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譲渡会の会場はホームセンターの駐車場だった。
幸次は防寒用の蛍光色ジャンパーを渡され、エプロンの上から羽織った。
設営作業の開始だ。壁際をキープし簡易テントを建て、風の侵入をふせぐ。
さらにはストーブを出してならべ点火した。会場を区切るためのポールも立ててロープを張った。
これまたスタッフの動きが早い。とりわけ鈴木だ。テントの紐を結ぶ動作、ケージを配置する動作、すべてきびきびしていてそつがなく、早回しの映像を見ているかのようだ。しかも丁寧なのである。資材やケージを持ち上げるたび万条は音を立ててしまうのに、鈴木の作業はまるで無音で、鉄の塊ではなくウレタンを運んでいるかのように見えた。
開場するや待ち構えていたかのように、つぎつぎとお客がやってきた。
「おはようございます。ごゆっくり」
幸次も笑顔で案内役をつとめる。
ここまでの疲れなどまたたくまに吹き飛んでしまった。
こんなにたくさん猫好きがいるなんて!
老夫婦、子ども、若いカップルや独身らしき壮年の男性、年齢性別ばらばらだけど、誰もが興味しんしんで目尻がさがっているではないか。
「万条君、お昼休憩入ってね」
最初にケージ運びを手伝った中年女性が声をかけてくれた。気がつけばもう正午を過ぎている。
はい、と手渡してくれたお弁当のパッケージが温かい。ペットボトルのお茶もだ。ほかほかご飯のいい香りが嬉しいじゃないか。
「ありがとうございます! どこで食べたらいいですか?」
「バンの中で食べたらいいよ。あそこなら寒くないから」
資材の入っていたほう、と示してくれた。なるほど車内がバックヤードがわりというわけか。礼を言って幸次は小走りで向かった。よく働いたおかげか空腹だった。
がらりとドアを開けてバンに入ると、車内にいた鈴木と目があった。
「あ……お疲れ様です」
「お疲れ様」
シートのひとつに腰を下ろす。構造上、鈴木と向かい合う格好だ。
参ったな……。
いささかぼやきたい気持ちだった。車内には鈴木のほか誰もいない。ふたりっきりになってしまったのである。
鈴木は黙々と弁当を口に運んでいる。やはり胸元には(似合わない)黒猫ちゃんイラストがあった。ラジオやカーステのような気の利いたもののスイッチは入っておらず、しん、と静まりかえっていた。
怖いなあ。
でも無言でいるのも嫌だと思い、恐る恐る幸次は口を開いた。
「うちにもいるんです、猫。名前、花遊っていうんですけど……黒白模様の」
特に鈴木は反応を示さなかったが聞いているようである。幸次はつづけた。
「花遊も一時期はお店にいたんですよね。保護猫の」
「そう」
冷たい言い方ではなかった。そればかりか鈴木は微笑を浮かべていた。
見ていてほっとするような温かみのある笑顔だった。
怖そうな鈴木のお面が割れて、なかから出てきた本当の顔のような気がした。
「花遊ちゃんはいつからいるの?」
「俺が中三の秋から……なので二年とちょっと前からですね」
言いながら幸次はスマホを取り出し待ち受け画面を表示させる。花遊がこっちを見て、口を開けているお気に入りのショットだ。
「うちみたいにみんな新しい家族が見つかって、幸せになってくれるのならとても素敵な仕事だと思います」
ありがとうと鈴木は言ったものの、それほど明るい声色ではなかった。自分も携帯を取りだし、ちょっと作業をしてアルバムを表示させる。
「でもね、みんなじゃないわ」
ゆっくりと画面を切り替えていく。
どれも猫の写真だった。種類も歳もさまざまな。
「この子はね、人に慣れず譲渡できないまま寿命を迎えた子」
白い猫だ。怒りの形相で牙をむいているが眼はおびえていた。
「譲渡先の都合でまた戻ってきた子」
茶トラの猫、しょんぼりと肩を落としているように見える。
「この子はね、生まれつき片目がないの。だからどうしても選んでもらえない……」
グレーの猫だ。人形みたいに可愛い。ウインクしているように見えるのだが。
それから、と一拍おいて画面をスライドさせた。
「先週保護したばかりの子。この子は前の飼い主に虐待されていた」
幸次は思わず声を漏らしそうになった。端正な顔立ちのシャム猫だ。なのに体の毛のほうぼうが抜け落ちている。火傷の跡らしきものもあった。
さらに何枚も、何枚も猫の写真を鈴木は幸次に見せた。
猫好きゆえに目をそらしたくなる、けれども直視すべき写真だった。すべてがだ。
「あなたの花遊ちゃんは、ほんの一握りの幸運な猫、そのことを忘れないで」
ひととき見せた柔和な表情に口調、それは鈴木から消え去っていた。
最初に幸次が感じた『キツそう』な雰囲気が戻っている。
でも。
幸次は思った。
でも鈴木さんは、悲しそうに見える――。
「今朝、私がずっと電話をかけていた相手はね、みんな今日の譲渡会の参加希望者、事前にネット予約してくれた人よ。来てくれるのは嬉しいし、わざわざ予約してくれるくらいの人だから、みんな善意だとわかってる。参加したからといって必ず受け取る義務だってない。それでも命を受け取るという気持ちだけはもっていてもらいたいと思って、ああして毎回、来場確認の電話をしているの」
それが功を奏したのか、当日に確認電話をするようになってから問題は発生していないのだということだった。
ふっ、と息を吐くと鈴木は幸次に向きなおった。
「ごめんなさい。説教くさかった?」
「そんなことないです。俺……ますます今日の仕事、がんばろうと思いました!」
偽らざる気持ちだった。
通じたのだろうか、鈴木は表情をかすかにやわらげた。
「保護猫を家族に迎える選択肢、私はそれが普通になる世界を目指してるの」
それが普通、か――。
キツそうとか怖いとか、そういう印象はきっと、鈴木さんが真剣なことの裏返しなんだ。
この仕事にまた関わりたい、幸次はそう思った
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年08月22日
参加申し込みの期限
2020年08月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年08月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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