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雨は嘘を水に流さない
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ふたりが答えるよりも先、女の手から鏡が落ちた。足元で砕け散る鏡を赤いヒールで踏みにじる女の顔は変わらず笑っている。笑いながら腕を振る。その腕の一振りで、傍にあったカーブミラーの支柱が飴細工じみて曲がった。
「これじゃない」
女が笑う。
「愛されないなら、これじゃない……!」
美しい顔を歪ませ、片手に隠して喚く。恐るべき力で支柱を握り締め、アスファルトに埋め込まれた土台ごとカーブミラーを引っこ抜く。
「……襲ってくるなら、戦闘開始だ」
タルトを背に庇い、真白は鞄からロープを取り出した。ろっこんで硬化させて武器を造作すると同時、小柄な身体をますます低く構える。
地を這う低さで駆ける。振り下ろされたカーブミラーを軽いステップを踏んで躱す。硬化ロープで受け止めてもロープは壊れないだろうが、軽い身は容易く吹き飛ばされかねない。
(力比べは分が悪いよね)
小柄であるが故の素早さを活かし、女の足元に滑り込む。
鋼鉄の硬さを帯びた細いロープを女の脛に叩きつける。それと同時、ろっこんを解除して両足に絡みつかせる。
水たまりを蹴立て、スライディングの要領で女の背後に回り込む。普通の硬さに戻ったロープを手近な電柱に手早く巻き付かせ、再度硬化させる。
「ッ……アァ、ァアアアアァァア!」
硬化ロープに動きを封じられ、鬼は喚いた。尋常でない力にロープが軋む。
「っ……」
鬼の次の攻撃に備え、真白は身体の各部に巻きつけた布を硬化させ鎧とする。無闇にカーブミラーを振り回し、道路脇の壁をひとしきり壊し、女は足の戒めを解くことを一旦諦めたらしかった。懐柔するが如き笑みを唇に浮かべ、真白と向き合う。
「名は、何と言う」
静かに問われ、真白は一度歯を食いしばる。抗えぬ力がその声にはあった。けれど、応じてはならない。
「人に名前を聞くならまずは自分から名乗るのが礼儀ってものでしょ!」
抗えぬ力に抗い叫ぶ。うずくまって己の名を告げてしまいそうになるその肩を、女との視線の間に身を割り込ませたタルトが支えてくれた。
「君の名は?」
女へ鋭く問いかけて、真白を肩越しに振り返る。ちらり、悪戯っぽく笑う。
「名前にはこだわりがあるんだろうから、名前を知られたら弱くなったりしてね」
「ね」
タルトの言葉に短く笑み、真白は胸を塞いでいた抗えぬ力を白い息にして吐き出す。
名を奪う鬼に逆に名を問い、その名を奪えはしまいか。
少女ふたりの思惑を知ってか知らずか、女は僅かの間、黙り込んだ。俯き、呟く。
「……知ら、ない」
呟いてくすくすと笑い始める。さざめく笑いは次第に高らかな哄笑となる。
「知らない知らない! 愛されない女の名前なんか、知らない!」
硬化ロープが今にも引き千切れそうに軋む。手にしたカーブミラーを足元に投げ、女は喚く。それが泣いているようにも見えて、
「そんなに知りたいなら教えてあげる」
真白は左右色の違う瞳をもたげた。心配そうに肘を引くタルトの手を軽く叩き、告げる。
「私の名前はネア、ネア・フラヴィニーだよ」
それは本名ではなく、自身のゲーム配信で使っている名前。
「そう、ネア」
呟いた女の姿がふたつに分かたれる。影が蠢き、女とは別のかたちを作ろうとして、為せずにぐずぐずと溶けて消えた。
「これじゃない、……」
溶けた影を踏み潰し、女は低く呻く。硬化ロープに手を掛け、怒り任せに無言のままに引き千切る。
「これじゃ、ない……」
呻いて踏み出す一歩が、アスファルトを踏み砕いた。美しい女の姿のままに文字通り鬼の膂力を見せる『ブラック・レディ』を前に、タルトはずっとさしていた傘を捨てた。頭から雨を浴び、ろっこん『チェシャ猫』を発動させる。
(今は……)
猫となって逃げるよりも獣人となることを選ぶ。進化能力を使えば、猫としての身体能力をほぼ人のままで使うことができる。
「僕の分身も、ろっこんが使えたりするのかな?」
軽口を叩きながら、小柄な真白の身体を抱え上げる。ひと跳びで軽々と塀を飛び越え、家屋の影に真白を隠す。静かにしていて、と唇に人差し指を当てて微笑み、もう一度塀を飛び越え鬼の前に姿を晒す。
「こっちだよ!」
努めて明るく笑い、鬼の前に飛び降りる。水たまりに爪先が付くと同時、獣人から猫へと姿を転ずる。鬼が振り回す腕の下をかいくぐり、鬼が身に着けたイヤリングを口に咥え取る。
(こっちこっち!)
イヤリングを咥え、猫となったタルトは身軽に駆ける。追い縋る鬼よりも早く走る。路地を駆け抜け、繁みを抜け、鬼を突き放す。
(僕は)
雨の中を猫の姿で駆け抜けながら、タルトは己を思う。神魂絡みで記憶をなくしたことのある過去を思う。あのときも、自分の好きなことだけは忘れなかった。
己が誰か分からず、不安になれば、
(僕は、余計に描きたくなる)
そうすれば、大切にしたいものをきっと思い出せる。
(じゃあ、『ブラック・レディ』は?)
彼女には、大切にしたいものがあるのだろうか。
『赤い鬼』が喚いて暴れる音が背後に遠くなる。
(僕だけじゃ無理だね)
これは探偵案件かな、と思案して、タルトは猫の肢を止めた。口の中にあったイヤリングを吐き出してみれば、それはいつのまにかその辺の河原に転がっているような石となっていた。
雨の中を振り返る。愛してよ、と乞うた女の声が耳朶に蘇る。
(恋愛絡みか、家族絡みかな)
鬼の気配は、氷雨に消えた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
39番地
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
バトル
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
3人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年06月22日
参加申し込みの期限
2020年06月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年06月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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