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寝子島高校
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寝子島高校。
放課後の化学実験室、ただしくはその準備室。
白い扉がノックされる。三回。
「尚輝先生」
いいですか? と
御巫 時子
は部屋の主に声をかけた。
「御巫さん」
五十嵐 尚輝
がドアを開ける。化学薬品のうっすらとした刺激臭がただよう。
この扉を挟んで何度も繰り返されてきた光景だ。
けれど尚輝は時子を迎え入れるより先に、窓に目を向けた。
「外は暗くなりつつあります。来て下さるのは僕も嬉しいのですが、もう今日は帰ったほうがいいですよ」
少し遅くなったようだ。外は、幻灯機の電源を切ったばかりのように薄暗い。
「いえ、少しですから……」
時子の表情に並々ならぬ色が浮かんでいる。
「それでも」
尚輝の声に逡巡がうかがえた。
でも時子の心は明るかった。聞き逃さなかったからだ。
――来て下さるのは僕も嬉しいのですが、
先生はそう言ってくれた。私が訪ねてくることを尚輝先生も喜んでくれている、そのことが嬉しい。
けれどこのとき、時子が尚輝のもとを訪れた理由は重い。これを思い出すとまた、時子は思いつめたような表情に戻っている。
根負けしたのだろうか、それとも本心は別だったのだろうか。間もなく、
「では少しだけ」
と言って尚輝は、時子を部屋に迎え入れたのだった。
準備室には、薬品を詰めた瓶が無造作にならんでいた。高さも大きさもまちまちで、それなのに統一感があって、並んでいる姿はヨーロッパの城壁みたいだ。
尚輝は時子に丸椅子を勧める。
「先生、私、気になったことがあって……考えはじめたら矢も楯もたまらなくなって」
「どうかしましたか」
「もうすぐ春。卒業まであと一年。短いですね」
「ええ、本当に。あっという間です」
少し話が本筋からそれたような印象だが、尚輝はけっして急かしたりしない。
それに実際、時子の話はそれたわけではなかった。切実な口調で問いかける。
「人事異動の季節です。寝子高は教職員の移動など聞かないですが、尚輝先生は大丈夫ですよね? 三年間そばにいられるものだと思ってたんですけど急に不安が……」
「そういうお話でしたか」
と言ったとき、尚輝は春の若草のような笑みをうかべていた。
「大丈夫です。どこかへ移る予定はありません。それにですね、教職員の異動、それも学校を移るような大きなものはたいてい、秋口には内示があるものなんですよ。万が一そんなことがあったら、昨年のうちに僕の口から御巫さんに知らせていたと思います」
「よかった」
熱したスライスチーズみたいに、その場にくたっとなってしまいそうな時子である。
「先生、来年度もよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
取引先同士のサラリーマンみたいに、ぺこりと頭を下げあった。その、妙にかしこまった口調がおかしくて笑みを交わす。
「四月からはいよいよ、御巫さんも最高学年ですか」
早いものです、と尚輝は話題を変えた。
「そういえば、御巫さんは進路をどのように考えていますか」
「どうしましょう、という気持ちです」
これも悩みの種だったので、時子の表情がふたたび曇る。
「思い浮かぶのはやっぱり獣医さんなんですよね……。木天蓼大学には獣医学部がないから島外の大学でしょうか。新設されるという話は聞かないですよね?」
「そうですね、僕が詳しくないだけかもしれませんが、聞いたことがありません」
「できれば……木天蓼大学が距離的にも良かったんですけど」
ここから近い大学で獣医学部のある大学を探さないと、と時子は言った。
「尚輝先生はご存知でしょうか?」
「いえ僕は」
尚輝はぽりぽりと頭をかいた。
「お恥ずかしながら世事にうとくて。進路指導も担当したことがありませんので……」
「できればここから通える距離にある大学が希望です」
先生と離れたくないから、という言葉は胸に秘めた。
そういえばと時子は言う。
「尚輝先生はどこの大学だったんですか?」
「僕ですか? 地元の国立大です。でも大学はボーっと過ごしていたせいか、あまり記憶がないんですよね。思い出深いのは大学院のほうですね」
大学院は木天蓼大でしたと尚輝は言った。
「その頃、師事したかった教授(せんせい)がいらっしゃいまして」
あの頃は本当に楽しかった、とつぶやく尚輝はノスタルジーを感じているらしい。
「ということは」
時子は左右の手のひらを合わせる。
「寝子島は、尚輝先生と芽衣子さんの……!」
「青春時代を過ごした場所、ということになるでしょうか……はは、でも実態は実験室にこもってばかりで、『青春』なんていう立派なものじゃありませんでしたけどね」
照れくさいのか尚輝はまた頭をかいている。
でも。
青春でしたよ、きっと。ご自分が気付いていないだけで。
時子はくすぐったいような気持ちになる。
だってあの芽衣子さんが、当時尚輝先生のことを好きだったっていうんですから――。
やはり木天蓼大に心惹かれてならない。
先生と同じ大学に通えたら。
思い出のキャンパスを案内してもらえたら。
想像するだけで胸がときめく。
獣医につながる勉強が、木天蓼大でできないものだろうか。
大切なことだ。一度しっかり調べてみたい。
「そろそろ帰りますね」
席から立って、ふいに時子は尋ねた。
「――尚輝先生、私が卒業しても会ってもらえますか?」
用意してきた質問ではなかった。自分でも驚くほど急に、ぽんと口をついて出た問いかけだった。
でも言ってしまったのだから、つづいて頭に浮かんだ言葉も足しておく。
「あっ、教師になってではないですよ」
以前、ゴンドラでのやりとりを思い出してくすっと笑ってしまった。
もちろん尚輝にとっても唐突すぎる問いかけだったようで、
「それはっ……」
しばらく二の句がつげなかった。
けれども数秒してから尚輝は、言葉を選ぶようにゆっくりと告げたのである。
「もちろん、です。むしろ僕からも……」
言いかけて口をつぐんだ。
僕からも、のあとに言いたかったのはなんだろう。
『お願いしたいです』
だったかもしれない。言葉のつながりとしては自然だ。けれども教師と生徒という間柄から、その先を告げるのをためらったのか。それとも別の理由があるのか。
時子にはわからない。けれども、
ここで口ごもってしまうあたりが、尚輝先生らしいです。
そう好ましくも思えるのだ。
なので彼の発言の、『むしろ』から先は聞かなかったことにして、
「ふふっ、卒業はまだまだ先の事ですけど卒業すると会えなくなる不安もあるから……」
右手の小指を立ててさしだした。
「指きりで約束しませんか?」
尚輝はなにか言おうとしたようだが、もごもごとしてよく聞こえなかった。
けれども指切りに応じたこと、それは間違いない。
一年後の未来を想ってしんみりするより今を楽しまないと。
そう決めて時子は提案する。
「尚輝先生、今度の日曜日にデートしませんか?」
ええっ、と声にこそ出しはしなかったものの、尚輝はあきらかに驚き左手で、薬剤の入ったプラスチック瓶を落としてしまった。
「あ……大丈夫です。大丈夫ですから」
とは言ってはいるものの、瓶を拾う動作でまた別のプラスチック瓶を落としてたりして大変である。
しゃがみこみ瓶を集めるのを手伝いつつ時子は微笑んだ。
「ふふっ、一緒にお出かけしたいって意味ですよ」
顔と顔が、近い。
あと10センチでも動けば唇が触れあいそうなほどに。
手を止めて前髪のあいだから瞳をのぞかせ、生まれたばかりの雛を両手にすくうときのような口調で尚輝は言った。
「デ、デートと言われると顔から火が出そうですが……御巫さんのご用事に付き合うという程度であれば、ご一緒させてもらいたいです。はい」
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
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3人まで
シナリオジャンル
日常
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NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年08月22日
参加申し込みの期限
2020年08月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年08月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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