【終業式】サンタは通知表泥棒？｜リアクション

【終業式】サンタは通知表泥棒？

☆ホームルーム

（そしていよいよ、待ち受けるのは憂鬱極まりない「通知表の返却」）
　遠海にとっては、一難去ってまた一難、といったところです。
　何せ１学期の時は神魂現象のせいで夏休みは追試と補講で潰れてしまったのです。
（さすがに２学期の時は頑張ったおかげで追試と補講から逃れられたけど、親に成績表を渡すという憂鬱な儀式が待ってるわけで……）
「楡宮さんは歌が上手なんですね。驚きました」
　中野空也先生にそんなことを言われながら通知表を渡されました。
「……ありがとうございます」
　ほめられたのはいいけれど、予定外に歌ったおかげでお腹もすいてきて、早くＨＲを終わらせて学食へ行きたいと願う遠海でした。

　１年４組の教室で、稀跡は担任の伊東大志先生から通知表を受け取りました。
（よかった、通知表は無事だったのね。後日再発行、希望者に手渡しか郵送……なんてことになったら、追加費用が掛かる事になるところだった）
　そうなっては生徒会会計の１人としても心が痛い、と思っていたのです。
　そう思いながら席に戻り、開いてみます。
　概ね４ですが、英語と体育と音楽が３でした。
（全体を維持しつつ……英語と体育の増強が課題、ね）
　音楽ももう少し勉強が必要かしら……？　と思う稀跡でした。

　放課後、稀跡が先生方に差し入れを買おうとしていると。
「おや、打ち上げでもするんですか？」
　たまたま伊東先生に声をかけられました。
「通知表の盗難の予告状騒ぎで、先生方もお疲れではないかと思いまして……」
　事情を話すと、
「そんな気を遣わなくていいんですよ。生徒から差し入れをもらうわけにはいきません。それは生徒会の皆で食べてはどうですか」
　優しく、けれどきっぱりと辞退されました。
「嘉渡洲さんの気持ちは、他の先生方にも伝えておきますよ」
　先生はさわやかな笑顔でそう言ってくれました。

　2年1組のホームルームで、時子は黒崎俊介先生から通知表を受け取りました。
「御巫さん、素晴らしい成績だね。これだけ頑張ってもらえると僕もやる気が出るよ」
「ありがとうございます……」
　褒められて、時子は照れてしまいました。
（頑張った甲斐がありました）
　
　八神修は、いつも通りの通知表を黒崎先生から受け取りました。
「相変らず素晴らしいね、八神君。手を抜かずに毎回安定した成績なのはすごいよ」
　先生の褒め言葉には、
「慢心する事無く精進します」
　と、自信に満ちた態度で答えます。
（いつもどおり、体育以外５だな）
　安堵しつつ修は内心思います。
（頑張った分評価してもらえるなら、６より上がほしいな）
　仕方のないこととは思いながら、それでも修は悔しいのです。
（体育は身体能力が物を言う教科だ。技や反復練習でカバーしても限界がある。座学なら幾らでも知識を深めていけるのに）
　
　チャイムが鳴り、ホームルーム終了です。
（しばらく学校は休みだし、図書室で勉強していくか。……会えるといいんだが）
　修の頭に、七夜あおいの顔が浮かびました。

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