【８周年記念】ドレミファソラシド、８つの音の精を探せ！｜リアクション

【８周年記念】ドレミファソラシド、８つの音の精を探せ！

●プロローグ

　――オレは音楽くらい別になくてもいいんじゃねえかとも思うんだが、ののこが鼻歌歌えなくなって混乱してるようだ。力を貸してくれ、頼む！

　寝子島街道のほど近くを歩いていた羽生碧南にも、テオとミラの声が響いてきた。
「音の精……っていうか、あれがそうじゃない！？」
　それは、目の前の２９９線を爆走する一筋の光――ではなく、１０センチほどの男子。
　音の精は八人兄弟の妖精だという。
　ミラの話から察するに、あれはきっと次男の「レ」の精・ディーンに違いない。
「あ、ちょっと待って！」
　咄嗟に声をかけたが届かなかったらしく、ディーンはあっという間に過ぎ去ってしまう。
　一瞬横切ったその顔の、なんと気持ちよさそうなことか。しかもイケメン。
「このままじゃ、この世界から音楽がなくなってしまうかもって言ってたよね。仕方ないな、ここは私が一肌脱ぐしかないか」
　幸いにして、碧南はバスケ部。
　陸上部ほどではないが、走るのには慣れている。
　碧南は靴ひもを結びなおし、両頬を叩いて気合を入れると、ディーンを追って走り出した。