ドラゴン・キャットファイト！｜リアクション

ドラゴン・キャットファイト！

★龍姫ＶＳ女皇（２）

「なっ……！」

　オオオォと鳴いて崩れ落ちたのは、ゴーレムだった。
　双眸を見開く宝石竜の方へとハッキリと琥珀の眼差しを向け、フェラマは妖艶に笑む。
　その掌には、結合させたゴーレムの中心の核が握り込まれていた。
　地に落としたそれを、フェラマはパキリと踏み潰す。

「クソッ……！　もう少し、目潰しがもってくれると思ったが……」
「目ならまだ殆ど見えないわよ。だけど、ゴーレムに込められた念くらいは『視える』のよね」
「……どこまでも規格外だな。あれに込めた念など、砂粒程度のモノだぞ」

　その使命故か或いは気性故か、気配のようなものにフェラマは特に敏感だ。
　単純に魔力の加減で作動した魔宝石とは違い、岩人形は扱い易い玩具だった。

「どんな搦め手を駆使してくるかと思ったけど、今のがカワイイ羽虫ちゃんの本気？」

　ならば――視界が良好でなくとも、黙って待っている必要はなくなった！

「愉しい反撃の時間よ、宝石蠅！」

　日緋色金の爪が猛る。
　避けたところへ、フェラマの足技が今度こそ容赦なく迫った。
　翼に尾、角から爪先に至るまで。
　守りを強いられた鬱憤を晴らすかのように、フェラマの脚は連撃の雨を降らせる。

「う、くあ……ッ！」
「どうしたの？　もしかして、これでお終い？」

　これで墜ちる程度なら、辿るは、使命を湛えた爪牙に見合わぬ有象無象と同じ道。
　加護を外してぐしゃりと潰せば、永遠にさようなら。
　それもまた、癖になって止まない愉悦ではあるけれど。

「恥ずかしがらず食らいなさいな、潰れたお仲間は沢山居るわよ」

　でも――そちらの技量なら、これくらい、訳もないんでしょう？
　タダで上がらせてはやらないけれど――此処で終わるのは、興覚めだわ。