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雨は嘘を水に流さない
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氷の色した月を覆い隠して、嵐の気配を孕んだ昏い雲が渦巻いている。
闇夜を渡る風に凍りつけない身を翻弄させ、氷雨が地上に音もなく堕ちてゆく。
感情を深く封じ込めた白い頬に雨の一滴を受け、
朝鳥 さゆる
は枯葉の色した瞳に黒い睫毛の影を落とした。滑り落ちる雨粒を指先に拭うこともなく、ただ呼吸を繰り返す。
色を失くした唇から零れて落ちる己の息すら鬱陶しく思えて、息に合わせて上下する胸さえ忌々しくて、己から瞳を逸らすが如く視線をもたげる。
何も捉える気のない瞳に映るのは、人気の無い夜の公園。
腰を下ろしたベンチは、どれだけ長く座していても温まりはしなかった。それでも、夜の寝子島の、もう何処へも向かう気になれなかった。
光溢れる夜の繁華街を彷徨い歩き、十七には見えない容貌と肢体に惹かれて手を引く誰かと共に快楽に身を任せることも、睡眠薬で無理矢理に眠りの泥の淵に身を沈めることも、──いつもならば長い夜をやり過ごせるはずの、ある意味自傷にも近い手段に、今日は手を伸ばす気になれなかった。
だから夜の、人気のない道を選んで歩いた。爪先から髪まですべて冷え切るまで歩いて歩いて、それでも居場所を見つけられなくて、迷い込んだ公園のベンチに座り込んだ。
氷雨に身体が濡れるに任せ、凍り付いた風に頭が俯くに任せ、待つ。
(……何を?)
ふと思い至って小さく瞬いたとき、気が付いた。
誰かが見ている。
気怠く俯かせていた顔を上げる。視線の先には、闇夜に紅く浮かび上がるドレスを纏って、朱い髪の女が立っていた。
白い肌に貼り付くような赤いドレスは、女の豊かな胸やくびれた腰や丸い尻を否応なく目立たせた。冬風になびく鮮やかに赤い髪を添わせた頬はどこまでも滑らかに白かった。長い睫毛に縁どられた瞳は息を呑むほどに美しかった。その癖、狂気にも似た歪みを帯びても見えた。
一瞥の後、さゆるは女から視線を逸らす。
真夜中の公園に赤いドレスの美しい女が立つ異常さも、その女が己を凝視している不審も、軽く頭を振って構わず放り捨てる。
何もかも、どうでも良かった。
摩耗した感性に任せ女の存在を無視しようとして、刹那、首筋に強烈な寒気が触れた。咄嗟に立ち上がる。地を蹴りその場を離れた瞬間、視界の端を赤いナニカが過った。
湿った破砕音と共、直前まで己が座していたベンチが粉砕される。
振り落としたヒールの踵で破砕した木製ベンチを見下ろし、女は物静かに瞬きをする。ベンチを照らし出していた街燈の光をスポットライトの如く浴びたかと思えば、無言のままにさゆるに向けて跳躍する。
赤いドレスの裾が細かに降る雨の滴を激しく跳ね散らす。
さゆるの顔面に向けて放たれた蹴りは、けれど寸前に空を切った。空中に軌道を変え、女は宙に身を翻す。軽業じみてトンボを切り、獣じみて手足を使い着地する。
鋭い瞳が睨みつけるのは、さゆるの手に素早く展開されたバタフライナイフ。
護身用の刃を手に、さゆるは白い息を吐く。肺が灼けるほどに冷たい空気を身体に満たす。
悪意と敵意の籠められた攻撃を受けた際に発動し、闘うための速度を著しく上昇させるろっこんの発動を身の内に感じながら、女の突進を躱す。すれ違いざまに放たれた蹴りから飛び退って逃れた直後、深く踏み込んで刃を閃かせる。
暗鬱に瞬く街燈の光を孕んだ刃は、けれど女の髪のひとすじも裂けなかった。
氷雨の中に対峙する。
艶やかに彩られた女の唇が禍々しくも美しい弧を描いた。緩んだ頬に浮かぶのは、艶やかな笑み。
「──名は、何と?」
甘やかなまでの声に問われ、さゆるは逆に唇を引き結ぶ。
答えるつもりなどなかった。
本能が告げるままに女の問いを無視する。片手に刃を構え、瞳に女の動向を探る。
女が笑う。唇が蠱惑的な弧を描く。赤い髪に縁どられた白い頬がどうしようもなく柔らかな色を帯びる。引き寄せられまいと抗おうとして、
(……何故?)
抵抗する己に疑念を抱いた。
(何もかもどうでもいいのに)
瞬間、女と視線が絡んだ。
女の瞳の色を認識するより先、眩暈にも似た感覚が視界を、頭を覆う。何もかもが歪むが如き不快な感覚に息を吐く。ナイフを地面に取り落とす。膝から力が抜ける。霞む視界を上げる。
最後に見たのは、白い息も吐かず、赤い髪を振り乱して哄笑する女の姿。
「これじゃない」
踵を返す女の影が、二つに分かたれる。そのひとつは、赤い髪でありながら己と同じ姿をした女──
「これじゃない」
ふたりの女が笑う。赤い髪を雨に濡らし、さゆるが地に落としたナイフを拾い上げて近づいてくる。
地に伏して、けれどさゆるに立ち上がる気力はもう失せていた。
重い瞼を持ち上げる。
全身が引き攣れたように痛んだ。視界の端に捉えた手足が、身体が、どこもかしこもに傷を負っていた。
水たまりに落ちたナイフを見遣る。己の血に塗れた刃をぼんやりと眺める。
(あたし……)
昏い夜空から降る雨を仰いだまま、雨に濡れるまま、ただ息をする。
己の名を、記憶を、己を構成するありとあらゆる要素を奪われたままに。
自分が何者であるかを失ったままに。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
39番地
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
バトル
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
3人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年06月22日
参加申し込みの期限
2020年06月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年06月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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