あなたのスケジュール、教えてください！　～特別な一日編～｜リアクション

あなたのスケジュール、教えてください！　～特別な一日編～

　万条幸次は目を覚ました瞬間、今日は日曜日だと勘違いし、二度寝を始めた。
　しかしまどろみの中でモヤモヤとした感覚に襲われ、
「ん！？」
　目を覚ました。日曜日なわけがない。布団から飛び起きて、すぐに確認。やはり平日だった。
「ヤバイっ」
　目を覆いたくなるような時間だった。幸次はどうにか身支度を整え、冷蔵庫からゼリー飲料を手に自転車に飛び乗った。
「くぅ、ギリギリか」
　諦めがつく時間でもないのか憎いところである。
　スッとコンビニを通り過ぎた。
「……あれ……？」
　何か忘れているような気がする。
　しかしそんなことを考えている時はない。門を自転車で通り過ぎ、ギリギリで滑り込む。
　教室へ駆け込んだところで頭の中がクリアになる。
「そうだ、ニャンプ！！」
　今日は大人気、「きめつのニャイバ」が載っている雑誌、ニャンプの発売日である。
　と、教室に入ってきた先生が眉を寄せて幸次を見る。
「何騒いでんだ？　席に着きなさい」
「あ、すみません。今日はニャンプの発売日で」
　口に出してしまい、慌てて押さえる。
「おーきめつのニャイバか？　先生も読んでてな。今日のストーリーは」
　幸次は慌てる。
「先生、先生っ、ネタバレだからそれ」
「おっとすまん。じゃあ、授業始めるぞー」

●

　気づくと目の前にきめつのニャイバの主人公が血まみれで刀を構えていた。
「え！？」
　そういえばこんなシーンで次週へ続いていた。主人公が絶体絶命のピンチなのだ。
　そして、彼が口を開く。
「電子書籍ならっ」

　その叫び声ではっと目を覚ます。どうやら授業中に寝落ちしていたようだ。
(そっか、電子書籍ならすぐに読めたのか)
　そうとは気づいても、今更買う気にはならない。

　そわそわしながら授業を終え、帰りに無事ニャンプをゲットしたのだった。

　帰宅してすぐにニャンプを開く。夢で見た光景を思い浮かべ、いざ、最新話へ。

　一回目はさらっと読み、二回目はじっくりと細かいところまで。
　それから通話で友達と感想の共有をする。

「でさぁ、妹がなんか様子がおかしかったからもしかすると」
「おれも思った。絶対展開的にあの敵が出てくるよな！」

　そんな話に花を咲かせていると、すでに二十二時だった。
「やべっ、じゃあまたな！」
　通話を切ってからカップ麺で夕飯を済ませ、シャワーを浴びてから布団に入ったのだが、
「……もう一回読んでおこう」
　ニャンプに手を伸ばしながら、感想サイトの存在を思い出し、スマホを開いてしまう。

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