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雪に願いを。/This bird has flown
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傘は必要なさそうだ。
「やんだね」
白 真白
は折りたたみ傘を丸めて買い物袋にしまう。
「このまま家まで降らないといいな」
紅
が言った。
「ひとつ持つよ。こっちの荷物は軽いから」
紅は手を伸ばしたのだが、真白は笑顔で首を振った。
「大丈夫、これも軽いから。見た目は大きいけど」
軽いというのは本当だ。だが仮に重かったとしても、紅に持ってもらうのは抵抗があった。両方とも成人用の紙おむつのパッケージなのだから。
紅が居候するようになってすぐ、真白は自分の体質について明かした。気持ち悪がられるかと思いきや紅は意に介さず、そればかりか、買いに行くときは手伝うと申し出てくれたのだった。
ふたりは大型量販店を出たところだ。買い物を終えて帰るところである。
「買い物、手伝ってくれてありがと。やっぱりおむつってかさばっちゃうから、一度の買い物でいろいろとまとめて買うのって難しくてさ」
「遠慮しないで。私は真白ちゃんの家においてもらってる立場なんだから」
先月から紅は真白の家に暮らすようになった。
EABの施設から逃れ、事情を知った家族には戻るよう説得されたが、これを拒否して真白の家に寝泊まりしているのだ。
無理もないよねと真白は思う。自分の意思を無視され、監獄みたいな場所に放り込まれたのだ。しかもそれを手引きしたのが両親なのである。娘がどうして引きこもりになったのか、その理由と向き合うことを避け、解決を外部の悪徳業者に丸投げ委託してよしとした。その態度に傷つかないはずがない。
うちの親からは想像しにくいけど――自分が同じ立場だったとしたらと真白は考える。やはり彼女と同じ選択をするのではないだろうか。
といっても紅はまだ中学生だ。いつかは家に帰るかもしれない。
でもそれは、今ではないのだ。
「やっぱり、荷物持たなくていいの?」
紅が手を伸ばした。
「ええと……」
真白はまだ躊躇していたが、ここであらためて断って、紅がどう思うかを考えた。自分は世の中に拒絶されている――ここまではっきりと言語化しなくても、そんな風に感じるかもしれない。
「じゃあこうしようよ」
真白は紅の空いてる手を取り、ひとつの袋を一緒に持つように手を握った。
しっかりと握る。離さないように、いつでも引き寄せられるように
考えてみれば、紙おむつのパッケージを持たせることくらい今さら恥ずかしがる必要があろうか。先日また脱衣場で自分を見失った紅のために、真白は自分も服を脱いでともに入浴したのだ。体を洗っているあいだも服を着せているあいだも、紅は人形のように真白に身を任せっきりだった。
「真白ちゃん」
うふふと紅が笑った。
「なあに?」
「好きだよ」
すこし、真白は言葉に迷った。でも、
「ありがとう」
と明るく返した。
きっと深い意味ではないと思う。
施設を出てから紅は変わった。ときどき自分を見失って、呆然と立ち尽くすようになっただけではない。性格が変わったのだ。
以前の紅にはもっと毒があった。『キモい』という言葉を平気で使った。いやむしろ、否定語はそれしか知らないのかというくらいに頻用した。ツンケンしていて皮肉屋なところもあり、その割に寂しがり屋だったりカードゲームにはやたら真剣だったり、とにかくとっちらかった魅力のある子という感じだった。
ところが戻ってからはまるで漂白されたかのように、黙って笑っていることが多くなった。怒った姿は見せないし、雑な言葉も使わない。なんといってもカードゲームへの情熱が失せたようで、自分からやりたがることはなくなった。やらせてもみても初心者のような悪手を取る。複雑な裏読みやトリックもできなくなった。あからさまな引っかけにもかかってしまう。
もしかしたらと真白は思っている。
紅ちゃんは退行してしまったのかも――。
いまの彼女は小学校低学年くらいの精神年齢なのではないか。そう考えるとつじつまが合う。
まさかって言いたいけれど。
でも。
紅が置かれていた環境を考えると、ありえない話とは言い切れない。
それに――と考えただけで真白は胸が痛くなった。
報道されていた。EABは一部の収容者(一応『施設利用者』と呼ばれるが事実上は囚人だ)を従順にするため、違法な薬物を投与していた疑いがあると。投与があったとしても対象は大人だけという話だが、それが事実という証拠はあるのか。
少しずつ突き止めていきたい。
また雪がちらちらと降りはじめた。
「……ねぇ、紅ちゃん」
何気なく真白は言った。
「うん」
生返事して紅は空を見上げた。また降ってきたね、と言う。
「ひとつ訊きたいんだけど」
「いいよ」
「体の調子が悪かったり、何か考えごとがあったりしてない?」
「ないよ」
一秒も迷わずに紅は言った。どうして? とも。
人間と話しているような気がしない。今の紅はロボットみたいだ。心をこわばらせているのだろうか。それとも怖がっているのか。
でも真白は訊かずにはいられなかった。
「最近なんだかぼーっとしてるときがあるから、大丈夫かなって思って」
買い物袋とともに紅の手を握る。
「私が聞いていいことなら聞かせてくれないかな? ほら、こう見えても紅ちゃんよりお姉さんだからね」
しかし、
「うん……」
と言ったきり紅は活動をやめた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年06月27日
参加申し込みの期限
2020年07月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年07月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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