいことを気にしている場合か。その先だぞ」　

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