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切り紙細工のような粉雪がはらはらと、桜が散るように降って止んでを繰り返していた。
雲に覆われた空の下、雪を踏んで歩く。
伊織 源一
の姿だった。
まあたらしいダウンジャケット、その下は着古した制服、足袋こそ履いてはいるものの、足元は寒げな雪駄だけだ。
ずっしり深い足跡が、源一の歩みにあわせ連綿と、むかでがのたうつような姿を残していく。
払暁の通りを歩む者は他にない。
ほの暗い道を照らすのは新雪だった。
息も白く塗り込められ、空気も肌を刺すようだ。
立ち止まってあえて胸いっぱいに吸い込んでみると、自然と身も心も引き締まるようで、これはこれで悪くないと思える。
「……ッ」
ぱしん、と両頬を張って自分に更なる喝を入れる。
何も不安などない、と言い聞かせる。
受験と、師を越えることと。二つの目標を掲げて真っ直ぐに、可能な限りの手を尽くしてきたのだ。
源一の志望大学、その入学試験は明日行われる。
どこか遠くで犬の遠吠えが聞こえた。
泣いても笑っても、という慣用表現がある。
いよいよ正念場というときに、枕詞のごとく置かれることが多い。
明日がその正念場であることは否定しない。だが泣くとか笑うとかそういう、小手先の感情は源一のなかにはなかった。
最初からなかったのか、茫洋と存在はしていたが消えてしまったのか、それはわからない。
いずれにせよ現在は泰然、きたるべきものを受け入れる心境だ。気組みはとうにできている。
ここまでおおよそ半年、基礎から浚い、これまでの道を沿うように歩き直したのは、文武両方において共通していた。
基礎から改めて拾い直した知識をもって応用に至る。
ひたすら問題集を解き、解法を体に沁み込ませることも、不自由に体を貶めてその可能性を知る形稽古と同じであると思えた。
痛みで、骨で、細胞で憶えたものだ。脳の表面をなぞっただけではない。
また、あれから色々な人と、様々な形で手合わせをするようになった。
声が聞こえてくるようだ。手合わせした好敵手たちの。
『まだまだだな小僧』
『お前の爺さんはもっとやれたぞ』
『思ったよりやるじゃねェか』
『育ったモンだなあ、あの坊主がなあ……』
話し手も声色も違うが、そろって矍鑠(かくしゃく)とした笑い声をともなっていた。
その内訳が祖父の知己ばかりであることは少し情けなく思っている。もう少し自分に、心技体を鍛える同輩があればよかったのだが。
それでも、これまでの自分では考えられないほど積極的に人に交わり力を試したとは思う。
同世代であれば――。
「なんだ?」
伊織じゃねぇか、と声がした。
タイミングがいい。いや悪いのか。いささか驚く。
ちょうど貌(かお)が頭に浮かんだときに、その本人が現れたのだから。
といっても源一はとりたてて大きな仕草をしない。ただ顔を上げただけである。
そうやって視線を向けた。
詠 寛美
に。
南北の十字路をゆく源一と、東西に横切ろうとする寛美が交差したのだった。
寛美は黒ずんだ稽古着姿だった。足だけはスニーカーだがこれもボロボロだ。早朝走り込みの途上なのだろう。ポニーテールに健康そうな肌、いずれも見慣れた姿だ。かるく息を弾ませている。
「どこか行くのか?」
源一の担ぐボストンバッグを寛美が指した。
「ああ」
とこたえ少し考えて、これが回答になっていないことに気付く。
「明日受験がある。大学の」
短く言い足した。
そうかと寛美は言った。大げさに驚いたり、逆に無関心な風を見せたりはしない。ただ、
「なら頑張れ」
と口元をわずかにほころばせたに過ぎない。
詠らしい反応だ。
源一はゆっくりとうなずいた。これも自分らしい反応だろう。
詠とは、とりわけ良く切磋琢磨したと思う。
寛美のそれは柔道の源流、柔術から発展したものだ。合戦場で武器を失ったときの戦いを想定したもののため、突きもあれば蹴りもある。寛美には空手の心得もあり、この両者を組み合わせることに迷いはないようだった。
同じ柔の技でも、庵流とは別の端から発した技術体系だ。違いを認識することで、おのずと自分の技の本質も見えてくる。寛美との手合わせは発見と深化の繰り返しだったようにも感じた。
「……」
新聞配達のオートバイだろうか、パリパリと乾いたエンジン音が耳をとらえた。それも間もなく走り去っていく。
後は無音だ。
雪降る音すら聞こえるほどの。
源一も、寛美も多弁なほうではない。
いやむしろ会話は苦手だ。これまで稽古の機会であっても、「始めるか」「ああ」くらいしか言葉を交わさなかったことすらあるほどだ。
このまま立ち去ってもよかったのだが、最後に源一はぽつりとつぶやくように言った。
「……そういえば、詠はどうするんだ? これから」
前に同趣旨のことを尋ねてみた気がする。そのときは回答らしい回答はなかったはずだ。
「そうだな」
と言って寛美は後頭部をかいた。
「前言ったかもしれねーが、実家に連れ戻されるとか、そういう話はなくなった。卒業まではいるつもりだ、寝子島(ここ)に」
「そうか」
「卒業後のことなんか考えてねーや。俺ぁバカだからよ、進学とかありえねーし。どっか就職先が見つければいいんだけどな」
「そうか」
確たる目標を持て、などと説教をする気は源一には毛頭なかった。自分だってどうなるかわからないのだから。
そういう話はなくなった、と口にしたときの寛美の、晴れやかな表情が印象に残った。
「にしても進学か」
爪先で雪を掘るようにして、寛美は視線を落とした。
「明日の試験に今から出るってことは……それなりに遠いんだろうな」
「ああ」
「……寂しくなるな」
源一は何も言わなかった。
じゃあ、と言って寛美は雪を蹴立てて走り出した。
「さっきも言ったが頑張れ」
振り返らずにそう言い残していった。
ああ、と源一は寛美の背に言葉を投げかけた。
雪中にまろび出てしまった夏のうさぎのように、寛美の背中はすぐに見えなくなった。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
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NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年08月22日
参加申し込みの期限
2020年08月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年08月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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