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ねこ温泉郷の大冒険
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大きく開かれた扉の奥には、ひたすらに広い玄関があった。タイル敷きの三和土を経て艶々に磨き抜かれた床に上がれば、真正面に飾られた巨大な猫の一刀彫が目を惹く。
『ようこそ、ねこ温泉郷へ』
揃いの前掛けをつけた仲居猫と法被を着こんだ番頭猫に盛大に迎え入れられ、ヒョウ柄猫の背中に乗ったまま、三毛猫の姿した桜はぱちぱちと瞬いた。
『歩けるか?』
桜をその逞しい背に乗せて長い石段を風の速さで駆けのぼったヒョウ柄猫の低く雄々しい声を三角耳に聞き、桜はなんだか気恥ずかしい思いでその背中から降りる。
『あ、ありがとう』
『気にするな』
磊落に笑い、ヒョウ柄猫は鷹揚な仕草で仲居たちの歓待を受け始める。
どうやらまずは温泉に向かうらしいヒョウ柄猫の背を見送り、三毛猫桜はふらふらと玄関の上り口に寄るなりぺたりと床に腹這いになった。
お疲れですかお客さま、と涼やかな声を掛けられ仰いでも、そこに立っているのはやっぱり猫。
『ええと、……はい』
お疲れです、と三角耳をぺしょりと伏せる。だって初手から猫の姿に変身させられるわ疾走する猫又さんの背中にしがみつかされるわ、色々と振り回されたのだ。普通の生活をしていたい女子高生に気疲れするなという方が無理というもの。
玄関口の冷たい床に髭の頬を押し付けてぐだぐだする三毛猫桜にも動じず、仲居猫はでしたら温泉にご案内いたしましょうと微笑んだ。
『温泉……』
『当宿自慢の千匹露天温泉などいかがでしょう』
『うん、そうね、温泉』
仲居猫に手を引かれるようにして、桜はふらふらと立ち上がる。もうこうなれば、温泉でのんびりするというか、現実逃避するしか手はない気がする。
(混乱してる、よね)
それは自覚している。が、とにかく頭の中を空っぽにしなければこの先消耗する一方なのは確実。
(ところで猫って温泉とか入れた……?)
よたよたと歩いて行く桜の背に、
「日暮さん、夕さん、こんちゃん、珠、一緒に温泉入ってのんびり過ごしましょう!」
至極明るい少女の声が届いた。なんとなく振り返った桜が見たのは、猫耳尻尾をつけた智瑜が一瞬のうちに白靴下をはいた黒猫に変身する場面。黒猫になった智瑜に、虎猫と白猫が楽し気にじゃれかかる。
「せやね、みんなで入るんがええわ」
足元に緑眸が印象的な黒猫を、肩に小柄な黒猫を連れた日暮も、ひとつ頷くなり茶虎猫に姿を転ずる。そうしてみんなで連れだって温泉へと向かう。
(フツウだ……)
いつも通りと言えばいつも通りなフツウな場面に頭を抱えそうになって、そこはぐっと押し留まる。そうだ、今の現実離れした場面に比べれば、猫が温泉を楽しむことだってなんてことはない。はず。
(ええい、もう気にしちゃだめだ)
だって他の猫もわくわくした足取りで温泉に向かっている。
その中にはきっと、人間が変化した猫もまざっいてるのだろうけれど、
(気にしちゃだめだ……!)
ぷぷぷと首を振り振り、桜は長い廊下を歩く。気づけば左右には襖で仕切られた座敷がいくつもいくつも並んでいる。にゃあにゃあと歌い踊る宴会まっただ中の猫たちの姿が垣間見えて、桜はまたどっと疲れた。
はしゃぐ猫たちに追い抜かれながら、板敷きの渡り廊下を過る。ふわりふわりと漂ってくる温かな湯気に誘われて行けば、不意に視界が開けた。
廊下の果てには、三夜湖ほどもあろうかという巨大な温泉があった。
岩で造成された巨大露天風呂の周りには、紅葉に桜に芍薬、四季折々に彩りを添える木々が植えられている。睦月の今、温泉を飾るのは寒椿。紅に白に薄紅に、大輪の花を咲かせては白濁した水面に美しい色を映しこんでいる。
猫の手で温泉の水面に触れる。猫の身には熱く感じるのかしらとも思ったけれど、意外に心地よい。とぷんと身を沈めてみれば、ふんわりマタタビの香がした。
疲れた心身をふんわり解く温泉の湯に、桜はぷかりと浮かぶ。ふにゃーと全身を伸ばす。
(いい塩梅だにゃ~)
フツウに関することはひとまず置いてのんびり温泉に浸かる桜の脇、黒猫と白猫がぷかぷかと泳いで行く。
『極楽極楽~♪』
その二匹のあとを保護者じみて、けれど楽しそうに追いかけるのは白靴下な黒猫の智瑜。
『ちゆ、こっち!』
『こっちよー』
黒猫の珠と白猫のこんに呼ばれ、智瑜ははあいと笑った。猫の姿になっているからか、今は珠の言葉もきちんとわかるのがとても新鮮で嬉しい。
『珠』
『はーい』
『この前の猫じゃらしと猫缶、気に入ってくれましたか?』
年末に日暮の家を大掃除した際、珠のお土産にと色々持って行った。
珠はお湯が跳ねるのも構わず大きく何度も頷く。
『楽しかった! 美味しかった! ねこかん、もうない!』
『猫缶、好き?』
『すき! ちゆもすき!』
きゃあ、と抱き着いてくる珠に負けじとこんも一緒になって抱き着いてくる。白猫と黒猫を抱きしめ、智瑜はくすくすと笑う。
『お久しぶりなのですー』
紅椿の樹の下のお湯のところで虎猫の夕と話していた純白の子猫な
ゼロ・シーアールシー
がちゃぷちゃぷと近寄ってきてほわほわとご挨拶をしてくれた。
『ちゃぷちゃぷなのですー』
『ちゃぷちゃぷー』
『ぷかぷかー』
猫たちの温泉は、子猫が多少ぱしゃぱしゃお湯を跳ね上げたところで誰も構わない。むしろ大人の猫たちだって大はしゃぎで泳いだり浮かんだりしている。
にゃうにゃう、みゃうみゃう。
猫たちの楽し気な声に耳を済ませながら、佑都は猫の身体を温かなお湯に浸す。目を閉じて身体の力を抜けば、仕事に忙殺されて溜まった疲労が湯に溶けだして行くような感覚を覚えた。
(いつか人間の姿で、時間を気にせずゆっくり浸かりたいな)
猫の姿で癒されながら、小さく笑う。でも、ともあれ今は猫の姿で温泉を楽しもう。
大きな大きな温泉でみんなでぷかぷか浮かべば、あまりの気持ち良さに、智瑜はうとうと眠りそうになってしまった。
『智瑜さん智瑜さん』
『寝たら危ないでー』
隣にやってきた虎猫の夕と茶虎猫の日暮に声を掛けられ、はたと気づいてぷぷぷと首を振って眠気を覚ます。
『危ない危ない』
『温泉は良いですね』
『毛艶が良うなったり疲労回復したりするらしいでー』
なんだかつやつやが増した気のする毛並みを眺めつつ、智瑜たちは充分にあったまった身体で温泉から上がる。湯上りは、タオルが敷かれた上がり場でみんな揃ってぱたぱたと身震いするだけで事足りた。
ほかほかの身体で移動するのは、渡り廊下の途中にある休憩所。畳敷きのそこは、ぽこぽことお湯の湧く音をたてる薬缶が置かれたダルマストーブの熱で十分にあったかかった。
化け猫じみた猫爺たちがストーブの端を使って器用に干魚を焼いている隣に場所を分けてもらう。
『気持ち良いですね、動きたくなくなります』
転がるなりうにゃうにゃとうたた寝し始めたこんと珠の隣、智瑜もころりと横になる。温かくて、すぐに眠ってしまえそうだ。
猫爺たちと湯上りの一杯を酌み交わし始める日暮と夕が心底楽しそうなのを嬉しく眺めつつ、智瑜は隣に眠るこんをぎゅっと抱きしめた。
『こんちゃん、ありがとう』
ここに来ることが出来たお礼をめいっぱいにこめて。
『佑都さん、こちらへ如何です?』
仲良しな智瑜たちを見つめて目を細める日暮の隣、猫爺たちからお酒を貰ってご機嫌な夕がゆらゆらと尻尾を揺らした。
通りがかりに呼ばれ、風呂上がりの佑都はぱちりと緑の双眸を瞬かせる。夕に勧められるままお猪口一杯分の日本酒を口にする。酒宴に混ざらせてもらうのも楽しそうではあったけれど今日のところは付き合い程度に留め、先にうつらうつらし始めていた日暮やこんや珠と一緒に畳の上の陽だまりに丸くなる。
微睡みの中に思うのは、大切なひとたちのこと。
この不思議な今日のことを、彼らは信じるだろうか。
(きっと)
姉は喜んでくれる。
不思議な縁を得た、海の底で普段は眠っている蒼い髪の少年はおれも行きたいと嬉しそうにするだろうか。
先輩や同期はきっと、冗談だろ、と笑うだろう。
友人である同科の女性看護師は瞳を輝かせて話を聞いてくれる気がする──
そんなことを考えながら見た夢は、ふわふわふわり、大切なひとたちと温かなお湯の中に一緒に浮かんでくすくすと笑いあう夢。
ぽっかぽかな身体からふわふわと白い湯気を上げつつ、桜は渡り廊下を過ぎる。
(のぼせるかと思った……)
温泉の香が気持ち良すぎて危うく浸かりすぎてしまうところだった。
『お客さまお客さま』
ふらふらと歩いていると、仲居猫に呼び止められ、
『さあさ、当宿自慢の舟盛をどうぞ! 焼き魚に煮魚、マタタビ酒も御座います!』
『あ、いや私お酒は』
あれよあれよという間に畳敷きのだだっ広い宴会場に引きずり込まれ、気が付けば幾つもの膳の前に座らされていた。
宴会場のあちらこちらでは、いろんな猫たちが好き放題に遊んでいる。
一升瓶を抱える猫に舟盛に狂喜乱舞する猫、何匹もで抱き合って眠る猫に踊る猫。正に酒池猫林の大騒ぎ。
人間の温泉宿と同様、無駄に豪華な膳を前に困惑する桜をよそに、きゅう、とお腹が勝手に鳴いた。いつもよりやたら空腹感を感じるお腹を抱え、桜はいただきますと手を合わせる。いつもなら食べきれない量も、今日なら食べられるかもしれない。
『にゃ~るが美味しいのですー』
刺身の新鮮さに眼を丸くする桜の隣では、いつのまにか居たゼロがお椀に何十本と山盛りにされた猫用食べきりパック詰めおやつを一本ずつ開けてはうっとりと堪能している。
『そ、そうなの……?』
『おひとつどうぞなのですー。ゼロはまたたび茶もいただくのですー』
三毛猫桜が純白子猫なゼロからにゃ~るを一本受け取ったそのとき、
『おれも』
『わしもわしも』
『あたしもー!』
宴会場で大宴会をしていた酔っ払い猫たちが殺到した。
『わ、わわ……?!』
きょとんとするゼロを咄嗟に庇おうとする桜の前、体格の良い黒猫がひらりと飛び出す。かと思えば、突進してきた猫たちをひらりひらり、手慣れた仕草で畳の上に倒して行く。
倒れ伏した猫たちの頭に、白子猫ゼロがひとつひとつ丁寧ににゃ~るを置いて回った。
『ありがとう』
あっという間ににゃ~る騒動を沈静化させた黒猫に、桜はぺこりと頭を下げる。
『いえ。慣れていますので』
緑眸を怜悧に笑ませた黒猫は、酔っぱらった大人猫たちに飽きたらしい子猫たちの群れに囲まれ連れ去らわれる勢いでどこかに行ってしまった。
『……』
行きがけにはヒュウ柄猫、今度は黒猫、なんだか猫にも格好いい大人がたくさんいるのねと思いかけて、桜は慌てて首を横に振る。だって彼らは猫だ。私だって猫だ。ここはフツウの真っただ中だ。
(お昼寝しよう! 目が覚めたらまた温泉入ろう! 縁側で日向ぼっこしよう!)
フツウになど惑わされてなるものか。
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
動物・自然
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年06月03日
参加申し込みの期限
2020年06月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年06月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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