～紫色の輪舞曲～　亜空間の研究所にて巡り合うは過去の記憶｜リアクション

～紫色の輪舞曲～　亜空間の研究所にて巡り合うは過去の記憶

　作戦の成功から数時間後。ツクヨの部屋にて隣同士で座る御剣とツクヨがいた。
　お互いにしばらく無言であったが先に沈黙を破ったのはツクヨである。

「色々、知ったんですよねぇ……あの場所で。昔の事」
「ああ、知ったよ。記録してあることは全部」
「そうですか……嫌いになりましたか？」

　そう聞くツクヨの声色はいつもと違いお淑やかな女性の物に聞こえた。
　御剣は間髪入れずに答えようとする。

「俺はそんなこと、むしろ俺はツクヨが――」

　御剣の口に指を当てツクヨは彼の言葉を遮った。

「そこまでですよぉ、それ以上はしーですねぇ。今はこれでいいんです、今はですけどぉ」

　そして彼の肩に頭を寄りかかる様にして預けると目を閉じるのであった。

◆

　時を同じくしてちーあの部屋にて。八神は解析に難航していた。
　見た事もない文字な上に、これまた聞いたことのない暗号化文章。苦戦するのも当然である。
　肝心のちーあはというと、解析に疲れて電池切れの様に寝転がっている。透け衣装である服のせいでパンツが浮き出ているが色気はない。

「さて、もうひとがんばりしないと」

　八神は軽く肩を揉み解すと解析の為に端末へと目を落とす。
　隣では常闇が彼のサポートを担当していたのであった。

　寝子島の居酒屋にて。
　そこではティオレと鴻が飲んでいた。おつまみを軽く摘まみながら談笑し、笑う。
　彼女主催で宴会が開かれていたのである。

「いやーそれでねぇ、アノ時がさー」
「ほう、なかなかに手ごわい相手だったのか」

　二人の隣で転がっているのが一人いるのだが、それは床に突っ伏している真白である。
　帰ろうとした彼女を半ば無理矢理につき合わせたのはティオレであった。
　最初こそ遠慮していた真白であったがこの宴会の席をなかなかに楽しんだようで、ついに眠気の限界を迎え寝ているのである。
　それを介抱しているのはイヴァであり、真白を撫でながら轟のヒーロー講座をナディスと一緒に聞いていた。

　宴会には参加せず、自宅に戻った二人がいた。風華と桜である。
　二人はいつもの様にベッドで絡み合う。戦いで受けた記憶を塗り替える様に。
　だが今日はそこに参加者がもう一人いたのである。施設から桜が連れてきたミニ３号こと、手乗りサイズの実験体３号である。
　彼は施設で桜が生み出した一体であり、彼女の影響を強く受けた使い魔の様な状態となっていた。現在、従順であり無害である。
　二人と一匹は絡み合い、深く愛し合うのであった。

◆

　どこかの密林。
　そこに片腕を失い、片足も右顔半分さえ失ったぼろぼろのアマテが転がっている。
　光のない瞳にちかちかっと光が宿り、彼女は再び活動を開始した。

「機能再生良好、ウイるるすすす、く、くちクチく完了……言語機能修復完了。このままでは、終わりません。まずは腹ごしらえをしなくては」

　そういったアマテは森で山菜収集をしていると思われる少女を見つけ、声をかける。

「あはは、あなたぁいい遺伝子を持っていそうですね……私に協力してください」
「えっ、ひぃいい、ばけも……きゃあっぁぁああああああ！」

　背中から生えた無数のアームに絡み付かれ、少女はそのままアマテに貪られた。
　アマテは貪りながら呟く。

「もっと……もっと……戦力を増やさなければ……そしていずれは……ツクヨを……！」

　憐れ、何の罪もない少女の叫ぶ様な艶声が森に木霊するのであった。

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