決戦絶神！分かれ合わさる運命、絶望、未来｜リアクション

決戦絶神！分かれ合わさる運命、絶望、未来

●第六階層、雲海の中

　第六階層は空と雲海と奇岩の世界だ。青い空。眼下に広がる真っ白な波の如き雲とところどころから顔を見せている奇岩の創り出す風景はまさに風光明媚である。
　その雲海の一部がむくと膨らみ、飛び出してきたのは二体の空飛ぶ羊。
　それぞれに、髪を一括りにした曖浜瑠樹と天使な恰好をした橘明里、髪をポニーテールにした瑠樹と悪魔な恰好をした明里が乗っている。
「あははー！　楽しいの！」
「雲の中を泳げたら楽しいよねよね！」
　天使あかりと悪魔あかりは大はしゃぎ。雲海の中なら、きっと空を飛べると思い込み、生身で雲海にダイブしかけた二人のあかりであったが、第六階層のアステリズムで魔女のフローレンス・アイメルトに首根っこ掴まれて止められ、瑠樹たちの空飛ぶ羊にそれぞれ乗せてもらったというわけだ。
「貴女たち……明らかに目的を忘れているわよね」
　空飛ぶゴーレムに跨って追従するフローレンスは呆れ顔。
「えーっとなんだっけ？」
「きっと楽しいと思うことは大事なんだよ！　って思っているのなの！」
　案の定、何のために雲海を突っ切っているのか忘れているダブルあかり。
「シリンダーを探すんだよぉ」
「皆で探したら、きっと楽しいしすぐ見つかるよぉ！」
　ダブル瑠樹がフォローする。
　あちらの方にあるはずよ、とフローレンスに促されどんどん雲海を進んでいくと、七色に輝く羽を持つ巨大な鳥が雲の中から突如姿を現した。
「ニジイロコンドルだわ！」
「何なの！？」
「なのなの！？」
「雲海から突き出している高山の静寂を壊す者を嫌い、襲ってくる鳥よ」
　フローレンスが説明すると、一括り瑠樹が「僕たちに任せてよぉ」とぬいぐるみのラピちゃんを抱きしめた。
　その途端、瑠樹のろっこん＜ゆるゆる和みと恩恵の輪＞が発動し、ニジイロコンドルがへにゃへにゃと和んで襲ってくるどころか守るように並び飛ぶではないか。
　ニジイロコンドルは和み顔のまま雲海の中に突っ込むと、次に顔を出したとき、そのくちばしに銀色に輝く大きなシリンダーを咥えていた。
「わぁ、探してくれたの！？」
「やったあ！　ミッションコンプリートなのなの！」
　天使なあかりと悪魔なあかりはエアハイタッチからのハイスピードエアアルプス一万尺で喜んだのであった。