あなたのスケジュール、教えてください！　～特別な一日編～｜リアクション

あなたのスケジュール、教えてください！　～特別な一日編～

　姉に起こされた檜扇舞華はぼんやりとしながら朝ごはんを食べていた。
「……おいしい」
　今日のメニューは手が込んでいる。出汁のとれた味噌汁と鮭の焼き魚だ。朝、かなり早く起きて作ったのだろう。
　声優学校は最近卒業したので、朝の業務を手伝えるようになったのだ。そのうち、姉をと交代しながら朝ごはんを作るのもいい。
　朝の時間が終わり、姉はエントランスの掃除へ行ったので舞華は家事に取りかかるにした。
　まずは食器を洗う。
「えーと……あ、洗剤が少ない。買い出しリストにメモしておかないとですね」
　洗いを終えてからコンロ周りの油汚れを落としていく。これも油を取れるスプレーなどを買ってくる必要がありそうだ。
「他に在庫がないものは……」
　掃除しながら買い出しリストを作成していく。
「うん、こんなものですかね」
　そうこうしているうちに昼になり、綺麗にしたキッチンで昼食を作る。今日は冷凍うどんがあったので、といた卵で卵とじうどんにした。さっと作って食べられる。
　午後はエントランスについていって、残りの仕事を片付ける。それはすぐに終わり、あっという間にフリータイムに。
「あ、広告」
　料理動画の編集作業中に思い出した。声優の仕事を募集するための広告を作らねば。
「どうしようかなー」
　声の特徴や得意な役……アニメ系だったら少年役なんかも面白いかも知れない。ナレーターや吹き替えも興味がある。
　方向性が決まるまでは何でも挑戦だ。
「これでよしっと」
　一時間ほどかかったが、無事完成した。少し欲張り過ぎかも知れないが、経験は必要だ。
　その後はご主人の帰りを待っていたのだが、外で食べてくるとのこと。先に食べて出迎えの準備をすることに。
　舞華のフリータイムは夜にもある。ご主人の世話をして、無事業務が終了したので不定期でやっている生放送をすることにした。コメントを読みながら雑談だ。
　コメントが上から下へ流れ始める。
『そういえば、声優業どう？』
　リスナーのコメにはっとした。
「そうそう、広告表示しますね」
『OK』
『どんなことしたいの？』
　などとコメが流れる中、広告を出すと、
『おれ頼みたい』
　リスナーの中に仕事の依頼主がいたらしい。最初は冗談かと思ったが、
『後でネコッターにDM送っておく』
「ほんとですか！？　ありがとうございます！」
『おめー』
『スゲー』
「やったっ」
　今日の夜は記念にゲームでもしようか。
『もうちょい雑談希望』
　リスナー達との交流は遅くまで続いた。