【終業式】サンタは通知表泥棒？｜リアクション

【終業式】サンタは通知表泥棒？

☆夜の学校で～Ｍｒ．サンタ編～

　終業式前日の寝子高。
（怪盗『Ｍｒ．サンタ』が通知表を盗みに……なんで通知表?）
　貼り紙を見た小山内海は考えていました。
（もしかして生徒の誰かだったりするのかな?　通知表がなくなってほしい人とか……私はそんなに成績悪いわけじゃないから気にならないからそういう人の気持ちはわからないけど……）
　首を傾げていた海でしたが、あっさり決めました。
（ともかくなんだかおもしろそうだし怪盗を止めに行こうかな）

　八十八旗信彦は考えていました。
「英語の成績はイマイチだったけど、通知表がなくなれとまでは……おや？」
　何か思いついたようです。
「これは……チャンスじゃないかな？」

　生徒会役員の嘉渡洲稀跡は考えていました。
（先生方も例の貼り紙絡みで尽力しているはず。後で何か買って差し入れをしたいけれど、どのタイミングがいいかしら……？）

　
　そして夜。
（怪盗エアーに吹かれて、あたしは夜の学校にいます。夜の学校は怖いです）
　普段夜はあまり活動しない夢宮瑠奈は、暗い廊下で思いました。
（何度かしのびこんだことはあるけれど、七不思議が動きだしたりしたら普通に恐怖してました。だけど今日は、先生がいる。それは心強いと思う）
　職員室の廊下には電気がついていました。
　吉田熊吉先生が職員室の前に立っています。
（通知表がないと、日常にいられない。大事な日常を盗むなんて……！　だからあたしはがんばれます。危険があったら、先生のところへ駆け込もう）
　そんなことを思う瑠奈に声をかける者がありました。
「やあ、ルナちゃんも来たのかい？」
「八十八旗くん」
　瑠奈と信彦はコスプレ部仲間でした。　
「通知表は、皆の努力の結晶！　それを盗んでしまおうだなんて酷いヤツもいたものだね」
　信彦は爽やか0円スマイルを見せて言いました。
「でも、ヒンコーホーセーなイケメン紳士でお馴染みの信彦さんが来たからには、もう安心さ。俺が皆の通知表を守るから、泥の大船に乗ったつもりでドーンと任せたまえよ」
（うーん？）
　チャラいけど憎めない信彦の言葉は、なんとなく本気ではないように瑠奈には思えましたが。
「がんばって」
　とりあえず応援の声をかけたのでした。

　恵御納夏朝は、別人格『夏夜（かや）』が表に出た状態でした。
（貰うと困る人の分を盗むなら兎も角、全盗難されれば通知表が良結果であろう夏朝が悲しむ）
　通知表を盗もうとする輩に激怒し、夏夜は声を上げます。
「Ｍｒ．サンタ含む不届き者を妨害、阻止、捕縛する。盗難紛失絶対阻止だ！」
　職員室は北校舎の為、北校舎の窓・玄関・渡り廊下入口等を見回り警戒することにしました。
　同じ経路ではなく、時折ルート変更もします。

　そして怪盗エアーの影響は、思わぬところにも広がっていました。
「ほう……歴戦の証（通知表）を盗み出す怪盗サンタか……面白い、我が執筆のいい糧となりそうだ」
　寝子中生の折河樹はたまたまねこったーで噂を知り、気が付いたら寝子高の前に立っていました。
「どれ、よりよい糧とするためにここは俺も対抗して怪盗として歴戦の証（通知表）を盗み出しにいこうではないか！　さて、怪盗として対抗するとなれば俺も怪盗名と名乗り口上を考えておかねばな」
　樹は、有名ネット小説家になるのを夢見て昼夜問わず様々な設定の夢想にふけっているのです。
（それもできるだけ目立つシチュエーションでやる必要がある……）
　樹は、周囲に人がいないのを確認して、明かりがついている校舎へ向かいました。

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