古今東西スーパーレキシ的ジンブツかるた大戦｜リアクション

古今東西スーパーレキシ的ジンブツかるた大戦

　いよいよ、グラウンド全体を使用しての「第一ラウンド」が始まろうとしている。
「かるたってどのくらいぶりかしら。小学校以来？」
　試合直前、巫部紫苑は、見える範囲の札を確認し、配置を暗記している。
「久しぶりだけれど、楽しくやりたいですね」
　背伸びしたり歩き回ったりするたびに、豊満な胸部が揺れる。いつの間にかエントリーされていた彼女が身につけているのは、蝶の羽をつけたドレス姿の妖精だ。

「似合いそう」という理由でコーディネイトしてもらったドレスは露出がとても多いが、彼女には抵抗がない。スタイル抜群なのもあって着こなしも堂々としたもの。妖精の女王のようなしぐさを自然にこなしている。
「なぜか参加することになりましたけど、衣装も素敵ですし、なんだか面白そうです」
　その隣には、当日彼女とチームを組むことになった響タルトと御剣刀がいる。刀の仮装は佐々木小次郎。タルトは浅葱色のダンダラ模様に、「誠」の字の入った羽織――大河ドラマでおなじみの新選組隊服である。
「新選組の沖田総司だよっ」

　腰に差しているのは沖田総司の愛刀「加州清光」だ。爪紅も塗りたいところだったが、カルタ中にはがれてもいけないのでシールにしておいた。
「やるからには楽しむよ！　BL百人一首を詠んだ僕に任せて！」
歴史人物になりきってもいいな……と思っていたが。
「あっ、あのチームちょっとBLっぽい！」
　あたりをキョロキョロ見渡してニヤニヤするタルト。人物よりは大好物のBLを優先したいようだ。
　さて、佐々木小次郎に扮した刀は、物干し竿のような長い太刀を背負っている。
「刀くん、僕それ知ってるよ～。『燕返し』だっけ。ちょっとやってみてよ、ね？」
「ああ。……『燕返し』！」
　タルトに乗せられ、刀は背中の太刀（模造刀だが）を抜いて構える。しかしその瞬間、ふと冷静になる。
「いや、使う機会なんてないし、何より人の技名叫ぶのはちょっと格好悪いわ。やらない」
「えー、やらないの？」